21世紀気候変動予測革新プログラム

国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)
展示参加報告

  海洋研究開発機構 林 千絵


 
 
会場となった Bella Center

  国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)は、北欧の真冬、どんよりとした冬空と寒い日が続くデンマーク・コペンハーゲンで、2009年12月7日(月)から12月19日(土)までの間、予定を1日延長して開催されました。会場は、コペンハーゲン中央駅よりメトロで1つ目のBella Center駅前にあるThe Bella Center。会議とミニワークショップ・展示イベント(Side Events)が同じ会場内で開催されました。
 今回の会合は、京都議定書以降の枠組みについて議論をまとめる重要な会議ということもあり、各国首脳レベルのリーダーが次々に参加を表明する等、開催前からその注目度の高さが話題となっていました。

 UNFCCC事務局の発表によると、今回の参加者数は、3万3千人(政府関係者、政府関係機関、NGO、オブザーバーおよびメディア等)とこれまでの記録を3倍程度上回る数が公表されています。21世紀気候変動革新プログラム(以下、革新プログラム)は、そのスタート時よりこのCOPの場で、研究活動を紹介してきました。今回もピークをむかえる後半の1週間(12月14日-12月18日)に参加してきました。

展示区画の様子(その1)

 

JAPAN展示ブース (2009.12.14-18担当)

 展示エリアの一画に、日本政府およびNGO登録をしている国立環境研究所(NIES)、地球環境戦略研究機関(IGES)、地球環境センター(GEC)のブースが集められ、日本としてまとまった形で展示をすることができました。文部科学省は、日本政府ブースにて“我が国の「研究と組織的観測」の取り組み”と題して、革新プログラム(JAMSTEC担当)とGOSAT、ALOS(JAXA担当)について大型モニターを利用して出展しました。文部科学省 海洋地球課地球・環境科学技術推進室の西山室長補佐、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の中島プロジェクトマネージャ、佐々木主査および海洋研究開発機構(JAMSTEC)の近藤特任上席研究員と林が担当し、革新プログラムのモデル研究成果ならびに衛星観測の開発と最新の観測結果について、動画とパンフレットを用いて来場者へ紹介しました。

GOSAT(JAXA)の上映の様子

Side Eventで講演をした西岡プログラム統括と
展示ブース前で

 今回の展示では、メキシコ・上院議員、国連中央アメリカ気候変動経済プロジェクト・コーディネーター、ネパール 環境省・アドバイザー、ツバル気象サービス局・科学事務官、セルビア水文気象サービス ・ディレクター、韓国環境研究所・シニアアドバイザー、ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦およびスルプスカ共和国・Banjaluka大学教授等、政府関係者、研究機関、大学から多くの訪問がありました。展示参加を通じて、日本の気候変動への取り組み、地球環境変動の把握・予測の重要性、地球シミュレータを用いた気候モデルについて、関心が高まっていることを実感しました。

説明する近藤特任研究員と来訪者の様子

 

イベント区画の様子(その2)

 今回のCOP参加では、過去経験がないほどの“騒ぎ”を体験しました。まず、根本的なロジスティクスの面で、会場収容人数を大幅に超えたオーバーブッキングが参加者からの不評をかいました。後半初日の14日(月)の朝、registrationの手続き作業が大混乱に陥り、筆者は、寒い中3時間以上外で待たされた末に、やっと会場へ入ることができました。8時間以上待たされた人や入場を断念した人も出るほどでした。この混乱は、全体会合でも、議事進行に関する発言として、指摘されるほどでした。二日目以降も若干の緩和はしましたが、混乱は続き、デモ隊や悪天候による交通機関の遅れ、さらに一斉に押し寄せる参加者を調整するために電車がBella Center駅を通過するなど、交通機関を変則に運行する非常な事態が続きました。閣僚級会合が開催された16日からは、政府代表団メンバーの全体会合への入場制限も行われ、首脳級会合が開催された17・18日は、NGOは2万人中300人と入場規制されたため、多くのNGO参加からなる展示区画は閑散とした状態となってしまいました。それでも、会場内は多くの人で混雑しており、メディアや警護の数も増え、世界のリーダーが会場内を急ぎ足で行き来していました。その他、会合そのものにも多くの混乱があり本質的な議論になかなか辿り着けないCOPとなりました。

<会合参加報告は、こちら(IPCC WG1国内支援事務局ホームページ)よりご覧いただけます。>

その他会場内の様子

18日 首脳演説中の会場内の様子