調査期間(調査頻度)2017/04/01 - 2018/03/31
毎月1回
調査地域・海域
宮城県名取川河口
調査種別フィールド調査
調査概要震災後の名取川河口域の漁業生物、アサリ、ヤマトシジミ、アユの資源状態の把握と漁場環境特性の把握と漁業立て直しのサポートを実践する
1.漁場物理環境特性(水温、塩分、水深、底質)解明のためのモニタリングを継続する
2.アサリ個体群の資源状態(分布密度、サイズ組成、食性)を解析する
3. ヤマトシジミ個体群の資源状態(分布密度、サイズ組成、食性)を解析する
4. 天然アユの遡上状態をモニタリングすると同時に生態的特性を解明する
調査結果①河口域環境のモニタリングの結果、導流堤の建設により河口の流れが安定していることがわかり、今年度は長期の低塩分状態は確認されていない。
底質の泥含有率が低下して、二枚には好適な環境が形成されつつある。
しかし、井土浦河口は閉塞状態であり、海水の滞留能力は大きく低下したままである。
②二枚貝の資源に関する調査結果
ヤマトシジミは分布拡大の傾向がみられ、漁獲量は5月から7月の期間、1日約500kgに達している。水深が小さい場所が多くなり、泥の含有率の低下、食物供給が安定しているなどの要因によると考えられた。
イソシジミの分布域も広く、高密度に分布がみられた。
名取川河口汽水域の二枚貝生産力は高いと考えられる。
③アサリに関しては、分布が下流域に限定されており資源回復に向けた対策が必要である。
④河口の基礎生産構造は、潮汐により大きく変化している。微細藻類の組成、懸濁物のCN安定同位体比、栄養塩類の濃度、すべての項目に著しい変化が認められた。
また、これらの変化特性は二枚貝の食物源の特性と一定の対応関係にあることが示唆された。
⑤アユ資源の状況については、天然アユの遡上状況がよく、河川環境も良好である。
同じ日齢であっても体サイズが大きく異なる現象について、その要因が耳石の日輪解析と筋肉の安定同位体比分析により特定できた。
⑥沿岸域ホッキガイ資源の状態は、2014年級が卓越年級群・分布高密度であることが確認されたが、分布の偏りが明らかになった。