「人•自然•地球共生プロジェクト」課題2第35回研究連絡会議議事録

1.日時:平成18年4月26日(水) 14:00−16:30
2.場所:海洋研究開発機構横浜研究所(横浜市金沢区昭和町 3173-25)
交流棟 2F 小会議室

議事次第:

1. 開会挨拶

2. 各グループ/サブグループからの進捗状況報告等

(1)動的全球植生モデルSEIB-DGVMの開発状況(佐藤 永)

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前年度までのSEIB-DGVMの開発成果と、今年度のスケジュールについて発表した。

  • 前年度までの成果:様々な課題を残しながらも、より現実的な全球シミュレーション出力が得られるようになった。

  • 今年度のスケジュール:土地利用変化モジュール、および農業生態系モジュールを開発・結合させた後に、SEIB-DGVMを地球統合モデルへの結合作業を支援する。また、全球シミュレーションに関する論文を執筆し投稿する。



(2)大気-陸域結合炭素循環モデルの開発進捗状況 (加藤 知道)

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昨年度までに、気候―陸域炭素循環結合モデルの開発は終了し、統合モデルへの提供と、20世紀中の炭素収支の再現を完了している。今年度は、完成したモデルを用いて、21世紀における土地利用変化が、直接の炭素放出やアルベド・蒸発散量の変化による気候変化を通して、どのように気候と炭素循環に影響を与えるかを調べる。さらに、将来の植生分布やそれに伴う群落構造の変化を考慮するために、佐藤らによるSEIB-DGVMの導入も行う。今年度末までに、コーディングやパラメーターのチューニングの完了を目指す。



(3)寒冷圏モデル (齊藤 冬樹)

寒冷圏では on-line の氷床-気候結合-モデルによる温暖化実験を開始した。
大気のみとの相互作用を導入したモデルは順調に動いていて、現在海洋との相互作用を導入している。



(4)物理気候コアモデル改良サブグループ(渡辺 真吾)

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平成18年度の物理気候コア改良サブグループの研究計画を発表した。昨年度に引き続き、対流圏気候のチューニングを行い、気候感度等が従来の中解像度MIROCと同程度となるようにした上で、成層圏気候のチューニングを行う。
成層圏化学過程の導入を行い、オゾンホールの再現などが、従来の成層圏化学のみを導入したモデルと比較して遜色ないものになるように、物理気候(重力波抵抗パラメタリゼーション)の改良も行っていくこととする。



(5)大気化学現状報告 (須藤 健悟)

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温暖化・大気組成変化相互作用(大気化学)班の平成18年度研究目標

2003−2005年度のまとめ:

  • 化学モデルCHASERとエアロゾルモデルSPRINTARSを結合する作業を完了。
  • 化学・エアロゾル結合コンポーネントの統合モデル(KISSME)への組み込み。
  • CHASER化学スキームの成層圏化学への対応・拡張。 (気相化学追加・光解離定数計算手法の改良など)
  • IPCC-AR4大気化学関連プロジェクトへの日本モデルとしての貢献。
  • CHASERによる過去・将来の対流圏オゾン化学変動の再現・予測。 エミッション・気候・成層圏オゾンのそれぞれの影響を分離して評価。
    --> 気候変動や成層圏オゾン変動の影響もそれぞれ重要。
    (--> 成層圏化学も対流圏化学も同時にシミュレートする必要がある)

2006(平成18)年度目標:

  • CHASERモデルコンポーネントへのオゾンホール(極域成層圏雲:PSCs)化学スキーム(Akiyoshi et al., 2004など)と不均一反応の導入 --> 試験RUNと詳細な評価(衛星データ SAGE-I/II、TOMSなどとの比較)
  • オゾンホール表現に付随する作業:重力波抵抗と光解離定数計算(大気球面の効果)の調整。
  • 非メタン炭化水素類(VOCs)エミッションの陸域コンポーネントの結合:コーディングおよび試験RUN。
  • 成層圏・対流圏化学結合版CHASERで過去のオゾン変動について初期的な再現実験に着手し、モデル結果と過去の観測データとの比較を行う。
    --> 次期共生的プロジェクトでさらに発展的な実験・解析が行えるとラッキー。



(6)海洋生物地球化学モデル (河宮 未知生)

PPT File (kawamiya_06.04.26.ppt 1010KB)

本年度は

  • 炭素循環入り結合GCMによる温暖化実験の感度実験が終了したので、それに基づいた論文執筆
  • 大気化学過程まで入った統合モデルによる20世紀気候再現実験及び温暖化実験
の2点を大きな目標にすえている。1点目については、陸域の炭素貯留量を変えた実験においても、系に内在するフィードバック強度安定化機構により気候−炭素循環系のフィードバック強度はそれほど変わらないことを指摘する内容にしようと考えている。2点目については、K1環境研グループとも相談しつつ細かい内容をつめていく。

3)連絡事項

  • 5月11日の運営委員会では、今日の各発表に昨年度成果まとめめのスライドを1,2枚加えたものにする。
  • JAMSTEC内のアウォードに、統合モデルを使った計画を提出してある。この件に関して将来お手伝いをお願いする可能性あり。
  • 関連する大きな国際学会として、11月に北京で開催されるESSPのカンファレンスがある。5月1日アブスト提出締切。

4.閉会


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