「人•自然•地球共生プロジェクト」課題2第32回研究連絡会議議事録1.日時:平成17年10月21日(金) 14:00−16:302.場所:海洋研究開発機構横浜研究所(横浜市金沢区昭和町 3173-25) 交流棟 2F 小会議室 議事次第: 1. 開会挨拶 2. 各グループ/サブグループからの進捗状況報告等 (1)海洋生物地球化学モデル (河宮 未知生) PPT File (kawamiya_05.10.26.ppt 1,682KB) 運営委員会では今年度のこれまでの進捗を報告する。主な内容を次にまとめる。
(2)動的全球植生モデルの開発状況 (佐藤 永) PPT File (sato_05.10.26.ppt 4,065KB) どの地域にどのような植物生態系が生じるのかは、気候環境に強く依存します。例えば、一年を通じて温暖で湿潤な地域には熱帯多雨林が、一年を通じて温暖だが乾燥している地域には、乾燥のパターンや度合いに応じて熱帯季節林・ステップ・砂漠が広がるといった具合です。一方で、植物生態系の分布や構造は、葉面からの蒸散量・陸面の太陽光反射率(アルベド)・生物量や土壌有機物としての固定炭素量・陸面粗度等々を変化させることで、気候環境にフィードバック的な影響を与えます。現在の植生分布や植生構造、そして気候環境は、このような植生と気候間の相互作用の結果であると考えられています。 したがって、地球温暖化などといった長い時間スケールで生じる気候変化を予測する為には、このような相互作用を扱えるモデルが必要となります。その際に問題を複雑にしているのは、気候が変化しても、その新しい環境に適応した植物生態系が生じるまでに大きな時間遅れがあるという事です。このような時間遅れは、数十年〜数千年のオーダーで生じると推測されていますが、これは種子の移入速度や既存植生の成長・更新頻度等々の関係で決まる複雑かつ多様な現象であり、いまだに信頼のおける予測は得られていません。 そこで、現在地球が経験しているような急速に進行する気候変化の下における、植生帯の構造・分布・機能の過渡的変化をより的確にシミュレートするため、我々はSEIB-DGVMというモデルを開発しています。これは動的全球植生モデル(DGVMs,Dynamic Global Vegetation Models)の一つで、気象・土壌データを入力に用いて、植生の短期的応答(光合成量や呼吸量など)と長期的応答(生物量や生態系の分布など)の両者を出力します。 従来のDGVMsと比較して、SEIB-DGVMを特徴づけているのは、グリッドボックスごとに幾つかの代表森林(または草地)をおき、その中で個体ベースで扱われた木本が定着し、成長し、そして死亡する点です。定着した場所から移動することの出来ない植物にとって、例えば多少の気温上昇よりも、隣の木が枯れて光環境が改善される方が、よほど大きな環境変化であり、このような局所的に生じる個体間相互作用を無視しては過渡的な植生変化を的確に予測する事はできない、というのがこの設計を採用した理由です。また、このようなモデルの設計は、既存の植物個体群動態の知見やデータとの親和性が高く、パラメーターの推定やモデルの検証が、容易かつ直感的であるという利点も併せ持ちます。 SEIB-DGVMは、設計とコード開発がほぼ完了し、現在は試行計算を繰り返す事で諸パラメーターの推定作業を行っています。そしてモデルの信頼性が十分に検証できた後に、共生第2プロジェクトにて開発された地球統合モデルKISSME(Kyousei2-Integrated-Synergic-Sytem-Model-of-Earth)へと結合され、気象-植生間の相互作用が未来の地球環境に何をもたらすのか、計算実験が行われる予定です。 (3) 温暖化・大気組成相互作用(大気化学) (須藤 健悟) PPT File (sudo_05.10.26.ppt 4,895KB) 統合モデル本体の構築作業として既に化学モデル CHASERやエアロゾルモデル SPRINTARS の結合・組み込みが終了している。今年度前半の作業では CHASER の成層圏への拡張を見込み、光解離定数計算手法の修正を行い、成層圏化学導入の検討を開始した。また植物起源 NMHCs emission 過程については陸域生態系モデルとの結合を検討している。昨年度から参加している IPCC-AR4 関連の大気化学プロジェクト(モデル間相互比較)では他の統合モデルに組み込まれている化学モデルも複数参加しており、CHASER による参加は有意義であったと思われる(CHASERによる結果はモデルアンサンブルの中でも特に平均・標準的なことが確認された)。各種将来予測実験も地球シミュレータ上で実行しており、SRESの各シナリオ間の違いを解析し、将来の気候変動・成層圏オゾン変動が対流圏オゾン・メタン・エアロゾルに及ぼす影響も議論した。 (1)寒冷圏モデル(齋藤 冬樹) PDF File (saitoh_05.10.26.pdf 1,372KB) 今月は共生第一の温暖化実験の結果のうち中解像度版のもの用いて Greenland氷床の温暖化についての追加実験を進めた。現在解析を進めている。 (5)気候物理コアモデル改良サブグループ(渡辺 真吾) PPT File (wnabe_05.10.26.ppt 844KB) 対流圏化学・エアロゾルの結合が完了した統合モデルの上端を80kmまで拡張し、鉛直層数を80層とした。これに、成層圏気候の再現に重要な、鉛直hybrid座標系、更新された放射コード、および非地形性重力波抵抗パラメタリゼーションを導入した。 (6)連絡事項
4.閉会 |