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概要

MAT TOOLBOX 2018

変動する地球の最前線:プレート沈み込み帯を地質から読み解く地球のヒミツは、地球に記録されている。野外に出かけ、航海にでかけ、陸上、海底下の地質研究からその記録を読み取る。房総半島の模式断面図と温度構造。被熱温度の低い、沈み込み帯浅部が陸上に露出しているのは、非常に珍しい。プレート沈み込みと地震海溝に堆積した泥や砂は、海洋プレートともに地下深部へと沈み込みます。沈み込むにつれ、まわりの温度・圧力は大きくなり、岩石化が進むとともにその性質を変化させ、大きなエネルギーを解放する地震破壊をも引き起こすようになります。言い換えると、ここで起こる物質変化が地震発生機構の大きなカギを握っていると言えます。そこで私は、プレート沈み込み帯の様々な深度でおこる変化が記録されている場所に出かけ、それらの情報を抽出しようとしています。たとえば、日米欧が中心となって進めているIODPによる海洋掘削に参加し、世界中の様々な沈み込み帯から試料を採取しています。しかし、海洋掘削は技術的な制約もあり、海底下3 kmよりも深い場所をまだ掘削できていません。そこで、陸上の露頭にも注目しています。西日本の太平洋側には、海底下5 kmよりも深くまで沈み込んだ付加体が広く分布しています。また、JAMSTECからも近い三浦・房総半島は、海底下3-4kmまで沈み込んだ後地上に隆起した付加体が露出する、世界でも珍しい場所です。これらの地質体から、その深度に特有の変形と物質情報を抽出することで、沈み込み帯の物質進化を追跡しています。2018年から2019年にかけて、「ちきゅう」は紀伊半島沖において海底下5kmにある沈み込み帯の断層や周辺の岩石を採取することに挑戦します。成功すれば、科学掘削としてダントツの世界最深記録です。私も構造地質学チームのリーダーとして乗り込む予定です!変動帯のジオハザード:海底地すべり・液状化etc.プレート沈み込み帯という巨大な変動帯では、付加体の成長もしくは削剥によって、活発な地形変化が発生します。地形が隆起、もしくは沈降すると、重力的に不安定になります。また、頻繁に起こる地震によって砂層の液状化が起こります。これら重力不安定や液状化が起こると、多くの海底地すべりが発生します。海底地すべりが発生すると、海底ケーブルや石油などの資源採掘の設備など、私たち人類にとって重要な海底インフラが破壊されてしまいます。また最近の研究では、海底地すべりが津波を誘発することがわかってきました。特に、地震が誘発した津波に海底地すべりによる津波が融合することによって、津波が巨大なものになった報告が、多く寄せられています。私は、掘削や陸上の地質調査によって過去に起こった液状化や海底地すべりの岩体を調査し、より長時間の地質体の形成過程との相関を明らかにしようとしています。海底の地形に加え、泥や砂が堆積する速度、それに関連して発生する異常間隙水圧の発生が、海底地すべりの発生に大きく貢献することがわかってきました。また、複数の海底地すべりの発生順番にルールがあることが、陸上の地質研究と室内実験から明らかになってきました。これは、現在の海底において次の海底地すべりが発生する位置の予測、減災対策に活かされる可能性があります。16計地算球科学