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プレスリリース

2021年 8月 27日
国立研究開発法人海洋研究開発機構

北極域研究船の建造契約締結について

1. 概要

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 松永 是、以下「JAMSTEC」という。)は、北極域研究船の建造について、この度、8月19日付で、ジャパン マリンユナイテッド株式会社(代表取締役社長 CEO(最高経営責任者)千葉 光太郎)と船舶建造請負契約(契約金額:約252億円※1)を締結しました。

現在の北極域は、海氷の減少などの急激な環境変化が進み、我が国を含む中緯度域、ひいては地球全体の気候・気象変動にも大きく影響を及ぼしています。一方で、その変化が経済活動の活発化をもたらしているなど、北極域が抱える課題はグローバルな視点でとらえる必要があります。我が国は、北極域に隣接しその影響を受ける国として、さらには世界のリーダーの一員として、北極域が抱えている諸課題の解決に科学的根拠をもって貢献していくことが責務と認識しています。

北極域研究船は、そのための国際的な研究プラットフォームとして活用可能な、十分な砕氷機能と世界レベルの観測機能を備えます。

JAMSTECは、北極域研究船の円滑な建造を進め、本船の就航後は国際連携のもと研究活動を促進し、北極域の持続可能な開発・利用・保全の実現に貢献していくとともに、研究者や技術者などの人材育成に寄与してまいります。また、災害発生時には、被災地支援にも貢献してまいります。

2. 主な要目(計画)※2

  • 全長 : 128m
  • 船幅 : 23m
  • 喫水 : 8m
  • 国際総トン数 : 13,000トン
  • 砕氷能力 : 平坦1年氷 1.2 mを3.0ktの船速で連続砕氷可能
  • 耐氷能力 : ポーラークラス※3
  • 乗員 : 99名

3. 主な要件※2

  • 世界レベルの観測が可能な設備と、科学魚群探知機等の新たな設備の搭載
  • 海氷域における必要十分な砕氷・耐氷性能と通常海域を含む観測性能を両立するための船型
  • 安全かつ効率的な運航に資する先進的な氷海航行支援システムの搭載
  • デュアルフューエル機関の採用による環境負荷低減、低燃費の工夫
  • 十分な定点保持機能と効率的な推進システム
  • ROV、AUV等の無人探査機器の運用
  • 安全確保、海氷等観測用のヘリコプターの運用機能
  • 十分なラボスペース、優れたネットワーク等の世界レベルの研究・分析環境
  • 国際プラットフォームとして、ユニバーサルな居住環境の実現
  • 豪雨等による自然災害発生時の被災地支援対応

(参考)本船の特徴については、こちらも併せてご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=EHrg_7KmBZo

4. 今後の予定

令和8年度の引渡を予定しています。

【補足説明】

※1
建造費総額:約335億円
契約金額は令和3年度政府予算で認められた船体部のみ。観測部(気象・海象等を観測するための機器類)については、今後、予算が措置され次第、変更契約を行います。
※2
仕様書より抜粋
※3
国際船級協会連合(IACS)が定める氷海における船の耐氷能力を証明する統一規則。ポーラークラス4は、「多年氷が一部混在する厚い一年氷がある海域を通年航行可能」と定義されている。

完成イメージ

図1
国立研究開発法人海洋研究開発機構
海洋科学技術戦略部 広報課
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