「人・自然・地球共生プロジェクト」課題2第9回運営委員会議事録

1. 日時
平成17年5月9日(月) 14:00―17:00

2. 会場
海洋研究開発機構横浜研究所(横浜市金沢区昭和町3173-25)
交流棟2階 小会議室

3.議事次第
1) 開会挨拶
2) 進捗状況報告

(1)寒冷圏モデル (阿部 彩子)
平成16年度の研究成果のまとめと平成17年度の研究計画の報告を行った。

(2)炭素循環モデル開発、雲・エアロゾル・放射フィードバック
精密評価:昨年度成果のまとめと今年度計画
(河宮 未知生)

PPT File (kawamiya_05.05.09.ppt 3,318KB)

炭素循環モデル開発に関して、昨年度の主な成果を次のようにまとめることができる:

  • オフライン実験による温暖化影響評価(Climate Dynamics, JMSJ 誌に掲載)
  • AGCMへ移植したSim-CYCLEのパラメータチューニング
  • 大気海洋結合大循環モデルへの炭素循環モデルの組み込みと、それによる温暖化影響評価
  • C4MIPへのデータ提出、海洋モデル結果解析請負
  • 植生動態モデル(DGVM)の、1地点を扱うバージョンによる妥当性検証
  • DGVMの大規模スケールバージョンのテストラン

以上を踏まえ、平成17年度の研究計画としては次のようなことを考えている。

  • パラメータ調整後の結合炭素循環モデルによる温暖化再実験完了 →C4MIP Phase1,2 へのデータ提出
  • C4MIP参加各グループの海洋モデル結果解析→論文執筆
  • SEIB-DGVMによる地球規模植生分布再現実験→論文執筆

次に雲・エアロゾル・放射フィードバック精密評価に関しては、昨年度の主な成果を次のようにまとめることができる:

  • 詳細雲微物理モデルによるGCM用パラメタリゼーションの開発とそれを通した有機 エアロゾルの重要性の示唆・全球雲解像モデルによる水惑星実験による、温暖化時の雲フィードバック評価

以上を踏まえ、平成17年度の研究計画としては次のようなことを考えている。

  • NICAMへのエアロゾルモデル(SPRINTARS)導入
  • NICAMへの雲微物理モデル導入
  • 現実的海陸分布、地形を入れた実験

3) 総合討論

(甲山) 須藤氏の発表でVOCsの動的な取り扱いの可能性に触れていたが、まずは呼吸量にfactorをかける形でよいと思う。またN-deposition の問題はこれから重要になる。
CO2施肥効果に対するN制限との兼ね合いで、生態学に対する大きなinputとなる。

(井上) N-deposition に関するモデル結果の妥当性検証は進んでいるのか。

(秋元) 酸性雨との兼ね合いで観測との比較も行われている。Factor 2 の範囲内では一致している。

(早坂) Emission inventory の信頼性は

(秋元) よい。とくにヨーロッパのデータは信頼性が高い。

(遠藤) 海洋による人為起源CO2の吸収が観測とよく合っているということだが、「なぜ合っているか」の検討も必要。

(河宮) 今年度は海洋モデル結果の解析を計画している。その中で「正しい理由で正しい結果になっている」のか調べていく。

(木本) プロジェクト残り期限の2年でどこまで開発を進めるのか。達成すべきことの取捨選択をして、外から見える結果をきちんと出すことが大事。また、次の次のIPCC報告書では共生2タイプのモデルによる実験が中心になると予想される。今のうちから、「フロンティアでこうしたモデルを開発している」というメッセージを発信していくことも必要。

(松野) 海外への広報にも力を割いている。海外で開催される地球システム科学関連のワークショップ等にも招待されることが多くなってきた。

(近藤) 統合モデル開発は「先を見た」プロジェクトといえるが、期限をつけてコンポーネントモデルを順次結合していく過程は必要である。外に見える成果を、という意識は確かに大事。なお地球システムモデルの開発はアメリカよりもヨーロッパの方が熱心で、先行している感がある。

(中澤) 統合モデルによる実験結果の検証方法は?

(河宮) 特別なことは考えていない。観測データとの比較は当然行う。

(高橋) 炭素循環との結合が一通り完了したのは評価できる。

(中澤) 過去の気候データを検証に使うことができるのではないか。

(松野) 過去の観測データとの比較は行う。また、古気候データ、とくにダンスガード・エシュガー振動などタイムスケールの短い現象に着目して比較を行えれば面白いと考えている。

(中澤) 現在の古気候データでは、時間分解能があらく異なったデータ間での時間軸の整合性がとりにくい。最先端では有力な手法の開発も進んでいるが、現在のところでは、あまり短いタイムスケールの現象について厳密な議論はできない状態である。

(溝部) 計算機科学や並列プログラミングの専門家とも交流をもち、地球シミュレータの有効利用を心がけて欲しい。

以上



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