「人・自然・地球共生プロジェクト」課題2第17回研究連絡会議議事録1.日時:平成16年3月1日(月) 14:00-16:002.場所:海洋科学技術センター横浜研究所 (横浜市金沢区昭和町 3173-25) 小会議室 議事次第: 1)開会挨拶 2)進捗状況報告 (1)共生課題2:温暖化・大気組成変化相互モデル開発グループ 1)「共生研究における物理・化学過程のモデリングについて」 ○8月くらいまでに論文の種をまき、組織的な対応をしておくべき○3-9月で全過程の組み込みができることが望ましい。 ○実験メニュー: 現状は全昇温がわかっていて、それに合わせて感度を調整している。 昇温の起因の配分の議論ができるような実験を考える。 ○問題点
2)NICAM 開発状況
○陸面過程: MATSIRO実装中 (3月-4月予定) ○雲微物理過程:実装済み バルク法 warm cloud : Kessler (1969), Klemp & Wilhelmson (1978) cold cloud : Grabowski (1998), Lin et al. (1983) (Bin 法 基底関数法導入予定) ○地表面フラックス過程:実装済みLouis (1979), Uno et al. (1995) ○乱流過程:実装済み Mellor & Yamada level 2, 2.5 ○1日分の計算(3.5 km 格子、50 層 ) が2-3 時間かかる見込み 全球一様では試行錯誤は無理なので、開発段階では、一部集中格子の使用や地球のを半径小さくすることを検討。 ○熱帯スコールラインのシミュレーション: 20km 格子(一部集中格子1.2 km)で再現に成功 ○見積もり 全球 14 km 格子 dt = 100 sec⇒80 ノード使って一日積分に6分30秒かかる 半径15度の範囲に集中格子 ( 1.4 km 格子dt = 5 sec) ⇒雲モデルが使える。 320ノード使えば1ヶ月積分は32時間 ○課題 3) NHM への雲微物理モデルの導入
1 moment Bott (1989) 2 moment Chen & Lamb (1994) ○雲粒数密度パラメタリゼーション Kuba et al. (2003) , Kuba & Iwabuchi (2003) ○初期雲粒粒径分布:ガンマ分布で表現 Kuba (2003) ○東北大学「雲解像モデル開発」との共同研究 (2)寒冷圏モデル開発サブグループ 進捗状況 (阿部 彩子) 温暖化に対する氷床の応答特性や海水準への影響を調べるため、現実をよく表現するよう氷床モデルを開発し、グリーンランドと南極への適応性を調べた(Saito and Abe-Ouchi,2004)。さらにグリーンランド地域の気候が3-4度温暖化すると海水準3メートル程度に相当する氷床の融解が起こり、南極地域は気候が7-8度以上温暖化してようやく氷床の融解による海水準上昇をもたらすことを示した。一方、温暖化の予測の程度について調べるため、地球シミュレータを用いて人工的なフラックス調節のない大気海洋海氷結合モデル(解像度は中程度、大気200km 、海洋100km 程度)の調整や感度実験を行なった。全球と比較してとくに温暖化感度が高い高緯度の気候や海氷の再現性や温暖化に対する応答特性を調べた結果、グリーンランド氷床周辺の温暖化の程度は、21世紀末頃に温室効果ガスが安定化したとしても、海水準に有意に影響を及ぼす程度に達する。大気中二酸化炭素増加量が年率1%と仮定して、4倍に達する140年間後までの予測を行った。全球に比べて気温増加が極域とくに北半球で大きく、グリーンランド氷床が海水準に有意に影響する程度となる。南極氷床においては降水量増加の方が気温増加の効果よりやや上回る結果となった。今後、モデルの不確定パラメタや感度の異なるバージョンで同様の実験を行なう。数十年変動や不確定性の幅など極域のより詳しい解析が必要である。さらに、同期した大気-氷床結合(部分統合モデル)の計算を可能にするためのプログラム改変をすすめており、現在調整を続けている。 3)その他サブグループの進捗状況 ・陸域炭素循環モデルサブグループ (市井 和仁)C4MIPに向けて土地利用変化によるCO2収支プロセスの組み込みと、FORTRAN版 Sim-CYCLEのコード整備を行っている。3月末には終了予定。 ・海洋生物地球化学モデルサブグループ (河宮 未知生) CMIP版マル中(いわゆる旧マル中)に移植した海洋炭素循環過程を参考に、最新版マル中への海洋炭素循環過程移植作業を行った。SPMP方式の並列化からMPMD方式への移行が、旧マル中と新マル中の間で起こっておりカプラーが大きく変更されているので作業には手間取ったが、ほぼ移植が完了した。 ・陸域生態系変動モデルサブグループ 開発中のDGVMのベクトル化を進めている。現状では、実行時間の9割程度を空間に関する計算が占めており、従って、この作業は少数のサブルーチンを最適化するだけで完了する見込みである。これとは別に、C4MIP(Coupled Carbon Cycle Climate Model Intercomparison Project)対応のため、Sim-CYCLEへ土地利用変化を扱うモジュールを追加した。現在のプログラムでは、土地利用変化や自然植生の回復をを極めて簡便に扱っているものの、とりあえずは大枠が用意され、GCMやマツシロ側での結合作業が開始できる状態とした。 ・成層圏化学サブグループ (滝川 雅之) 先月に引続き、ES L系を用いてパッシブトレーサを用いた成層圏の年代見積りのための数値実験を行なっている。t42/t63に関しては 10年積分が終ったので解析モードに入りつつあるところである。 ・気候物理コアモデル改良サブグループ (渡辺 真吾) 大気内部重力波を研究する上での到達目標である鉛直解像度100mの実験に向けて、agcmのmicro tasking版をhybrid鉛直座標に変更し、使用ノード数を増やす申請を行っている。 CCSRで開発中の新放射コードの成層圏大気対応版(完成版の一歩前)の導入作業を開始した。次回連絡会議までには結果が用意できる見込みである。 4)連絡事項
3.閉会 |