ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

MAT TOOLBOX 2018

IODPInternational Ocean Discovery Program(2018年現在)掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行う多国間国際協力プロジェクト。日米が中心となり、26カ国が参加している。Keywords房総半島から発見された、海底地すべりの堆積物。地震時の液状化がきっかけとなって、斜面崩壊した。地震破壊が海底近くまで!2011年の東北地方太平洋沖地震では、地震破壊が海底表層に達し、海溝付近で約50 mもすべったことが明らかになりました。地震破壊がこのような海底表層まで達したことは、地震学、そして地質学の常識を覆しました。直後に紀伊半島沖で「ちきゅう」が採取したプレート境界断層のごく浅部からも摩擦発熱の痕跡が発見され、同じように地震破壊が海底表層まで達したことがあきらかになりました。私も、房総半島において海底下約1kmで形成された地震断層を発見しました。驚くことに、その断層は摩擦発熱によって熔融していたのです(シュードタキライト)。このことは、首都圏に近い房総周辺で、過去に地震すべりが海底表層まで達していたことを示します。海底表層まで高速の地震破壊が達すると、大きな津波を引き起こす可能性が高いのです。2017年秋から2018年春にかけて、房総半島においてこの断層を東西に約15 km追跡し、そのうちの3カ所で掘削を行いました。これによって3次元的な破壊の運動像が明らかにでき、これをもとにこの断層がすべった際に起こったであろう地震動や津波高を把握することができると期待しています。液状化海底や湖底などに堆積した砂に地震動が働くと、砂粒子同士のかみ合いが外れ、水の中に浮いたような状態になり、液体のようになってしまう現象。これが起こると剪断強度がほぼゼロになってしまうため、海底地すべりが起こりやすい。シュードタキライト断層が高速に運動して地震が発生する際に、断層面に摩擦発熱が生じて岩石が熔融する。このようにして生じたガラス質の断層岩。形成に高速な運動が必要なことから、地震の化石とも呼ばれる。ちきゅう海洋掘削で活躍中の地球深部探査船。房総半島の石堂断層沿いのシュードタキライト。この断層が、過去に地震性すべりを複数回経験したことを示す、直接証拠である。山本由弦Yamamoto Yuzuru役職主任研究員E-mail yuzuru-y@jamstec.go.jp所属学会日本地質学会専門分野アメリカ地球物理学連合アメリカ地質学会専門分野構造地質学MAT Toolbox 2018 17