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概要

MAT TOOLBOX 2018

振動的な熱対流地球上において、ある場所の気候変動と他のある場所の気候変動が同期していることがあります。その複雑な同期プロセスを数理的に解明し定量的にモデル化することは、気候変動予測の高精度化につながります。一方、地球の大気大循環の形成における極・赤道間の温度差および自転の効果を系統的に調べるための模型実験として回転水槽実験が知られています。近年、地球大気でみられる同期現象の理解に向けた試みのひとつとして、回転水槽の結合系における振動対流の同期現象が研究されています。我々は、この同期現象の数理的な解明を目指しています。最近、その第一歩として、流体方程式のリミット・サイクル解として記述される、Hele-Shawセル中の振動的な熱対流に対する位相縮約法の定式化に成功しました。そして、熱的に相互作用する一対のHele-Shawセルの間の位相同期ダイナミクスを解明しました。現在、回転水槽実験系の振動対流に位相縮約法を適用中です。θ/π= 0.06Z40.500.2520.00h0-0.25-2-0.50-4-6024681012xh鞭毛の振動運動海綿動物は襟細胞室の鞭毛を運動させることで、水流を生み出していることが知られています。襟細胞室の鞭毛集団の運動を解析することで、海綿動物の水輸送機構に対する数理科学的理解とその工学的応用を目指しています。本研究は海洋生命理工学研究開発センター新機能開拓研究グループとの共同研究です。最近、鞭毛の振動運動を偏微分方程式のリミット・サイクル解として記述する数理モデルの位相縮約法の定式化に成功しました。そして、流体相互作用する一対の鞭毛の間の位相同期ダイナミクスを解明しました。加えて、鞭毛の同期現象には鞭毛の根元付近が重要であることを数理科学的に示しました。今後は、この結果を一般化することで、襟細胞室の鞭毛集団を記述する位相方程式を導出する計画です。その導出された位相方程式は、海綿動物の水輸送機構を数理科学的に理解する上で本質的な貢献をすると期待されます。加えて、本成果は、ゾウリムシなどで観察されるメタクロナル波の研究にも応用可能であり、大きな波及効果が期待できます。θ/π= 0.56Z40.500.2520.000-0.25-2-0.50-4-6024681012xリミット・サイクルリミット・サイクルとは、時間に陽に依存しない微分方程式の状態空間における孤立した閉軌道のことです。リミット・サイクルは、その微分方程式の時間周期解に対応します。位相感受性位相感受性は、各点・各時刻に加えられた弱い摂動に対する系の位相応答を定量化します。よって、位相感受性は位相縮約法において最も基本的な量です。回転水槽実験回転水槽実験では、円筒状の容器の内側を冷やし外側を温めながら回転させています。これは、地球の極・赤道間の温度差および自転の効果を考慮したものであり、回転水槽は地球の半球を模擬しています。Hele-ShawセルHele-Shawセルとは、2つの垂直な壁の間の隙間が他の2つの空間方向よりもはるかに狭い空洞のことであり、2次元空間とみなすことができます。熱対流の実験では、セルの上側を冷やして下側を温めています。海綿動物海綿動物は原始的な多細胞生物です。海綿動物の表面には、いくつかの大きな孔と無数の小さな孔が開いています。海綿動物は、水を小さな孔から取り込み、大きな孔から吐き出しています。Keywordsh6420-2-4θ/π= 1.5Z0.500.250.00-0.25-0.50h6420-2-4θ/π= 1.0Z0.500.250.00-0.25-0.50襟細胞室海綿動物の体内には水路がはり巡らされています。水路の途中には、部屋がたくさんあります。その部屋は襟細胞室と呼ばれ、襟細胞が密集しています。各襟細胞は鞭毛を持っています。-60 2 4 6 8 10 12x-60 2 4 6 8 10 12x鞭毛の振動運動と位相感受性のスナップショット。[Kawamura and Tsubaki, Phys. Rev. E 97, 022212 (2018).]河村洋史Kawamura Yoji役職主任研究員E-mail ykawamura@jamstec.go.jp所属学会日本物理学会専門分野非線形動力学MAT Toolbox 2018 5