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プレスリリース

2013年9月2日
独立行政法人海洋研究開発機構

統合国際深海掘削計画(IODP)第347次研究航海の開始について
~バルト海掘削による最終間氷期以降の古環境変遷の解明~

この度、統合国際深海掘削計画(IODP: Integrated Ocean Drilling Program)(※1)の一環として、「バルト海掘削による最終間氷期以降の古環境変遷の解明」(別紙参照)を実施するため、欧州が提供する特定任務掘削船(※2)の研究航海が9月6日から開始されます。

本研究航海では、北ヨーロッパに位置するバルト海において掘削を行い、約13万年前以降のバルト海の古環境変遷を解明するため、日本から2名が参加するほか、米国、欧州、中国、オーストラリアからも含め、計31名の研究者が参加する予定です。

※1統合国際深海掘削計画(IODP: Integrated Ocean Drilling Program)

日・米が主導国となり、平成15年(2003年)10月から始動した多国間国際協力プロジェクト。現在、欧州(18カ国)、中国、韓国、豪州、インド、NZ 、ブラジルの26ヶ国が参加。日本が運航する地球深部探査船「ちきゅう」と、米国が運航する掘削船ジョイデス・レゾリューション号を主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船を加えた複数の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行う。

※2特定任務掘削船

欧州が提供する特定任務掘削船は研究テーマや掘削海域に適した掘削船を傭船し、運用しています。通常、傭船される掘削船に搭載されるのは最低限の研究設備のみのため、掘削されたコア試料のうち、船上ですぐに分析が必要なコア試料以外はそのままの状態でブレーメン大学にあるコア保管庫に移送されます。航海終了後、ブレーメンのコア保管庫においてコア試料の基礎的な記載・分析やサンプリングを行います。そのため、特定任務掘削船の航海には一部の研究者のみが参加します。

別紙

バルト海掘削による最終間氷期以降の古環境変遷の解明

1.日程(現地時間)

平成25年9月6日
コペンハーゲン(デンマーク)を出港
バルト海にて掘削
平成25年11月4日
コペンハーゲン(デンマーク)に入港
平成26年1月22日
ブレーメンにおいて掘削試料の基礎分析を実施(およそ30日間)

なお、気象条件や調査の進捗状況等によって変更の場合があります。

2.日本から参加する研究者

氏名 所属/役職 担当研究分野
Stephen Obrochta 東京大学大気海洋研究所/ポスドク研究員 岩石物理学
Nan Xiao※ 海洋研究開発機構/技術主事 微生物学

※特定任務掘削船による掘削航海にも参加

3.研究の概要

本研究航海では、北ヨーロッパに位置するバルト海の海底を掘削し、コア試料の採取・分析を行うことで、今から約13万年前の最終間氷期以降の古環境変遷と地下生命圏に関する研究を行います。

これまで最終間氷期以降の古環境に関する研究は、ヨーロッパをはじめ世界各地の陸域の地層や氷床コア、さらには海底掘削コアを用いて行われていますが、いまだ断片的な部分も多く残されています。本研究ではその断片的な部分を含め、これまでよりも連続性の良いデータを得ることが期待されます。これにより本研究では、最終間氷期のバルト海及びその周辺地域の古気候変遷と海水準変動のほか、氷期から間氷期へと移り変わる時期の特徴、最終氷期の複雑性、氷河期の終わりのメカニズムなどを明らかにすることを目的としています。また、氷期・間氷期サイクルにより堆積した地層とそこに存在する地下生命圏との関連性についても解明を目指します。

図1
図1 本航海の掘削予定地点

お問い合わせ先:

独立行政法人海洋研究開発機構
(IODPおよび本航海について)
地球深部探査センター企画調整室 次長 倉本 真一 TEL:045-778-5811
(報道担当)
経営企画部 報道室長 菊地 一成 TEL:046-867-9198