雄勝湾におけるホタテガイ養殖の環境収容力

実施年度

2014

タイトル

雄勝湾におけるホタテガイ養殖の環境収容力

課題・テーマ

課題1 漁場環境の変化プロセスの解明
代表機関:東北大学
テーマ4 宮城県沿岸域における増養殖環境調査と水産増養殖技術の開発
代表者尾定 誠
所属機関東北大学
所属部署大学院農学研究科

調査内容

調査期間(調査頻度)
2015/01/01 - 2015/01/31
年1回
調査地域・海域
雄勝湾の2定点(St 1, 2)
調査種別
フィールド調査
調査概要
宮城県雄勝湾の2定点(St1, 2)に垂下養殖されているホタテガイを上層・下層に分け、ホタテガイの貝殻の計測、軟体部及び各器官(生殖腺、閉殻筋)の重量測定、その重量比を調べ、震災前との比較から成育状況を評価した。今年度の雄勝湾全体のホタテガイ養殖施設と垂下ホタテガイの復旧状況並びに生産量から割り出した、1連あたりの生産量からも成育状況を評価した。養殖環境として低次生産を担う植物プランクトン現存量をクロロフィルa量として測定し、垂下養殖期間中の湾全体としての餌料環境の推定することで、餌料環境と成育状況評価から環境収容量を検討した。

調査実施内容

調査地域・海域の座標一覧
位置情報(点)
名称地点1
座標値38.487232,141.496177
備考観測地点
名称地点2
座標値38.504135,141.510554
備考観測地点
調査地点図・航跡図・座標リスト
調査結果
2014年における宮城県雄勝湾のホタテガイ養殖施設は震災前である2010年と比較し約66%まで復旧しており(前年比で1.3倍増加)、ホタテガイ養殖生産量は震災前の2010年に比べ約76%まで回復した。この2014年における生産量を耳吊り養殖1連当たりに換算すると23.7kg/連であった。これは震災前の20kg/連に比べてわずかに高い生産性が認められたものの、前年の2013年の30.9kg/連からは減少に転じた。また2014年一年間の水深20m以浅における総クロロフィルa量の積算値を算出したところ、2013年と顕著な差は観測されなかった。貝殻成長は2013年においては震災前に観察された深所での小型化は認められなかったのに対し、2014年では2定点のいずれにおいても深所での小型化が検出された。閉殻筋指数(軟体部に占める閉殻筋重量パーセント)も上層下層とも38前後と震災前の30より高い数値を示した。以上これまでの結果は、2013年のデータにおいては餌料環境に対して養殖ホタテガイが十分な摂餌が保障されていることを示唆していたのに対し、2014年では施設数が増加しているにもかかわらず、連あたりの生産量は減少傾向にあったことから、養殖ホタテガイの収容数が過剰傾向にあることが推察された。

調査項目と取得データ

調査項目取得データ・サンプル
ホタテガイの貝殻成長比較2定点のホタテガイの深度ごとの貝殻サイズ
ホタテガイの軟体部各部位の成育比較2定点のホタテガイの深度ごとの軟体部の各部位の重量と重量比
雄勝湾のホタテガイ養殖の生産性雄勝湾のホタテガイ養殖生産量・施設数データ
餌料環境調査クロロフィルa

関連情報

実施(調査)窓口担当者

担当者名尾定 誠
所属機関東北大学
所属部署大学院農学研究科

キーワード

実施年度2014
機関東北大学
調査種別フィールド調査
海域区分三陸南部
分野海洋物理 -> 水温
海洋環境 -> 基礎生産量
海洋生物・生態系 -> 生理
海洋生物・生態系 -> 対象生物:軟体動物