「人•自然•地球共生プロジェクト」課題2第36回研究連絡会議議事録1.日時:平成18年6月19日(月) 14:00−16:302.場所:海洋研究開発機構横浜研究所(横浜市金沢区昭和町 3173-25) 交流棟 2F 小会議室 議事次第: 1. 開会挨拶 2. 各グループ/サブグループからの進捗状況報告等 (1)大気-陸域結合炭素循環モデルの開発進捗状況 (加藤 知道) PPT File (kato_060619.ppt 6.843KB) ・気候―陸域炭素循環結合モデルによる20世紀中の炭素収支の再現のうち、新たな結果について紹介した。SSTとCO2濃度を1900年で固定した条件での実験によると、20世紀中に増加したNPPとHRは、NPPについてはCO2濃度増加による光合成速度の上昇、HRについては温度の上昇による呼吸活性の上昇と、NPP増加によるリターフォールを通した呼吸基質の増加が原因であることが示唆された。CO2濃度について結合モデルによる推定データをGLOBALVIEW-CO2観測点の実測データと比較したところ、南北方向の季節変化の大きさの違いや、年々変化の傾きの大きさの2点で、一致が見られモデル実験の推定可能性が高いということが再確認された。また、全球平均のCO2濃度と気温のアノマリーを比較したところ、前者は1−2年程度の遅れを持って後者の変化に合わせて動いているように診られ、さらにそれらの間には陸域生態系の炭素収支が大きく関与していることが示唆された。 ・今年度計画している21世紀における土地利用変化と気候―炭素循環相互作用の影響の解明において、現行結合モデルの陸面過程が抱える問題点について発表した。将来的に地表面被覆が変化する機構を取り入れたときに起こるアルベドや気孔コンダクタンスなどの変化が、放射・熱・水・炭素収支に及ぼす影響を統一的に扱うためには、これまで以上にSim-CYCLEとMATSIROの間で植生・水循環に関する情報を共有する必要があり、今後SEIB-DGVMを含めた3つの陸面過程モデルの開発者間で対応策を検討する必要があると考えられた。 ・Sim-CYCLEとSEIB-DGVMの開発を担うECRPの現状と今後の方向性について、6月8日に北大にて行った検討会の概要を紹介した。 (2)物理気候コアモデル改良サブグループ(渡辺 真吾) PPT File (wnabe_060619.ppt 104KB) 昨年度後半から現在にかけて、統合モデルのコード開発の歴史を振り返り、開発の現状を報告した。成層圏化学を導入した統合モデルは、本連絡会議の時点ではまだバグが残っているが、間もなく解消される見込みである。また、成層圏の不均一反応に関しては、今後組み込み予定である。 3.その他サブグループの進捗状況 (1)動的全球植生モデルSEIB-DGVMの開発状況(佐藤 永) ・全球シミュレーションに手こずっている。主要な問題は乾燥域で植生が現れにくい点と、温帯域で常緑広葉樹林が生じにくい点。前者に関しては、水収支モデルの特性に問題が残っており、乾燥地ではより乾燥した状況が出力される事に原因がある。後者に関しては、SEIB-DGVMは、単一のPFTから構成される森林の実測値を用いてパラメーター調整を行っており、このことが必ずしもPFT間の競争を適切に再現できるわけではないことに原因があると認識している。後者の問題に関しては、さしあたり、全球でのパラメーター調整を行うことによって対応を試みているが、計算量の増大によってトライ&エラーに要する時間が長くなり、悪戦苦闘の最中にある。 ・単一林分でのシミュレーション結果を可視化するためのツールを作成した。 (2)寒冷圏モデル (齊藤 冬樹) 寒冷圏では、先程開始した on-line の氷床-気候結合-モデルによる温暖化実験に若干の不具合が見つかり、現在対応策を検討の上再実験をする準備を進めている。 (3)海洋生物地球化学モデル (河宮 未知生) 炭素循環モデル結果の解析を進めている。温暖化による正のフィードバックに対して、どの地域・海域の寄与が大きいか、またそのフィードバックの地理的な違いをもたらすメカニズムはなにか、という点に焦点を置いている。 4.連絡事項
5.閉会 |