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概要

MAT TOOLBOX 2018

研究船の運航計画立案時に役立つ情報を提供~海洋観測促進のために~激増する研究航海の要望、限られた船舶、限られた日数、限られた燃料。最大限海洋観測を実施するためには一体何が必要なのか?過去の運航情報をデータベース化する国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)は複数の研究船舶を所有しており、機構内外からの研究航海の申請を受けて、それら航海のスケジューリングや運航の管理を担っています。現在、巨大地震の発生や地球温暖化による海底地震計等の設置や海水温変動調査、さらに海底資源探査・深海底生物環境調査など、海洋観測の要望は年々増加する一方です。しかし、国家予算の研究開発部門への配分の頭打ちによる研究船舶燃料費の不足から、研究者の要望に全て答えるような研究観測航海の実施は不可能となっています。よって、いかに効率良く海洋観測を実施するか、すなわち最適な研究航海スケジュールを組むことは必要不可欠となっています。今までは台風などはある程度考慮して航海計画を立ててはいたものの、すでに実施された航海の情報、すなわち「過去の航海において、どの程度予定されていた航海・観測が実施されたのか」という情報は全く加味されていませんでした。これは、そもそも「過去の航海において、どの程度予定されていた航海・観測が実施されたのか」という情報が整理されておらず、その航海の「成功率」の定量化も全く行われていなかったためです。よって本研究では、将来の研究航海のスケジューリングに役立つ情報を提供するため、過去の航海の運航情報をデータベース化し、さらに各々の航海の「航海・観測実施率」の定量化を行なっています。過去の運航情報を解析する過去の運航情報をデータベース化することによって、各々の航海において、どれだけの時間が荒天などにより避泊や避航に費やされていたのかを見積もることができます。このように様々な原因によって回航や観測が中止を余儀なくされていた時間を「ダウンタイム」と呼びます。そしてダウンタイムの全航海時間に対する割合を「ダウンタイム率」と言います。ダウンタイムは様々な原因で発生します。最も大きな原因はやはり海況不良です。しかし、使用する探査機の故障などによるダウンタイムを無視することは出来ません。このダウンタイム率が過去、各々の船舶でどの程度であったのか、またダウンタイムに影響がある要素には何があるのかを明らかにするために、統計解析を行っています。ダウンタイム率の、原因による違い、船舶による違い、年による違い、調査海域による違い、使用観測機器による違い、航海実施季節による違い、などなどを明らかにすることで、将来の航海計画を立てる上で重要な情報を提示できるのでは、と考えられています。ダウンタイムを予測する過去の運航情報を統計解析することからさらに一歩進み、将来の航海におけるダウンタイムを予測することが出来れば、これが最も重要な情報となるのではないか、と期待されます。本来、ダウンタイムに最も影響を与えているのは「海況」です。しかし、現在、全ての運航計画は、実施される航海の前年度に立てられます。よって、最もダウンタイムの原因となりうる「海況不良」について、天気予報などによる情報を利用してダウンタイムを32海洋工学