これまで文部科学省では、令和2年度から「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」により、南海トラフ沿いでの「異常な現象」(半割れ・一部割れ・ゆっくりすべり等)の科学的・定量的な評価のための研究開発等を推進してきました。しかし、南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)のデータも活用した震源決定の精度向上や、未解明である「ゆっくりすべり」の推移評価、さらには日本海溝・千島海溝沿いの地震の科学的・定量的評価への適用が課題となっています。
また、令和6年能登半島地震では、地震・津波による建物やインフラへの直接被害に加え、土砂崩れ・火災等の災害が連鎖したため、被害状況把握や復旧の遅れの要因となり影響が長期化しました。このような連鎖災害の被災予測精度を向上させ、事前対策を加速させることが巨大地震災害の被害軽減において重要です。
本事業では、南海トラフ地震等海溝型巨大地震による災害に関して、①「南海トラフ地震の評価手法高度化と他地域への展開」及び②「広域連鎖災害への事前対策の加速」を柱に、自然科学(理学・工学等)と人文・社会科学の知を結集した地震防災研究を推進することで、令和6年能登半島地震における連鎖災害による影響の長期化の教訓も踏まえ、人命の保護、発災時の被害最小化、経済社会の維持、迅速な復旧・復興という国土強靭化の基本目標達成を目指します。