1.炭素循環モデル、炭素循環・気候変化結合モデル


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1—2.海洋生物地球化学モデル

担当機関名:地球環境フロンティア研究センター

研究者名:河宮 未知生地球環境モデリング研究プログラム
吉川 知里生態系変動予測研究プログラム
相田 眞希生態系変動予測研究プログラム
山中 康裕生態系変動予測研究プログラム
(兼任:北海道大学地球環境科学研究科)
岸 道郎生態系変動予測研究プログラム
(兼任:北海道大学水産科学研究科)

a.要約

昨年度の段階で、大気海洋結合炭素循環モデルによる予備的な温暖化実験は終了していたが、特に陸域生態系モデルについてパラメーター・チューニングが充分に行われておらず、高い信頼度を得るためにはいくつか再実験を行う必要があった。本年度において、パラメーター・チューニングおよび再実験が終了した。このモデルにより、地球温暖化に対し気候変化と炭素循環の相互作用がもたらすフィードバックの強さを調べる実験を行った結果、相互作用は大気中二酸化炭素濃度を高める方向に働き、温暖化を加速する正のフィードバック効果を持つことがわかった。温暖化により土壌有機物の分解が促進されるのが、その主な原因である。この結果において、2100年時点での二実験間における二酸化炭素濃度差は130ppmvである。これは地表平均気温に換算して1度程度にあたり、有意な量といえる。平成18年3月現在、他のパラメータセットを用いた感度実験も実行中である。ここで結果は、2007年に発行が予定されているIPCCの第4次報告書に反映される可能性が高い。また数年程度のタイムスケールにおいて、気温の変化に追随してCO2濃度が変化する現象が観測されているが、類似の現象がモデル結果においても再現されていることが確認された。ただし気温変化とCO2濃度変化の間のタイムラグは観測よりモデル結果の方が長い。また温暖化した際に海洋のCO2吸収量が減る原因について詳細な解析を行ったところ、温度変化以外にも全炭酸・アルカリ度の海洋表層における分布の変化が有意な役割を果たしていることが分かった。さらに、植物・動物プランクトンの種構成を陽に表現したモデルを用いた実験も行い、10年スケールの気候変動が海洋表層生態系に与える影響について調べた。

b.研究目的

海洋中の全炭酸鉛直分布は表層付近で濃度が低くなる特徴的な分布をしている。二酸化炭素の大気海洋交換にとって大きな意味を持つこうした分布は生物ポンプ・アルカリポンプ・物理ポンプといった過程によって決定されており、中でも表層生態系における有機物の形成とそれに続く沈降に起因する生物ポンプが最も重要な寄与をなしている。その生物ポンプの効率は、海洋混合層の深さやエクマン湧昇、大気による鉄分の輸送など様々な物理過程から影響を受けている。人間活動により排出された二酸化炭素がどの程度大気中に残存するかを把握し、将来の大気中二酸化炭素濃度の予測を確からしいものにするためには、海洋中の炭素循環過程をきちんとモデル化することが不可欠である。

ハドレーセンター(英)やIPSL(仏)が行った陸域−大気−海洋結合炭素循環モデルの結果によれば、気候変動が海洋の二酸化炭素吸収に与える影響は小さいとされる(Cox et al., 2000; Friedlingstein et al. 2001)。しかしながら、海洋炭素循環モデル相互比較プロジェクト(Ocean Carbon-Cycle Model Intercomparison Project, OCMIP)に提出された結果を見ると、気候変動を考慮に入れずに行ったベースラインの海洋二酸化炭素吸収量将来予測において、モデル間のばらつきが大きくなっており、2100年時点での予測値は最小値と最大値の間で2倍の開きがある(Fasham, 2003)。大気中二酸化炭素濃度の予測のためには、引き続き海洋炭素循環モデルを改善し、こうした不確定性を減らしていくことが必要である。本研究テーマでは、4変数の単純な海洋生態系モデルを炭素循環モデルとともに海洋大循環モデルへ組み込んで海洋炭素循環と気候変化との相互作用を調べ、さらに発展して陸域−大気−海洋結合炭素循環モデルの構築とそれによる全球規模炭素循環の研究を行うことを目的にしている。

