調査期間(調査頻度)2014/04/01 - 2015/03/31
調査頻度:1~2月毎に1回調査
調査地域・海域
女川湾(金華山周辺水域、志津川湾を含む)
調査種別フィールド調査
調査概要①湾内において、筒・カゴ、刺網を用いた底魚とベントスの採集調査を行う。主要漁業対象種については、耳石を用いた年齢査定を行い、Age-length keyを作成する。②女川魚市場の刺網とカゴによる漁獲物の市場調査を行う。体長測定と尾数計数を行い、市場伝票整理および1.で得られるAge-length keyを基に、主要魚種の年齢組成、年級組成を推定する。③定置網(金華山周辺と志津川湾)の操業実態を、標本船に操業日報の記載を依頼して調査し、経年変化の把握に取り組む(データ入力と解析)。
調査地域・海域の座標一覧
位置情報(面) | 名称 | 女川湾 |
---|
座標値 | 38.441407,141.456514/38.441407,141.459947/38.438718,141.460977/38.438718,141.457544/38.440869,141.456857 |
---|
|
調査結果1)刺網による漁獲調査で採集された魚種組成と年級組成
女川湾における採集調査では、前年から引き続き、アイナメやエゾイソアイナメ等の終年定住種が終年採集され、秋には偶来種のマサバが多く採集された。このような漁獲物組成の特徴や、夏季に採集尾数が少なくなることは、2012-2013年と変わらない傾向であった。
震災前のデータと比較すると、夏季の魚種組成としては、マコガレイ、ギスカジカが減少、コノシロが増加した。また年平均の組成としては、明瞭な変化は認められず、採集個体数も同レベルであった。
女川湾の主要漁獲対象資源であるアイナメは、漁獲調査漁獲物および刺網漁業漁獲物ともに、ほとんどが全長25cm以上であったが、2012年当初に多く漁獲された40cm以上の大型魚はほとんど漁獲されなくなった。
年齢組成は、2歳と3歳が中心であった。震災前に発生した2010年級群と震災時の2011年級群が主であったが、2012年級の順調な加入も確認された。
2)刺網を用いた漁獲調査で採集されたメガロベントス相
2014年は、春季にはマヒトデとヤドカリ類が優占していたが、夏季からシャコの採集個体数が増加した。2012-13年に比べて、サメハダヘイケガニとヒメエゾボラの割合が減少したという特徴があった。
なお、大規模撹乱前の組成(個体数組成、刺網採集物)と比較すると、若干種組成が単純化した傾向があるものの、別クラスターに属するようになるといった顕著な変化は認められなかった。サメハダヘイケガニが年によって大きく増減することも、大規模撹乱前と同様であった。採集個体数は以前より増加していた。個体数組成の中で、ヒトデ、シャコ、ヒメエゾボラの割合が若干増加しており、湾内の底質が泥化した影響であると考えられた。
3)女川魚市場における刺網漁獲物組成
2014年の女川魚市場における水揚伝票から、刺網およびカゴで漁獲され水揚げされた漁獲物のうち、湾外で漁獲されたタラ類(マダラ、スケトウダラ)とサケを除いた漁獲物組成(重量)を調査した。マアナゴ、ミズダコ、アイナメが終年水揚げされており、周期にババガレイやヒメエゾボラが増加している。1トンを超える水揚げ量は10月のみであった。
女川魚市場に水揚げされた刺網漁業の漁獲量は、その7-8割をマダラ、サケが占めるが、2013年はほぼ震災前の水準に戻り、2014年は震災前を大きく上回って500トン以上になった。マダラの豊漁が全体の漁獲量を押し上げたが、一部ヒラメの漁獲量増加も一因となった。
2013年に刺網を営み女川魚市場に水揚げを行った経営体数は45であり、2008年(漁業センサス)の160に比べて、著しく減少した。2014年も45名であり、全く変わっていないことが明らかとなった。