実施年度
2013
タイトル
岩手県南部海域における漁業対象生物の遺伝的集団構造の調査(アワビ、ナマコ、ウニ)
課題・テーマ
課題1 漁場環境の変化プロセスの解明
代表機関:東北大学
テーマ5 岩手県南部海域における海洋環境の現状調査代表者 | 加戸 隆介 |
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所属機関 | 北里大学 |
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所属部署 | 海洋生命科学部 |
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調査内容調査期間(調査頻度)2013/04/01 - 2014/03/31
サンプリングは年数回、分析は随時
調査地域・海域
岩手県唐丹湾・越喜来湾
調査種別フィールド調査
調査概要エゾアワビ、マナマコおよびキタムラサキウニは、三陸沿岸漁業を支える重要種である。これらの漁業は天然資源に依存しており、東日本大震災が天然海域に及ぼした影響を調べることは重要である。津波の影響により親集団の個体数が減少し、その結果遺伝的多様性の減少が予想される。本研究では、集団の衰弱を引き起こす遺伝的多様性の低下をモニターするために、マイクロサテライト(ms) DNAを指標として、遺伝的集団構造を震災前後の年齢群間で比較検討した。
調査実施内容
調査地点図・航跡図・座標リスト
調査結果①エゾアワビ
対照データである震災前出生群集団のアリル頻度およびアリル数等を明らかにした。今後、分析する年齢群、個体数およびmsDNA座数を増加しつつ、遺伝的集団構造を継続して分析し、震災前後出生群間で比較検討する必要がある。保管サンプル: 岩手県唐丹湾産野生集団59個体、越喜来湾産野生集団68個体(筋肉組織、冷凍保存)。
②マナマコ
同一の場所から一時期に採集された標本集団であったが、体重における正規分布の形状および産卵時期から推測し、本集団は震災前の2010年5-7月以前に生まれた年齢群と、震災後の2011年5-7月以降に生まれた年齢群とに分けて検討可能であった。震災前後の集団でハーディー・ワインベルグ平衡に大きな乱れはなく、極度な近交または遺伝的異集団の大量移入はなかったことが考えられた。しかしながらアリル数を検討したところ、震災後に生まれた群において遺伝的多様性が減少している傾向が見られた。激しい近交が掛かったことは考えにくいが、津波により従前の集団中の個体が大量に死亡あるいは分散したことにより、集団が縮小した可能性が考えられた。今後、分析する年齢群、個体数およびmsDNA座数を増加しつつ、遺伝的集団構造を継続して分析する必要がある。保管サンプル: 岩手県唐丹湾産野生集団82個体(管足組織、冷凍保存)。
③キタムラサキウニ
本種については、今後集団解析を行う上で有効なmsDNA座を探索した。4座検討したうち、極めて高い変異性を示す1座を見出し、この座が指標として有効であることが考えられた。また、この1座におけるアリル頻度など基礎的なデータを得た。今後、新たなmsDNA座を探索するとともに、震災後出生群を分析した場合の対照データとして用いる予定である。保管サンプル: 岩手県唐丹湾産野生集団54個体(生殖腺組織、冷凍保存)。
調査項目と取得データ
調査項目 | 取得データ・サンプル |
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エゾアワビ震災前出生群の遺伝的調査 | 取得データ:msDNA座におけるアリル頻度、アリル数。サンプル:岩手県唐丹湾・越喜来湾産エゾアワビ(推定5~7歳) |
マナマコ震災前後出生群の遺伝的調査 | 取得データ:msDNA座におけるアリル頻度、アリル数。サンプル:岩手県唐丹湾産マナマコ(推定1~4歳以上) |
キタムラサキウニ震災前出生群の遺伝的調査 | 取得データ:msDNA座におけるアリル頻度、アリル数。サンプル:岩手県唐丹湾産キタムラサキウニ(推定3~5歳) |
実施(調査)窓口担当者
担当者名 | 森山俊介 |
所属機関 | 北里大学 |
所属部署 | 海洋生命科学部 |
キーワード
実施年度 | 2013 |
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機関 | 北里大学 |
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調査種別 | フィールド調査 |
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海域区分 | 三陸南部 |
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分野 | 海洋生物・生態系 -> 生態
海洋生物・生態系 -> 対象生物:軟体動物
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