地球温暖化に直結する大気組成の変動:
人間活動の寄与と軽減策を探る

地球温暖化の最大の原因は大気中の二酸化炭素を含む温室効果気体の増加です。また、気体状や粒子状の大気汚染も、全球の気候へインパクトをもたらします。たとえば、温暖化の進行が速い北極域では「ブラックカーボン」などの影響にも高い関心がもたれています。私たちはこれらの物質に着目した広域観測と数値モデル計算を実施し、アジア・全球をキーワードに、それらの濃度変動の要因となる人間活動や、陸・海にわたる自然プロセスを総合的に評価しています。観測では、船舶、国内の離島観測所を活用し、また海外とも連携した観測網を展開しています。モデル計算では、地球シミュレータや「京」などの最新の計算資源を活用しています。IPCC第6次評価報告書へ向けて、リードオーサーやレビューエディターとして世界最新の知見集約を進めると同時に、SDGs13.1~3における「気候変動の影響を軽減するアクション」を支える科学的知見を提供しています。世界最先端の「データ同化システム」も開発し、進歩が著しい国内外の大気組成衛星観測データの効果的な活用を進めています。また「化学天気予報」システムによる森林火災プリュームや越境汚染の短期予測にも取り組んでいます。これらを活用し、今後さらに人間活動が集約される「都市」の大気質や健康影響、沿岸域への影響の問題にも取り組み、SDGs11.6, 3.9, 14.1にも貢献しています。

大気中のCO2濃度増加と数値モデルから排出吸収量を推定する。
海洋地球研究船「みらい」での大気組成総合観測。
データ同化から得られた、窒素酸化物排出量推計値の変化。2005-2010, 2011-2014年の変化量。

地球環境部門 地球表層システム研究センター 物質循環・人間圏研究グループ