ACuTEManとは
地球型岩石惑星内部のマントルの対流は、プレート運動を始めとしたテクトニックな活動の原動力となっています。マントル対流は岩石が「固体」のままで「流れる」という特異な現象ですが、そのような岩石の流れを解くために本プロジェクトで使用されているのが大規模数値計算用マントル対流数値シミュレーションコード ACuTEManです。このプログラムは我々が独自に開発した、高粘性かつ非圧縮 (あるいは非弾性) の流体の流れ場を高速かつ精度よく計算する頑健な数値解法に基づいたもので、(i) マトリックスを構成する必要がないため使用メモリ量が少ない、(ii) 多重格子法との親和性が高い、(iii)ベクトル化・並列化が容易である、という優れた特徴を持っています。このプログラムは機能の追加・拡張などバージョンアップが継続中であり、現在では巨大地球型惑星 (スーパーアース) のマントル対流など、岩石惑星内部に特有のさまざまな問題を解くことが可能になっています。
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図1:地球の約10倍質量の系外惑星(スーパー・アース)内部のマントル対流計算の一例。赤、青はそれぞれ高温、低温の部分を表す (Miyagoshi, Kameyama & Ogawa, 2015) -
図2: プレート運動を伴うマントル対流の計算例。矢印はプレート運動の速度場を、表面の色は粘性率(黒が大きく、白が小さい)を表す。(Miyagoshi, Kameyama & Ogawa, 2020)
参考⽂献
- Kameyama, M. (2005) ACuTEMan: A multigrid-based mantle convection simulation code and its optimization to the Earth Simulator. J Earth Simulator 4:2–10
- Kameyama, M., Kageyama, A., Sato, T. (2005) Multigrid iterative algorithm using pseudo-compressibility for three-dimensional mantle convection with strongly variable viscosity. J Comput Phys 206(1):162–181.
- Miyagoshi, T., Kameyama, M., Ogawa, M. (2015) Thermal convection and the convective regime diagram in super-Earths. J Geophys Res Planets 120:1267–1278.
- Miyagoshi, T., Kameyama, M., Ogawa, M. (2020) Tectonic plates in 3D mantle convection model with stress-history-dependent rheology. Earth Planets Space 72:70.
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