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「はやぶさ2」リュウグウ試料分析が本格始動
~JAMSTECの高知コア研究所と横須賀本部の2拠点で実施~

2021年 7月 1日

小惑星探査機「はやぶさ2」プロジェクトでは、様々な現地観測をすべて完遂し、サンプリングチームによる装置開発とその最適化により、小惑星リュウグウから固体試料のみならず、気体試料(ガス)の地球帰還を世界で初めて成功させました。2020年12月6日 オーストラリア・南オーストラリア州で回収したリュウグウ試料は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)地球外試料キュレーションセンターでの初期記載を経て、2021年6月に、「はやぶさ2」分析チーム(「初期分析チーム」ならびに「Phase2キュレーションチーム」から構成される合計8チーム)に引き渡されました。

JAMSTECでは、高知コア研究所と横須賀本部の2拠点で、リュウグウ試料の分析に挑みます。

高知コア研究所では、伊藤元雄主任研究員が率いる「Phase2キュレーション高知チーム」が地球外物質キュレーションに資する技術研究開発を共同研究機関とともに進めてきました。伊藤主任研究員は「リュウグウの持つ始原的な情報を高解像度・高空間・時間分解能で可視化し、太陽系最初期の形成史を解明したい。そして将来的には横須賀―高知のチームJAMSTECで取り組みたい。」と抱負を述べました。

横須賀本部では、「初期分析チーム(代表:東京大学 橘 省吾 教授)」のもとで、横須賀本部の研究グループでも小惑星リュウグウの粒子分析を本格始動しました。「初期分析チーム」の一員である高野 淑識 主任研究員は「小惑星リュウグウから帰還した試料は、太陽系誕生からの46億年の記録が刻まれた「ロゼッタ・ストーン」のような貴重な存在。最先端の分析技術を結集し、全員のチームワークでその解読に挑みたい。」と抱負を述べました。

今後、リュウグウの試料から太陽系初期の詳細な一次情報を得ることができれば、太陽系の成り立ち、地球が誕生する前の物質や水の起源、そして、始原的な有機分子の進化の描像が明らかになると期待されています。


リュウグウ試料が入ったアルミボックスと試料に含まれる軽元素組成および同位体組成を
高精度に測定する極微量スケール分析システムの様子(横須賀本部)
(画像クレジット:JAMSTEC)


二次イオン質量分析計(NanoSIMS)【左】・透過電子顕微鏡(TEM)【右】
リュウグウ試料の分析を行う世界有数の分析装置群(高知コア研究所)
(画像クレジット:JAMSTEC)


特殊な輸送容器に入ったリュウグウ試料(Phase2高知に配分された試料では最大)
(画像クレジット)JAMSTEC/Phase2高知


リュウグウ試料を入れた容器を衝撃等から守るケース
(画像クレジット)JAMSTEC/Phase2高知

【参考リンク】