海が持つ二酸化炭素の吸収能力への陸・人間活動の影響を探る

海洋は二酸化炭素の最大の吸収域であり、植物プランクトンなどの生態系が介した吸収メカニズムを把握し、保全していくことが必要です。JAMSTECでは、温暖化自体の影響に加えて、近年拡大する陸・人間活動の影響がどの程度の海域に及び、二酸化炭素の吸収能力を変化させているのか、調べています。そのため米国海洋大気庁(NOAA)と連携し、貧栄養な西部太平洋亜熱帯域にKEOと呼ばれる定点を設置し、係留システム、船舶による時系列海洋観測により、渦、気象擾乱、大気塵などを通じた栄養塩供給メカニズムに関するデータを収集しています。栄養塩としては窒素に加え、今後、鉄などの微量成分にも注目します。衛星データ解析および地球システムの数値シミュレーションなども加え、陸・人間活動の影響が及ぶ範囲についても見極めます。衛星観測からは、人間の暮らしに身近な沿岸域や縁辺海の情報収集・発信にも取り組み、人間生活を支えます。これらの研究活動は、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が実施している気候変動の予測および海そして地球の健康を改善するために貢献するもので、「SDG13気候変動に具体的な対策を」へ直結するとともに、海洋への人間活動影響の現状把握と将来予測に関わるため「SDG14海の豊かさを守ろう」にも貢献します。

セジメントトラップ:沈降粒子捕集装置(セジメントトラップ)による二酸化炭素の海洋内輸送の観測

地球環境部門 地球表層システム研究センター 物質循環・人間圏研究グループ

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