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概要

MAT TOOLBOX 2018

海洋・地球・生命の統合的理解へ天体物理学からアプローチする海洋・地球・生命は、原始惑星系円盤と呼ばれる回転ガス円盤から生まれた。その複雑な流体力学と化学を最先端の数値シミュレーションで解明することで、海洋・地球・生命の起源に迫る。ピー勾配など様々な要因によってガスの回転運動は安定を失い、その結果、乱流や渦運動が発生することがあるのです。ダストはそういった複雑な流体運動の中で合体成長していくことになります。図1惑星形成の舞台となる原始惑星系円盤の想像図。誕生しつつある星が中心にあり、その周囲に岩石質のダストなどを含む回転ガス円盤が形成されている。Credit: NASA/FUSE/Lynette Cook海洋・地球・生命の起源JAMSTECが研究目標として掲げる海洋・地球・生命の統合的理解。それらの起源は、いずれも原始惑星系円盤に求めることが出来ます。原始惑星系円盤とは、誕生しつつある星の周囲に形成される回転ガス円盤であり、そのサイズはちょうど太陽系と同じぐらいです(図1)。さらに、太陽系の惑星の軌道面がほぼ揃っていることから、太陽系の惑星は原始惑星系円盤から生まれたと考えられています。そして、原始惑星系円盤の主な成分は太陽と同じ元素組成のガスですが、その中に水分子や有機分子、岩石質のダストなども含まれていることが観測的にわかっています。つまり、海洋・地球・生命のすべての材料が実際に原始惑星系円盤には揃っているのです。原始惑星系円盤の流体力学原始惑星系円盤に揃っている材料から地球を始めとする惑星がどのようにして形成されるのかについては、実はまだ良くわかっていません。というのも、それを理解するためには、0.1ミクロンサイズのダストから直径10000キロメートルサイズの惑星へ、空間スケール14桁を超える合体成長の問題を解かなくてはならないからです。この問題を考える上で特に重要となるのが、原始惑星系円盤ガスの流体力学です。なぜなら、ガスに対するダストの質量存在比は初めわずか1%程度であり、ダストの運動はガスの運動に大きく影響を受けるからです。さらに、ガスの運動は、惑星のような単純な回転運動とは限りません。原始惑星系円盤に存在する磁場、自己重力、エントロ輻射磁気流体シミュレーションそこで我々は、第一に原始惑星系円盤の複雑な流体力学の解明に取り組んでいます。乱流や渦運動など、流体力学の非線形発展を調べるときに威力を発揮するのが数値シミュレーションです。ただし、ここでは、通常の流体力学シミュレーションに、磁場との相互作用、自己重力を取り入れる必要があります。さらに、ガス温度の決定に強く関わる現実的な熱力学(状態方程式と輻射輸送)も取り入れることが非常に重要です。なぜなら、ガスの回転運動を不安定化させる磁場との相互作用や自己重力が、ガス温度にとても敏感だからです。そこで、我々は独自に熱力学平衡計算を行い、必要となる熱力学量データベース(状態方程式とガス不透明度)を作成しました。こうして、上記の物理プロセスをすべて組み込んだ数値シミュレーションコードを開発し、それを原始惑星系円盤流体力学の非線形発展問題に適用しています。シミュレーションで何が解る?数値シミュレーションからは、原始惑星系円盤で実現される流れの構造や安定性がわかります。具体的には、中心にある星からの距離に応じて異なる特徴を持つ乱流が励起されることがわかってきました(図2)。これらの乱流を解析することで、ダストの合体成長が受ける影響を評価することが出来ま22宇宙物理