「人•自然•地球共生プロジェクト」課題2第23回研究連絡会議議事録

1.日時:1.日時:平成16年11月5日(金) 14:00−16:00
2.場所:海洋研究開発機構横浜研究所(横浜市金沢区昭和町 3173-25)
交流棟2階 小会議室

議事次第:

1. 開会挨拶

2.各グループからの進捗状況報告等

(1)Simulating the ice age cycle climate change. (阿部 彩子)

One of the challenges of earth system modelling is to confirm the theories of ice age cycle by simulating the realistic response of the climate system to the change of orbital parameters, known as Milankovitch forcing, by phisically based models instead ofconceptual models. Three dimensional ice sheet model which includes the thermo-mechanical coupling is used to simulate the 100ka ice age cycle. An atmospheric GCM coupled to a slab ocean is used to estimate the climate sensitivity to Milankovitch forcing. Also the response to atmospheric CO2 which is known to have been changed during the ice age cycle is estimated by the GCM and ice sheet model. Within the range of possibilities of the physically based model,ice sheet volume and area of ice age cycles with a sawtooth shape 100 ka cycle for the passed 400,000 years are successfully simulated. It is shown that both contribution of CO2 and Milankovitch forcing are necessary for the ice sheet change, although the CO2 change affects the global climate change.
Preliminary results of our new PMIP2 (Paleoclimate Modelling Intercomaparison Project 2nd phase) experiments by the coupled ocean atmosphere GCM are shown to discuss the different roles of forcings for ice age climate.


(2)IGBP/GAIMミーティング報告他 (河宮 未知生)

前半では、10月25−26日に行われたIGBP/GAIMミーティングの様子を、Guy Brasseur氏のプレゼンテーション内容を基に伝えた。IGBP(国際地球圏生物圏計画)のコアプロジェクトの紹介や、IGBPがWCRP(世界気候研究計画)、IHDP(地球環境変化の人間社会側面に関する国際研究計画)、DIVERSITAS(生物多様性科学国際協同プログラム)と共同で進めるESSP(地球システム科学パートナーシップ)という枠組の紹介を行った。また地球システム科学を推進する世界の研究所を結ぶAIMES Institutional Networkという構想にフロンティアの参加が求められていることも伝えた。後半では、10月29日に行われたワークショップでの共生2からのプレゼンテーションを基に、炭素循環グループの近況を伝えた。現在、C4MIPのプロトコルに沿う形で陸域モデルと結合モデルに分かれて作業をしているが、陸域については、パラメータ調整を終えLAIやNPPについて比較的現実的な分布が得られるようになってきたこと、結合モデルについては(予備的)20世紀再現実験を終え全球CO2濃度時系列について現実的な結果が得られていることなどを紹介した。12月中旬以降にC4MIP参加グループ間のミーティングを持とうという話があるので、そのときまでに21世紀CO2濃度予測について一応の結果を出しておきたい。


(3)その他サブグループの進捗状況
•大気-陸域結合炭素循環モデルの開発進捗状況 (加藤知道)
    C4MIP対応実験について、AGCM-MATSIRO-SimCYCLE結合モデルを用いた、1875年から2000年までのテストランの結果、土地利用変化によるCO2放出スキームに問題があることがわかったので、現在修正中である。また、それと平行して、安定した初期値を得るためのSim-CYCLEのオフラインスピンナップも現在行っている。

•DGVMの開発状況について (佐藤永)
    ・先月に引き続いて仕様書の作成を進めている。コードや元文献と照らし合わせながら執筆しており、その過程で幾つかのバグを駆逐した。この作業については、あと一週間程度で完了させ、以後はパラメータの推定作業に戻る予定。
    ・いつまでも名無しでは不便なので、モデルにSEIB-DGVMと名前を付けました。Spatial-Explicit Individual-Base Dynamic-Global-Vegetation_modelの略。
    ・「Workshop on Climate Change Research」にて発表を行いました。

•成層圏化学過程 (滝川雅之)
    移流スキームにおいて、東西風が強い場合に大気における質量の保存性に問題があったため修正した。t42l20の場合、上部対流圏のヒマラヤ近辺などで水蒸気質量混合比などに数%程度の影響があったと推定される。併せて、新放射スキームを導入した場合、どの程度成層圏における循環が変わるかについてパッシブトレーサを用いて評価している。

•(須藤 健悟)
    IPCC-AR4の7.3, 7.4節のプロジェクトに関連した実験の準備を行っている。一つは2000/2030年をターゲットとしたエミッション変化および気候変動による全球オゾン分布・酸性物質沈着量などの各モデル計算値の相互比較であり、今月末が計算データ提出の〆切りである。今月前半はこの実験のために時間がとられるため、CHASER-SPRINTARSのKISSMEへの導入作業はその後になりそうな予感である。

•温暖化−雲・エアロゾル・放射フィードバック精密評価(久芳奈遠美)
    パラメタリゼーションに関しては、これまでのところをまとめて論文2編を執筆した
    (Part1:パラメタリゼーションを使わない詳細モデルの開発。Part2:パラメタリゼーションの開発、検証および応用)。近日中に投稿予定。ビン法雲微物理搭載非静力学3次元モデル開発は進行中。

•気候物理コアモデル改良 (渡辺真吾)
    前月に引き続き、T213L250 AGCMの重力波の解析を進めつつ論文を執筆している。
    またT213L640 AGCM実験のためのスピンアップを行っている。今後新放射コードを用いた際の成層圏の温度場の変化と、それに伴うプラネタリー波や傾圧不安定波の変化に関しても短報にまとめて投稿する予定である。11月後半からはKISSMEの成層圏への拡張と重力波パラメタリゼーションの調整を行っていく。



3.連絡事項

    •今年度後半のES計算資源の再分配を行った。「予備」として取っておいた分を切り分ける形で各グループからの希望には応えられる見込み。詳細は別途メイルで連絡する。
    ・1月7日(金)にES利用報告会がある。そのときまでに、特にESユーザは今年度の成果をある程度まとめておいて欲しい。
    ・MDPSの容量不足が著しい。K-2はもともと他のグループに比べ割当が少ないようでもあるので、容量増大を打診する。結果は追って連絡。
    ・プロジェクト全体としても後半戦に入ったので、論文執筆も早めに取り掛かってほしい。陸域炭素循環から1本アクセプト(Climate Dynamics)、あとは雲ー放射グループから1本投稿準備中、物理コアから1本投稿済みの連絡があった。


4.閉会


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