c.研究計画、方法、スケジュール

統合モデル海洋炭素循環コンポーネントに組み込む生態系モデルとしては、Oschlies and Garçon(1999) による植物プランクトン、硝酸、動物プランクトン、デトライタスの4コンパートメント表層生態系モデルにOschlies (2001)による改変を加えたものを採用する。このモデルの海洋大循環モデルへの組み込みは2年目までで終了した。さらに4年目までに、上記海洋炭素循環モデルおよび陸域炭素循環モデルSim-CYCLEを組み込んだ大気海洋結合モデルを用いて温暖化実験を行い、気候と炭素循環の間に有意なフィードバックループが存在することを示した。

また4年目には、共生プロジェクト第3課題(代表:日比谷紀之)の海洋研グループ(「太平洋における炭素循環モデルの高度化」)とも協力して鉄の大気輸送の効果も考慮した最先端のモデル開発の検討を始めた。鉄の効果を取り入れた海洋生態系モデルは既にいくつか開発されてきており(e.g., Leonard et al., 1999; Archer and Johnson 2000; Moore et al, 2002)、それらを参考に我々独自のモデルを開発していくのは十分可能であると考えられる。また鉄分の大気輸送に関しては、研究実施者の一人が開発したダスト輸送モデルが大気大循環モデルにすぐ組み入れられる形で既に存在する。これらを組み合わせることで将来的には大気による鉄分輸送が生物ポンプに与える影響を陽に取り扱えるようになり、氷期−間氷期サイクルや地球温暖化に関して提案されている鉄を介したフィードバック機構(Kumar et al. 1995; Ridgwell and Watson 2002)等に関しより具体的な議論ができるようになると期待される。最終年度の5年目には、大気化学過程も組み入れた全球統合モデルを用いて20世紀気候再現実験および温暖化実験を行う予定でいる。

d.平成17年度研究計画

大気海洋結合炭素循環モデルのパラメータチューニングを完了して温暖化時の炭素循環のシミュレーションやパラメータ感度実験を行い、論文を執筆する。また C4MIP Phase 1, 2 の活動に参加する。Phase 1 に関しては、平成16年度中にデータを提出した後CO2濃度季節変化など、モデル中で再現された現象に関して解析を行う。また Phase 2 に関しては、参加する各グループに協力を要請し海洋コンポーネントに関する結果をとりよせ、人為起源二酸化炭素吸収に関する海洋モデル間の振る舞いの違いについて比較研究を行う。

e.平成17年度研究成果

e.1.モデルと実験設定

本年度においては、Cox et al. (2000)やFriedlingstein(2001)によって指摘された気候−炭素循環系のフィードバックの強さについて調べるため、炭素循環過程を組み込んだ大気海洋大循環モデルを用い2100年までの温暖化実験を行った。同様の実験は昨年度も行っているが、気候モデルのバイアスのため高緯度域のLAIが極端に小さくなるなどの問題があった。そこで本年度は、特に陸域生態系モデルのパラメータチューニングを充分に行い、現実により近い形でシミュレーションが行えるよう改良したバージョンで実験を行った。

炭素循環モデルや大気海洋結合大循環モデルの詳細については、昨年度既に報告しているので省略し、時間積分の手順から述べる。モデルのスピンアップは、CO2濃度を285ppmvに固定し、気候値データに基づく種々の場を初期値とし280年間行った。陸域の炭素貯蔵や海洋循環は1000年以上の長い時間スケールを持っており、280年のスピンアップでは決して充分とはいえない。しかしながら、時間積分開始直後に見られるCO2フラックスの時間トレンドを全球スケールで除去する程度には充分な期間であり、この実験で得られた結果を解析することには充分意味がある。

