志津川湾岩礁生態系調査

代表機関：東北大学

2013/04/01 - 2014/03/31
毎月1回調査

志津川湾

フィールド調査

志津川湾奥に設定した永久調査区においてアラメ群落のモニタリング調査を継続し、津波による砂泥堆積と地盤沈下によって光環境が悪化したと推察される深所においても群落が維持され続けるのか否かを調べた。また、志津川湾内数地点においてウニの密度、サイズ組成、年齢組成等を調べ、加入密度や成長特性を把握した。さらに、ワカメの成長を促進する技術を開発するために、養殖ワカメの成長および生産量に対する施肥の効果を試験した。

志津川湾奥に設定した永久調査区においてアラメ群落が維持されるのか否かを調べた結果、水深1.5～4.7mでは維持されていたが、水深5.9～7.5mの深所では2013年11月～2014年2月にかけてほぼ全ての成体が消失し、群落が深所から浅所にかけて縮小したことが分かった。アラメ群落が縮小した深所においては同時期にキタムラサキウニの密度が上昇したため、アラメ群落の周囲に加入したウニがアラメ群落に移入し、成体を摂食して死亡させたものと推察された。2013年9-10月におけるキタムラサキウニの広域調査の結果、いずれの地点でも殻径2～4 cmの震災後加入群が出現しており、とくに北側湾口と湾奥の地点では個体群の9割以上を占めていた。このように志津川湾では、震災後に大量に加入したキタムラサキウニが成長し、アラメ群落内に侵入してアラメ成体を摂食している。藻場に侵入したウニは漁期に可能な限り漁獲する必要がある。次年度より無節サンゴモ群落に高密度で生息するウニを、籠養殖で約3ヶ月間コンブ・ワカメを食物として与え、生殖巣の量的発達の促進（身入り）と品質を向上させる試験を実施する。養殖ワカメの成長に対する施肥の効果を試験した結果、施肥すると施肥しなかった場合に比べて1株当たりの生産量は増加しないが、1個体当たりの重量が大きくなることが分かった。なお、施肥実験区と対照区のワカメ各15個体の一部は、窒素濃度を測定するために乾燥して保存してある。今後はより簡便で効率的な施肥技術の開発をめざす。

FY2013 志津川湾岩礁生態系調査

CTD Sizugawa (St A-E) FY2013
CTD Sizugawa (Bentenzaki) FY2013