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国際深海科学掘削計画(IODP)第402次研究航海の開始について ~ティレニア海盆にて大陸から海洋への遷移域を探る~

2024.02.06
国立研究開発法人海洋研究開発機構

国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program)※1 の第402次研究航海として、米国が提供するジョイデス・レゾリューション号※2 による「ティレニア海盆にて大陸から海洋への遷移を探る」掘削航海(別紙参照)が、2024年2月9日から開始されます。

本航海は、大陸から海洋への遷移(COT:Continent-Ocean Transition)を時間的・空間的に解明することを目的として、ティレニア海盆で6か所の掘削を行うことにより、海盆における伸長変形の空間的・時間的な運動と形状、マグマの発生時期や起源を明らかにします。

乗船研究者として、イタリア、インド、オーストラリア、スペイン、中国、ドイツ、日本、フランス、米国から計26名が参加し、うち日本からは3名が乗船予定です。

用語解説
※1

国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program)
平成25年(2013年)10月から開始された多国間科学研究共同プログラム。日本(地球深部探査船「ちきゅう」)、米国(ジョイデス・レゾリューション号)、ヨーロッパ(特定任務掘削船)がそれぞれ提供する掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏などの解明を目的とした研究を推進する。

※2

ジョイデス・レゾリューション号
IODPの科学掘削に米国が提供する掘削船。

JOIDES Resolution ©IODP

別紙

ティレニア海盆にて大陸から海洋への遷移を探る
Tyrrhenian Continent-Ocean Transition

1. 日程(現地時間)

IODP第402次研究航海

2024年  2月  9日 研究航海開始(出港地:ナポリ(イタリア))
2024年  4月  8日 研究航海終了(入港地:ナポリ(イタリア))

※予定は、新型コロナウィルス感染症の状況、航海準備状況、気象条件や調査の進捗状況などによって変更になる場合があります。

2.日本から乗船参加する研究者(予定)

 
氏名 所属/役職 担当専門分野
秋澤 紀克 東京大学 大気海洋研究所/助教 岩石地球化学
安邊 啓明 日本原子力研究開発機構/博士研究員 物性科学
森下 知晃 金沢大学 理工研究域 地球社会基盤学系/教授 岩石学

3.研究の背景・目的

IODP第402次研究航海は、大陸が海洋に遷移するメカニズム解明を目的とし、地中海のティレニア海盆での掘削を計画しています。大陸リソスフェア※3 は厚く人類が住むことのできる陸上環境を提供する一方で、海洋リソスフェアは薄く海底下に存在します。大陸が分裂すると、海底が拡大し、海洋リソスフェアが生成され、大陸は徐々に海洋へ遷移します。しかし、その過程については多くの議論があり、いまだに明らかになっていません。

ティレニア海盆は、大陸が海洋に遷移する様相が観察できるとされています。その理由は、非常に若い年代の岩石でできているため堆積物の厚さが薄く、加えて盆地の中央部分にはマントル起源のカンラン岩が発見され、既に詳しい分析がなされており、地球物理学データによる大陸-海洋境界部のイメージングが明確になされているからです。

今回の掘削では、海盆を東西方向と南北方向に横断する複数の地点で、浅部の地殻物質から深部のマントル物質までの段階的な掘削を実施し、様々な分化過程のマグマの採取、深部マントル物質を海底に“引き摺り出した”断層のイメージング、及び、その構成物質の採取も目指します。また、このような場所では、断層に含まれる海水と深部物質の反応が起こるため、関連する水圏と岩石圏間の化学交換や特異な生態系発達の解明も目指します。

用語解説
※3

リソスフェア
地殻及びマントル上層の比較的固い層(リソ=岩石の、スフェア=圏)。リソスフェアの下には、比較的柔らかいアセノスフェア(アセノ=弱い、スフェア=圏)が存在する。リソスフェアとアセノスフェアは、硬さという点で区別できる。

図1

図 本研究航海の掘削地点および広域図
オレンジ色の丸は主要掘削予定点、黄色の丸は予備の掘削点を示す。図中左下は広域図を示す。(IODP Exp. 402 Scientific Prospectusより)

 
表 本研究航海の主要掘削予定点一覧(作業予定日数は切り上げ表示)
サイト名 水深(m) 目標掘削深度(m) 作業予定日数
TYR-09A 3,544 418 11
TYR-07A 2,711 265 5
TYR-12A 3,601 723 13
TYR-10A 3,555 435 10
TYR-02A 2,824 632 8
TYR-11A 3,549 342 10

※航海準備状況、気象条件や調査の進捗状況等によって掘削地点を変更する場合があります。

※図はIODPウェブサイトより引用したものを一部改変

本研究のお問い合わせ先

国立研究開発法人 海洋研究開発機構
(IODPおよび本航海の科学計画について)
 研究プラットフォーム運用部門
 掘削計画支援室 室長 斎藤 実篤
(報道担当)
 海洋科学技術戦略部 報道室