ここでは3つのランを行う。一つはコントロールランであり、スピンアップ後もCO2濃度を285ppmvに固定して1850年から2100年までモデルを走らせる。他の2つのランを「結合ラン」、「非結合ラン」と呼ぶことにする。CO2排出データ(SRES A2)を与えモデル内部でCO2濃度を計算する。しかしながら非結合ランでは、放射過程に関するルーチンには一定のCO2濃度(285ppmv)が与えられ気候そのものは変化しない。従って、非結合ランには気候−炭素循環系のフィードバック効果は入っていない。一方結合ランでは、炭素循環モデルを用いて計算したCO2濃度の変化が放射過程にも与えられ気候変化が起きる。ここで起こった気候変化は炭素循環モデルに影響を与えるため、結合ランには気候−炭素循環系のフィードバック効果が入っている。

e.2. 結果と議論

e.2.1. 地球温暖化や気候変動にたいする全球炭素循環の応答

図4に、モデルによって計算された全球平均CO2濃度の時系列を示す。図中では、赤い線が結合ランの、緑の線が結果を表している。2000年までのCO2濃度の推移をモデルはよく再現している。2100年の時点で、2つのランの間でのCO2濃度差は約130ppmvとなった。これは地表面平均気温に換算して1℃程度にあたる。各国の研究機関が予測する2100年時点での温暖化の典型的な値が2-4℃であることを考えると、本実験で得られた1℃という差は有意なものであるといえる。

以上のことから、気候と炭素循環の結合は温暖化を加速する正のフィードバック効果を持つことが分かる。これは、本モデルが予測する全球平均4℃という気温上昇にともない土壌温度も上昇して土壌中の有機物分解が促進されるためと、水温の上昇等により海洋へのCO2溶解度が低下するためである。世界各国の研究機関でも同様のシミュレーション実験が行われており、ここで得られた結果を他のモデルのものと比較し違いの原因を議論することは、地球規模炭素循環過程のより深い理解につながると考えられる。そうした比較研究を容易にするため、気候−炭素循環結合モデル相互比較プロジェクト(Coupled Climate - Carbon Cycle Intercomparison Project, C4MIP)と呼ばれる国際プロジェクトが活動している(Friedlingstein et al., 2006)。ここで示した結果も含め、C4MIPでの議論はIPCCの第4次報告書に反映される可能性が高い。

図4: 全球炭素循環・気候結合モデルに1900年からの人為的CO2放出源を与えてシミュレーションした大気CO2濃度の変化。
図4: 全球炭素循環・気候結合モデルに1900年からの人為的CO2放出源を与えてシミュレーションした大気CO2濃度の変化。赤い線が温暖化と炭素循環の相互作用を考慮した場合、緑の線がしなかった場合、破線は観測値。単位は ppmv。

C4MIPに参加しているモデルについて、結合ランにおけるCO2濃度から非結合ランのものを引いた値を、時系列として示したのが図5である。この図から、我々のモデルにおける気候−炭素循環系のフィードバックはC4MIP参加モデルのなかで比較的強いものであることが分かる。Friedlingstein et al. (2006) は、Friedlingstein et al.(2003)が提案した手法に基づいてC4MIP参加モデル結果の気候−炭素循環系フィードバック強度評価を行っている。それによれば、我々のモデルは気候変化に対する陸域生態系の応答がハドレーセンターのモデルについで高い。C4MIP参加モデル中で我々のモデルのフィードバックが強いのは、このことが主な原因になっている。また、気候変化に対する海洋の応答をあらわすファクターについても、我々のモデルは平均より高くなっている。

図5に見られるように、気候−炭素循環系のフィードバックの強さにはモデル間で大きなばらつきがある。C4MIP参加モデルの温暖化結果がどの程度現実的であるかを評価するのに、短周期の気候変動に対する炭素循環過程の応答を見ることはよい指標になると考えられる。実際、Keeling et al (1989)は、マウナ・ロアにおいて観測されたCO2濃度と全球平均気温の時系列を比較し、エル・ニーニョなどの影響で全球平均気温が上昇すると1年程度の時間遅れをもってCO2濃度も上昇することを見出している(図6a)。我々のモデルでも同様の現象が再現されているかどうかを調べることは、図4に示す結果の現実性を推し量る上で重要である。

図5: 気候−炭素循環結合モデル相互比較プロジェクト(C4MIP)参加モデルでの、結合ランと非結合ランとの間のCO2濃度差の時系列
図5: 気候−炭素循環結合モデル相互比較プロジェクト(C4MIP)参加モデルでの、結合ランと非結合ランとの間のCO2濃度差の時系列。単位はppmv。”FRCGC”と注釈のついた紫の実線が我々のモデル結果。Friedlingstein et al. (2006)より引用。

