「人•自然•地球共生プロジェクト」課題2第21回研究連絡会議議事録

1.日時:1.日時:平成16年8月31日(火) 14:00−16:00
2.場所:海洋研究開発機構横浜研究所(横浜市金沢区昭和町 3173-25)
交流棟2階 小会議室

議事次第:

1. 開会挨拶

2.各グループからの進捗状況報告

(1)高解像度AGCMを用いて重力波抵抗パラメタリゼーションを改良する試み (渡辺真吾)

KISSME成層圏化学版の成層圏の温度場の季節変化や熱帯循環の再現性向上のために、Hinesによるパラメタリゼーションを導入している。高解像度T213L250 GCMによる重力波の直接シミュレーションの結果と、そこから導いた重力波ソースをHinesパラメタリゼーションに入力して行った診断計算の結果を比較し、Hinesパラメタリゼーションの性能を評価した。結果として、特にHinesパラメタリゼーションで無視している重力波の緯度方向の伝播が大きく大循環の再現性に影響を与えることが明らかになった。今後は緯度方向に伝播する重力波の性質をより詳しく調べると共に、現在のHinesパラメタリゼーションと高解像度GCMから導いたソースの組み合わせによって、大気海洋結合モデルの中層大気がどのていど現実的に再現されうるかのテストを行っていく。


(2)DGVMの開発状況について(佐藤 永)

樹冠内の光分布の求め方と、樹冠の枯れ上げ方に関するアルゴリズムを一部変更した。これらによって、モデルの構造的に気になる点は全てFIXされ、現在、木本の成長に関するパラメーター推定作業に入った。


(3)大気-陸域結合炭素循環モデルの開発進捗状況 (加藤 知道)

4月から現在までに、(1)SimCYCLE-MATSIRO‐AGCM結合モデルのパラメータチュー ニング、(2)C4MIP対応のモデル開発(土地利用変化プロセスの組み込み、インタフェー スの整備)、(3)C4MIP対応の実験を行ってきた。
(1)の中では、フェノロジー部分の改良&調整やCO2等の環境データの入力ミス等の解消、植物パラメータの調節を行った。これにより、当初見られた生産力の過小評価を正すことに成功し、そのLAIとNPPの全球分布は、NOAA AVHRRの衛星画像から得られたLAIやISLSCPによる17の生態系モデルによるNPPのものに対して、リーズナブルな一致を示した。(2)については、C4MIPプロトコル指定の外部強制力(sst,、CO2濃度、化石燃料放出、海洋CO2フラックス、陸面CO2フラックス、土地利用変化)の導入や、各種変数の出力などのモデルの改良を行った。(3)については、現在、実験開始に向けたテストラン行っている状態であり、(2)が終了次第、本格始動する予定である。


(3)その他サブグループの進捗状況
•海洋生物地球化学モデルサブグループ (河宮 未知生)
    炭素循環のみのKISSMEで、SPMD版とMPMD版の比較を行った。K1のマル中に比べ海洋モデルのロードが重くなっているのでSPMD版の方が速いと予想したが、実際はMPMD版の方が若干速かった。MPMD版でKISSMEによる温暖化お試し実験を行っていく。

•成層圏化学過程サブグループ(滝川 雅之)
    大気側における移流スキームで、東西風が非常に強い場合には質量の保存を必ずしも満たしていない問題があったため、これを修正した。パッシブトレーサを用いた長期積分を行ない、どの程度影響を受けていたのかについて検証する。また、統合モデルへのハイブリッド座標系導入も合わせて検討する。

•(須藤 健悟)
    炭素循環過程が導入された結合モデルにエアロゾル・化学過程を導入する作業を続行している。現時点では地表面におけるemission および deposition に関して陸面・海洋モジュールとの結合作業を行っており、全体の作業は9月中に終えたい。またこの時点では CHASER-SPRINTARS 結合モデルのパフォーマンスを評価していないのでこれについても行いたい。

•温暖化−雲・エアロゾル・放射フィードバック精密評価 (久芳 奈遠美)
    3次元非静力学雲モデルCReSS に雲微物理モデル(2モーメントビン法、セミラグラジアンビンシフト)とビン法に与える初期雲粒粒径分布をCCN情報から導くパラメタリゼーションの導入を開始した。
    方針ドキュメントは既に作成済みであったが、CReSS の開発者(名大、坪木助教授)とのつめに入った。充分つめた上でコーディングに入る予定。

•寒冷圏モデルサブグループ

3)連絡事項

    •10月のIGBP/GAIM(AIMES)会合への出席者がほぼ固まった。(その後の公開ワークショップへはまた別の人たちもくる。)
    リストを添付する。結構な有名人も多いので会って話をしたい相手がいれば河宮まで連絡。

    •IPCC第4次報告書のうち共生2にもっとも関連が深い第7章に関して、 Extended outline が届いた(添付書類)。各自で解析方針を決めたり論文を書いたりするときの参考にして欲しい。共生2で力を入れている C4MIP も話題に入っている。


4.閉会


添付ファイル

IGBP/GAIM(AIMES)会合への出席者
(Yokohama participants_30Aug.xls)


PCC第4次報告書第7章
(ExtendedOutlineWG1-Ch7.pdf)

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