21世紀気候変動予測革新プログラム

近未来気候予測

体制

概要

本課題は、地球シミュレータを用いてこれまでにない解像度の大気海洋結合気候モデルを構築し、人為要因による2030年程度までの近未来の気候変化の予測実験を行う。
温室効果気体だけでなく、各種エアロゾルなど詳細な気候変化要因を取り入れ、また、過去数十年の実際の気候変動を考慮した初期値化を行ったうえで、アンサンブル手法により異常気象の変化や水災害リスクなど近未来の気候変化についての予測とその信頼性を定量的に示す。
不確実性情報を含む定量的な予測結果は、各方面に提供し、地球温暖化への対応促進に寄与する。

予測モデルの高度化

研究課題名:高解像度大気海洋結合モデルによる近未来予測実験

東京大学気候システム研究センター、国立環境研究所、海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センターが共同して開発してきた大気海洋結合気候モデル『MIROC』を、高精度、高解像度化して、大気60kmメッシュ、海洋20kmメッシュという世界で例を見ない高解像度を実現し、2030年程度までの近未来の気候変化の予測実験を行う。
エアロゾル、雲過程など、地球温暖化予測における不確実性の要因である物理プロセスの表現も最新の知見を取り入れ、刷新する。

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研究課題名:海洋モデルの高精度化による気候変動予測の向上に関する研究

全球海洋モデルの高精度化を図り、気候モデルによる予測精度の向上に貢献する。海洋の細かい渦を表現できる水平20 km格子の全球海洋モデルの中で、日本近傍を重点的に高解像度化し、特に日本付近の表現精度向上を図る。他の領域についても、領域を限ったモデルを使って海洋プロセスの解明と気候再現のパフォーマンス向上を図る。最終的には、本課題で構築された全球海洋モデルを上記課題の大気海洋結合気候モデルの海洋部分と差し替えた実験を行い、全球海洋モデルの高精度化による気候変動予測の向上を実証する。

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不確実性の定量化・低減

研究課題名:アンサンブルデータ同化手法を用いた不確実性定量化技術の開発

長期的気候変動の再現と予測における不確定量を評価できるアンサンブル手法を開発して、近未来予測のために最適な初期値を作成し、再現および予測された気候変動の不確定量を評価する。予測対象が長期間になるほど海洋内部の変動の再現が重要であると考えられるため、海洋に重点を置いたデータ同化手法を開発する。また、上記のデータ同化手法と組み合わせて、近未来予測に最適な初期値を作成するための技術開発を行う。ここで開発したシステムは、近未来予測の本番実験で適用される。

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自然災害分野の影響評価

研究課題名:不確実性を考慮に入れた近未来予測に基づく水災害リスク変化の推定

上記で開発した高解像度気候モデルの結果を、人間活動を考慮した水循環モデルに入力して、河川流量・土壌水分量など陸面水文量を高精度で再現するシステムを構築する。とくに、洪水など水災害に結び付く極端現象の再現精度向上を図る。過去から現在のシミュレーションを行い、一方で過去の水災害データを世界規模で整備し、両者を照合することで、陸面水文量を災害発生危険度や災害被害額に翻訳可能にする。そして、このシステムを、近未来の気候変化予測実験に適用することで、将来の水災害変化を従来よりも高精度で、社会に分かりやすい情報として示すことを可能にする。

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