図6bに、モデル結果における1970年−2005年の期間について、全球平均の気温とCO2濃度との関係を示す。なおこの図を作るにあたって、気温については全球平均したデータにさらに12ヶ月の移動平均を施し季節変動を取り除いてある。CO2濃度については長期トレンドも大きいため、12ヶ月移動平均を施したデータとさらに10年移動平均をとったデータとの差をとって短周期成分を取り出してある。気温の上昇・下降に伴い一定の時間遅れを伴ってCO2濃度が増減するという、Keeling et al. (1989)による観測結果をモデルは再現していることが分かる。しかしながら、モデルにおける典型的な時間遅れは2年ほどであり、図6aにおける1年より長い。この原因は明らかでないが、他のモデル出力を調べた結果陸面過程モデルMATSIROにより予報される土壌水分量が気温よりさらに1年遅れで変動してCO2濃度の時間微分と非常によい相関を持つことが分かり、こうした気温以外の要素が関係している可能性が高い。また、モデル結果におけるCO2濃度変動の振幅は peak to peak で2.5ppm ほどあり、観測に基づく図6aの約1.5ppmより大きくなっている。一方、気温の変動幅はモデル結果と観測とで同程度なので、我々のモデルは数年程度の周期をもつ気温変動に対する炭素循環過程の応答を過大評価していると言える。ただし、数年程度のタイムスケールにおける炭素循環過程の応答と、地球温暖化に対するそれとではメカニズムが異なるところもある。メカニズムの違いの一例としては、地球温暖化の際には北半球高緯度での昇温が顕著であるため、この緯度帯における応答の相対的寄与度が、数年程度のタイムスケールにおけるものより高いこと、などを挙げることができる。したがって、図4で示したような気候−炭素循環系のフィードバックが過大評価であると、図6の比較から直ちに言えるわけではない。しかしながら、観測される現象をできるだけ忠実に再現することは予測の信頼性を上げるための必要条件である。今後は、更なるパラメータ・チューニングやモデルの改良により再現性の向上に努める。

図6: (a)Keeling et al. による、全球平均の気温(実線)とマウナ・ロアにおいて観測されたCO2濃度の年々変動。(b)モデル結果における、全球平均の気温(赤)とマウナ・ロアに対応する地点のCO2濃度(緑)の年々変動。
図6: (a)Keeling et al. による、全球平均の気温(実線)とマウナ・ロアにおいて観測されたCO2濃度の年々変動。(b)モデル結果における、全球平均の気温(赤)とマウナ・ロアに対応する地点のCO2濃度(緑)の年々変動。

e.2.2. 地球温暖化が大気海洋CO2交換に与える影響

前節で示した通り、将来の温暖化による環境の変化を考慮に入れた場合と入れない場合とでは、前者で海洋の人為起源CO2吸収量が少なくなる。これは水温の上昇により海洋表層の二酸化炭素分圧が高くなることが主要因であると考えられているが、海洋環境の変化による全炭酸、アルカリ度の変化なども他の要因として考えられる。これら諸要因の相対的寄与がどのようになっているかについて、定量的な解析を行った例は少ない。本節においては、上で挙げた諸要因の相対的寄与度を求める解析を行う。

図7に、海洋による人為起源CO2吸収量の時系列を結合実験・非結合実験両方について示す。結合ランの方が大気中CO2濃度が高くなっているが、同時に海面の二酸化炭素分圧(fCO2)も高くなっているため、結果として海洋の吸収量は大きくは変わらない。2070年以降は、図8に示すような海面fCO2上昇の効果が大気中CO2濃度増加の効果を上回り、結合ランにおける人為起源CO2吸収量の方が若干少なくなっている。

図7: モデルにより評価された、海洋による人為起源CO2吸収量時系列。
図7: モデルにより評価された、海洋による人為起源CO2吸収量時系列。赤線が結合ラン(温暖化の影響を考慮に入れた場合)の、黒線が非結合ラン(入れない場合)の結果を表す。

