雄勝湾におけるホタテガイ養殖の環境収容力

実施年度

2016

タイトル

雄勝湾におけるホタテガイ養殖の環境収容力

課題・テーマ

課題1 漁場環境の変化プロセスの解明
代表機関:東北大学
テーマ2 三陸および仙台湾沿岸域の漁場管理法の策定と漁業復興支援への取り組み
代表者尾定 誠
所属機関東北大学
所属部署大学院農学研究科
テーマ2 三陸および仙台湾沿岸域の漁場管理法の策定と漁業復興支援への取り組み
代表者原 素之
所属機関東北大学
所属部署大学院農学研究科

調査内容

調査期間(調査頻度)
2016/04/01 - 2017/03/31
年1回
調査地域・海域
雄勝湾のホタテ養殖筏2定点とリモート水質監視装置設置1定点
調査種別
フィールド調査, 係留系・観測ブイ
調査概要
雄勝湾の2定点に垂下養殖されているホタテガイを上層・下層に分けて、貝殻と軟体部の各部位の大きさ・重量・重量比を調べ、震災前との比較から成育状況を評価する。今年度の雄勝湾全体のホタテガイ養殖施設と垂下ホタテガイの復旧状況並びに生産量から割り出した、1連あたりの生産量からも成育状況を評価する。養殖環境として低次生産を担う植物プランクトン現存量をクロロフィルaとして評価し、垂下養殖期間中の湾全体としての餌料環境の評価を試み、餌料環境と成育状況評価から環境収容量を検討する。また、この雄勝湾水域のクロロフィルa濃度の評価への衛星リモートセンシングデータの有効性を評価することを、定線観測や水質環境リモート監視機能を持つ観測ブイによる定点観測データと比較することによって評価する。

調査実施内容

調査地域・海域の座標一覧
位置情報(点)
名称地点1
座標値38.487232,141.496177
備考ホタテ養殖筏
名称地点2
座標値38.504135,141.510554
備考ホタテ養殖筏
名称地点3
座標値38.498756,141.498494
備考水質環境リモート監視機能付きブイ
調査結果
東日本大震災後から継続調査を行うことで、これまでに過去5年間分の宮城県雄勝湾における養殖ホタテガイの成育データを取得している。まず、貝殻サイズ、軟体部、閉殻筋、生殖腺等の測定結果を上・下層部で比較したところ、特に下層に垂下したホタテガイほど成育が劣り小型化している傾向が2014年以来続いている。生産性を算出すると耳吊り1連当たり、2013年は30.9kg、2014年は23.7kg、2015年は22.0kgであり減少に転じていた。また一年間の水深20m以浅における総クロロフィルa量の月平均値は、2014年は197kg/月、2015年は126kgと減少が観測された。さらに、震災後の初年度2012年以降施設数が増加しつづけており、2015年度の養殖ホタテガイの収容数は2014年に続き過剰傾向にあり、これによって餌料の競合が下層部で起きていたことが推察された。 また、リモートセンシングによって地図上にイメージングした雄勝湾のクロロフィルaの濃度分布を定線観測による実測データと比較して、餌料環境評価に有効な衛星データや解析法を検討した。NASA衛星TERRAとAQUAに搭載されたMODISデータ、さらに韓国衛星由来のGOSIデータを使用した。AQUA搭載のMODISから得られた衛星データによるクロロフィル濃度推定値が、実測データと比較的高い相関(r=0.70)を示していた。これと平行して、衛星データの補償のために、観測ブイによる水質環境リモート監視装置を導入し、雄勝湾支所と共同で連続的な高精度の観測データの収集を開始した。

調査項目と取得データ

調査項目取得データ・サンプル
ホタテガイの貝殻成長比較2定点のホタテガイの深度ごとの貝殻サイズ
ホタテガイの軟体部各部位の成育比較2定点のホタテガイの深度ごとの軟体部の各部位の重量と重量比
餌料環境調査クロロフィルa

関連情報

実施(調査)窓口担当者

担当者名尾定 誠
所属機関東北大学
所属部署大学院農学研究科

キーワード

実施年度2016
機関東北大学
調査種別フィールド調査
係留系・観測ブイ
海域区分三陸南部
分野海洋生物・生態系 -> 生理