牡鹿半島岩礁生態系調査

実施年度

2014

タイトル

牡鹿半島岩礁生態系調査

課題・テーマ

課題1 漁場環境の変化プロセスの解明
代表機関:東北大学
テーマ2 宮城県沿岸域における生態系保全調査
代表者吾妻 行雄
所属機関東北大学
所属部署大学院農学研究科

調査内容

調査期間(調査頻度)
2014/04/01 - 2015/03/31
月1回
調査地域・海域
牡鹿半島狐崎沿岸
0085_R01_map00.pdf
調査種別
フィールド調査
調査概要
牡鹿半島狐崎沿岸の2つの調査区域(エリアA、エリア B)を設け、震災による地盤沈下の後の個体群あるいは群集の動態変化をモニタリングする。エリアAでは褐藻エゾノネジモク群落とウニ各種の分布や生物季節データから、これらの種間相互関係を地盤沈下や海洋環境の変動との関係で明らかにする。エリアBでは、褐藻アラメ群落におけるアラメ各個体の生残と成長過程の追跡を行い、地盤沈下後の本群落の動態を環境との関係で明らかにする。また、植食性巻貝のコシダカガンガラの移動・成長・生残の調査や排除実験を実施し、アラメ群落の動態との関係を調べる。

調査実施内容

調査地域・海域の座標一覧
位置情報(点)
名称エリアA_地点A
名称エリアA_地点B
名称エリアB
備考調査区の基点
調査結果
<エリアB> 1) アラメの成体に関しては沖側と岸側において生残率に顕著な相違はなかった。しかし、岸寄りの成体は成長していたにもかかわらず、沖側では成長が停滞していた。調査区内の岸側には多数の幼体の新規加入が見られたが、沖側では加入がほとんど観察されなかった。岸側への幼体加入は栄養塩濃度の増大の後に生じたため、栄養塩類がアラメ胞子体の出現を促進する可能性が示唆された。一方、光量の変化と海水温の経時変化の幼体加入への明確な関与は認められなかった。 2) アラメ群落の遺伝構造解析については、調査区内の全個体からのDNA解析用サンプルの採取は完了しているが、解析用プライマーの準備が整わない。準備ができ次第解析を実施する予定である。 3)コシダカガンガラの殻径組成には、3峰が認められ、経時変化からは、新規の加入が9月に生じることが明らかになった。生殖腺指数の経時変化から、繁殖期は7-9月であることが分かった。これまでの解析から、出生後1年目に視認サイズに達し2年後に急成長して成熟サイズになり、その後成長率は低下することが明らかになった。成長率低下のため、殻長組成の最大の峰は複数コホートで形成されている可能性が高く、これらから寿命は4年以上であると推定される。今後、出生群毎の摂食速度を求め、野外密度データとの照合から野外での摂食圧の推定を行う。現在、巻貝類排除の野外実験も進行中であり、この実験結果は野外摂食圧の支持データとなる見込みである。

調査項目と取得データ

調査項目取得データ・サンプル
エゾノネジモクエリアAにおけるエゾノネジモク群落の現存量や生物季節データ
ウニエリアAのエゾノネジモク群落におけるウニ2種(キタムラサキウニ、バフンウニ)の密度や体サイズ、年齢、成長、生殖巣の発達と色彩など
アラメエリアBにおけるアラメ個体群の動態データ
巻貝エリアBにおけるコシダカガンガラの移動・成長・生残データおよび巻貝排除実験によるアラメ群落への影響のデータ
環境エリアBにおける、光量子、塩分、水温、流向・流速データ(データロガー使用)、および濁度データ

関連情報

実施(調査)窓口担当者

担当者名青木優和
所属機関東北大学
所属部署大学院農学研究科

キーワード

実施年度2014
機関東北大学
調査種別フィールド調査
海域区分石巻湾
分野海洋物理 -> 水温
海洋物理 -> 塩分
海洋物理 -> 海流・潮流(流向・流速)
海洋物理 -> その他
海洋化学 -> 塩分
海洋化学 -> 溶存酸素
海洋化学 -> 栄養塩
海洋環境 -> 栄養塩
海洋環境 -> 植物色素
海洋生物・生態系 -> バイオマス
海洋生物・生態系 -> 生態
海洋生物・生態系 -> 対象生物:海藻
海洋生物・生態系 -> 対象生物:軟体動物
海洋生物・生態系 -> その他
地形・地質・地球物理 -> 底質