図8を見ると、太平洋東部熱帯域を除く海域の大部分で、結合ランでのfCO2が高くなっていることが分かる。2つのランの間におけるfCO2の変化を、線形論に基づいて要因別に分け議論することにする。まず、fCO2を温度T、塩分S、全炭酸TCO2、アルカリ度Alkの関数として、

..... (1)

と表すことにすると、fCO2の全微分は次のように書ける。

..... (2)

ここでモデル結果を用い、右辺の第一項を次のように評価する。

..... (3)

上式で、添え字 c, u はそれぞれ結合、非結合ランの結果であることを示す。他の各項についても同様に評価し、全球平均をとった結果を図9に示す。

図8: 温暖化の影響を考慮する場合(結合ラン)としない場合(非結合ラン)の間での、二酸化炭素分圧(fCO2)の差(ppmv)
図8: 温暖化の影響を考慮する場合(結合ラン)としない場合(非結合ラン)の間での、二酸化炭素分圧(fCO2)の差(ppmv)。西暦2100年時点でのもの。正の値が温暖化を考慮したとき値が高くなることを示す。

図9より、水温の上昇により結合ランのfCO2が高くなっていることが分かる。しかし、アルカリ度の低下によるfCO2の上昇も同程度の寄与をもっており、また全炭酸の低下によってfCO2が低下する効果も有意な寄与をもつことが分かる。図8に見られるような結合ランにおけるfCO2の上昇は、単に水温上昇の結果ととらえるべきではなく、全炭酸やアルカリ度の値が変化することによる効果との競合の結果として理解すべきである。

図9に見られるような全炭酸やアルカリ度の変化による寄与がどのようにもたらされるかを調べるため、2つのランの間での全炭酸・アルカリ度の差の地理分布を示したのが図10a,bである。両者の分布は非常に良く似ていることが分かる。

図9: 結合ランと非結合ランの間におけるfCO2の変化を、線形論に基づいて要因別に分け全球平均を示した結果。
図9: 結合ランと非結合ランの間におけるfCO2の変化を、線形論に基づいて要因別に分け全球平均を示した結果。左から4つがそれぞれ温度、塩分、全炭酸、アルカリ度による変化を表す。”Total”は左4つの要因による変化の和を、”Actual”は線形近似を使わず2つのランの間のfCO2の差を直接とって全球平均したものを示す。
図10: 結合ランと非結合ランとの間の、(a)全炭酸・(b)アルカリ度の差。単位はμmol/m3。(c)2つのランの間の塩分の差。単位はPSU。(d)2つのランの間の(降水量−蒸発量)の差。単位はmm/day。いずれの図においても、正の値が結合ランにおいて値が高くなることを示す。
図10: 結合ランと非結合ランとの間の、(a)全炭酸・(b)アルカリ度の差。単位はμmol/m3。(c)2つのランの間の塩分の差。単位はPSU。(d)2つのランの間の(降水量−蒸発量)の差。単位はmm/day。いずれの図においても、正の値が結合ランにおいて値が高くなることを示す。

これは全炭酸とアルカリ度の分布を決定する生物地球化学的・物理的プロセスが(少なくともモデルの中で)よく似ていることからある程度予想される結果ではある。しかしここで興味深いのは、これらの分布が図10cに示した塩分の差の分布に非常に良く似ていることである。このことから、図10a,bの全炭酸・アルカリ度の分布の変化は生物ポンプの変化によるものではなく、移流・拡散・降水といった物理過程の変化によるものであることが分かる。特に降水量の変化については従来この種の議論を行う際重視されてこなかったが、Dore et al. (2003)が指摘したように、大気海洋CO2交換量に変化をもたらす要因として無視できない場合がある。図10dに降水量の変化を示した。変化量分布のパターンは図10a-cのものと似ていない点も多いが、値としては全炭酸・アルカリ度の収支に有意な影響を与えうるものである。

