「人•自然•地球共生プロジェクト」課題2第33回研究連絡会議議事録1.日時:平成17年12月20日(火) 14:00−16:302.場所:海洋研究開発機構横浜研究所(横浜市金沢区昭和町 3173-25) 交流棟 2F 小会議室 議事次第: 1. 開会挨拶 2. 各グループ/サブグループからの進捗状況報告等 (1)モントリオール出張報告‐地球温暖化に対する国際的取組み‐(近藤 洋輝) PPT File (地球温暖化に対する国際的取り組み.ppt 607KB) モントリオール出張報告 今回の会議の報告にあたり、まずその背景情報について紹介した。地球環境問題全般に関する国際的活動の経緯の中で、IPCCや国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)がどのように生まれ、その下でようやく昨年発効に至った京都議定書についての内容と課題にふれた。また、共生プロジェクトがIPCCへの寄与を目指して開始されたことから、その国際政策へのかかわり方についても述べた。 UNFCCCの第11回締約国会議(COP11=11th Conference of Parties to the UN Framework Convention on Climate Change)、及びその分科会である、補助機関(SBs=Subsidiary Bodies)のうちの科学上及び技術上に関する補助機関第23回会合(SBSTA23=23rd Session of the Subsidiary Body for Scientific and Technological Advice)、さらに本年2月16日に京都議定書が発効したことによる、第1回締約国会合(COP/MOP1=1st Meeting of the Parties serving as the Conference of Parties to the Kyoto Protocol)は、カナダ、モントリオール市の国際会議場で、平成17年(2005年)11月28日〜12月9日に開催された。 参加者数はCOPとしては過去最大であり、181締約国、2オブザーバー国、23の国連関連国際機関、35の政府間機関、365の非政府機関(NGO)から5848人の他、287の報道機関から817名の合計9474人の参加があった。 COP11及びCOP/MOP1の議長に就任した、ディオン(Stéphane Dion) カナダ環境大臣は、次の目標を掲げた:
日本政府代表団は関連省庁のほか、文部科学省からは、海洋地球課地球・環境科学技術推進室の栗山調査員とともに、同省参与として近藤が、COP11、SBSTA23、COP/MOP1それぞれの全体会合(Plenary)に参加し、またSBSTA23の議題9(「研究と組織的観測」に関する審議に加わり、小生はさらに、世界銀行主催のサイドイベントにも参加しパネラーとしてプレゼンテーションと討論を行った。 COP11&COP/MOP1の主要な成果と意義は以下のようにまとめられる:
SBSTA23の議題9 (研究と組織的観測)に関わる議事では、全球気候観測システム(GCOS)実施計画の実施促進に向けて今後の方向性・活動を検討することを中心に、組織的観測についてのみ審議がなされた。その結果、組織的観測に関する報告ガイドラインの改訂に合意し、GCOS実施計画の更なる推進と各国・地域・機関による活動の歓迎、実施の進捗に関する包括的報告書の作成、GEOとGCOSの実施計画の調整、海洋気候観測の強化、データ交換の改善、観測能力開発の必要性等を確認する結論が採択された。 なお、SBSTA23結論と併せて、SBSTA22で勧告された「条約に関する研究ニーズ」に関する決定案が研究に関する初めての決定としてCOP11において採択された。(2)成層圏化学過程の進捗状況( 滝川 雅之) PDF File (takigawa_05_12_20.pdf 1,875KB) CHASER に対する成層圏化学の拡張については、二酸化窒素やメタン、ハロンなどの温暖化物質および塩素・臭素などのハロゲン化合物における気相反応の導入をほぼ終了した。対流圏版の CHASER からどの程度計算時間が増加するかを推定するため、短期間の積分を行なった。その結果、鉛直層数の増加および化学種トレーサーの増加などにより、対流圏版の CHASER からおよそ 4 倍程度増加した。また Kurokawa et al. (2005) の球面効果の導入も併せて行なった。下部成層圏の極渦の周辺部などで放射フラックスが 40% 程度増加した。今後は気候値再現実験を行なうとともに、オゾンホール再現実験に重要な、下部成層圏における PSC エアロゾル表面上での不均一反応の導入などを行なっていく予定である。 3.その他サブグループの進捗状況 (1)動的全球植生モデルSEIB-DGVMの開発状況 (佐藤 永) ○物理モジュールにおける改良作業 ○植物生理モジュールにおける改良作業 ○なお、詳細な作業記録等は、SEIB-DGVMホームページ (2)大気-陸域結合炭素循環モデルの開発進捗状況 (加藤 知道) 20世紀中の炭素収支と土地利用変化の影響について、NiNO3やSOI等のENSO指数を含めた結果の詳細な解析と論文執筆を行っている。来月半ばの投稿を目指している。 (3)寒冷圏モデル (齊藤 冬樹) 共生一の中解像度モデルの実験に加えて高解像度モデルの実験の結果を用いて、グリーンランド氷床の応答のついての温暖化実験を行った。また中解像度モデル実験の 300 年長期実験の結果を用いて温暖化実験を行い、両者を比較した。 (4)物理気候コアモデル改良サブグループ(渡辺 真吾) 大気モデル単体による結合に向けたpre-industrialスピンアップ実験を行い、放射収支のチューニングに関して、ある程度パラメータに対する感度が理解できてきた。今後は実際に海洋と結合した状態でスピンアップを続けていく。 (5)海洋生物地球化学モデル (河宮 未知生) C4MIPに差し替え提出したバージョンの結果解析を進めている。マウナロアなどの観測点データとの比較、エルニーニョとCO2フラックスとの相関などについて調べている。また、陸域モデルについてさらにチューニングを行い現実により近づけたバージョンや、海洋生態系モデルのパラメータを変えたバージョンによる実験も行っている。2月上旬には計算が終了する見込み。 (6)連絡事項
4.閉会 |