実施年度
2014
タイトル
岩手県南部海域における魚類の再生産に関する実態調査
課題・テーマ
課題1 漁場環境の変化プロセスの解明
代表機関:東北大学
テーマ5 岩手県南部海域における海洋環境の現状調査代表者 | 加戸 隆介 |
---|
所属機関 | 北里大学 |
---|
所属部署 | 海洋生命科学部 |
---|
調査内容調査期間(調査頻度)2014/04/01 - 2015/03/31
毎月1回
調査地域・海域
越喜来湾・大槌湾・野田湾・盛川
調査種別フィールド調査
調査概要東日本大震災が魚類の再生産に与えた影響とその後の回復過程、および防潮堤工事等の影響を把握することを目的として、越喜来湾の砕波帯やアマモ場に設定した定点において仔稚魚の出現動態を調べた。また、浪板海岸のアマモ場の面積測定と防波堤におけるホヤの個体数を調査した。盛川ではアユの天然遡上数を調べた。大槌湾と野田湾においては、ヒラメ稚魚の出現動態を調べた。
調査実施内容
調査地域・海域の座標一覧
位置情報(点) | 名称 | 越喜来湾浦浜海岸 |
---|
名称 | 越喜来湾浪板海岸 |
---|
名称 | 大槌湾 |
---|
名称 | 野田湾 |
---|
|
調査結果2014年の越喜来湾浦浜海岸における調査では6目21科26種以上2805個体の出現が確認された。昨年の6目15科20種以上1504個体と比べて種数・個体数ともに増加した。昨年に続きチカやアユの個体数に増加が確認されたが、これは堆積する砂の増加によって産卵環境や成育環境が回復したことによるものと考えられる。
また浪板海岸アマモ場では、2014年5目16科29種以上1008個体の出現が確認された。昨年の4目15科24種以上2877個体と比べて種数が増加したものの、個体数は大きく減少した。中でも優占種であるクダヤガラやアサヒアナハゼ、ウキゴリ等の減少が顕著であった。津波により流失したアマモ場は2011年末の680㎡から2013年夏には1200㎡まで生育面積が拡大し、さらに2014年8月には3300㎡と震災前より増加していることがGISを用いた空撮映像の解析によって確認された。また、昨年に続きホシガレイの幼魚が出現したことから、浪板海岸が本種の成育場として利用されていることが示唆された。耳石輪紋の解析を行った結果、2013年および2014年に採集した個体は共に当歳魚であり、それぞれの前年12月ごろに孵化した個体であることが明らかとなった。
野田湾のヒラメ着底稚魚に関して、分析年度数は限られているものの(n=6)、年度ごとの稚魚着底密度と減少係数には正の相関があった。着底稚魚数の減少要因は死亡のみならず調査した浅海域からの散逸もあるが、密度依存的であった。また、野田湾のアミ類密度とヒラメ稚魚減少係数との間には反比例的な関係があった。餌であるアミ類の密度が一定の値以下になると減少率が急激に増加した。本年度採集されたヒラメは野田湾44個体、大槌湾85個体であった。ヒラメ着底稚魚の主な初期餌料であるアミ類の分布密度は例年より低かったが、ヨコエビ類が多く出現した。本年度は餌環境からは特異的な年であったと言える。今後、胃内容物の解析を行い、ヒラメ稚魚への影響を評価する予定である。
調査項目と取得データ
調査項目 | 取得データ・サンプル |
---|
水質調査 | 水温、塩分、PH、DO、濁度 |
魚類調査 | 魚類(主に仔稚魚)の種組成および出現動態(砕波帯、アマモ場等) |
アマモ場調査 | アマモ場の面積および状況、水中画像 |
関連情報
実施(調査)窓口担当者
担当者名 | 朝日田 卓 |
所属機関 | 北里大学 |
所属部署 | 海洋生命科学部 |
担当者名 | 林崎健一 |
所属機関 | 北里大学 |
所属部署 | 海洋生命科学部 |
キーワード
実施年度 | 2014 |
---|
機関 | 北里大学 |
---|
調査種別 | フィールド調査 |
---|
海域区分 | 三陸北部
三陸南部
|
---|
分野 | 海洋物理 -> 水温
海洋物理 -> 塩分
海洋物理 -> 透明度・濁度
海洋化学 -> 塩分
海洋化学 -> 溶存酸素
海洋化学 -> 水素イオン濃度 (pH)
海洋環境 -> 水素イオン濃度 (pH)
海洋生物・生態系 -> 生物分類
海洋生物・生態系 -> 生態
海洋生物・生態系 -> 対象生物:魚類
海洋生物・生態系 -> 藻場・干潟分布
|
---|