e.3. プランクトンの種構成を陽に表現したモデル(NEMURO)による実験

「地球システム統合モデル」で得られた結果の解析の際の参考となるべく、やや複雑であるが比較的用いられている全球3次元中程度複雑生態系モデル(Intermediate complexity ecosystem model)を用いて、経年変動数値シミュレーションを行い、平成17年度は、海面における二酸化炭素分圧などに注目してみた。数少ないものの利用出来る長期観測データと比較することによりモデルの有効性を検証した。具体的には、NCEPの1948年から2002年までの再解析データの風応力、光、海面気温、淡水フラックスなどを生態系モデルに与えることにより、海洋物理場の経年変動、その変動に伴う海洋循環による栄養塩供給や生態系の変動を見ることが出来る。特に海洋による二酸化炭素の吸収量を見るためには、1780年代から徐々に大気中二酸化炭素分圧を観測に従って上昇させていく必要があり、国際海洋炭素循環モデル相互比較研究(Ocean Carbon-cycle Model Intercomparison Project, OCMIP)第3期の手続きに従って、1948年から2002年までの55年間の再解析データを予め3回繰り返すことにより、1760年から1948年までの大気中二酸化炭素分圧を与えながらスピンアップを行った。

図11は全球平均した海洋による二酸化炭素吸収量の経年変動である。海洋による人為起源二酸化炭素の吸収量は、傾向として徐々に増加しており、1980年代には年間1.62PgC、1990年代には年間1.88PgCとなっている。IPCC第3次報告書(2001)では、それぞれ年間1.9±0.6PgC、年間1.7±0.5PgCと報告されており、誤差の範囲内で一致している。また、1990年代の方が1980年代よりもよく吸収しているのは、OCMIPでの多くのモデルに共通する傾向である。標準実験、漸増実験ともに55年毎に大きな吸収をおこしているピークが見られるが、これは南極周辺海域において物理場の計算によって深層との大規模な混合(おそらく再解析データを繰り返して使う人工的な問題)によって生じたものであるが、それらの差を取ることにより、人為に酸化炭素の吸収量の計算では回避されていることが分かる。

図11: 全球平均した海洋による二酸化炭素吸収量の経年変動。
図11: 全球平均した海洋による二酸化炭素吸収量の経年変動。大気中二酸化炭素濃度を産業革命の値278ppmにして計算した結果(標準実験、青線)と観測された値にして計算した結果(漸増実験、緑線)、および、それらの差としての人為起源二酸化炭素吸収量(赤線)。両者は同じ海洋循環場、水温・塩分分布を用いている。太線は年平均値、細線は10年の移動平均を取ったもの。

数十年スケールの気候変動として、太平洋十年振動(PDO)がよく知られており、とくに、1970年代に起こったPDO指標の変化は気候ジャンプあるいはレジュームシフトと呼ばれている(Mantua et al., 1997; 図12)。平成17年度は、この気候ジャンプに伴って、北太平洋の海面水温や混合層深、生物生産量、プランクトン量、二酸化炭素分圧がどのように変化しているのかを調べてみた。 北太平洋中央部の海面水温は、気候ジャンプに伴い、0.4〜1.0℃低下し、東西亜熱帯域やアラスカ湾においては、0.2〜0.6℃上昇した(アラスカ湾の沿岸では0.2〜0.6℃低下)。これらの結果はYasunaka et al. (2002)などの観測と良く一致している。気候ジャンプに伴い、亜寒帯海域(50N, 180Eを中心とする海域)でのエクマン湧昇流が強化され、亜熱帯海域(30N, 180Eを中心とする海域)ではエクマン沈降流が強化されている。これは、アリューシャン低気圧や西武北太平洋での偏西風が強化されたことによる。

海面より密度が0.125kg/m3大きい深さで定義される海洋混合層は、西部や東部北太平洋で10m〜30m浅くなり、中央北太平洋や西部ベーリング海で20m〜50m深くなった。 以上の物理場の変化に伴い、エクマン湧昇流の増加海域に対応した中央北太平洋(40N, 180E)での基礎生物生産は30%以上増加し、三陸沖の混合水域では逆に30%ほど減少した。アラスカ湾では、水温低下に伴う混合層が10m深くなったものの、エクマン湧昇が弱まったために、基礎生物生産は20%程弱まった。

図12: 北太平洋における気候ジャンプ前後の(a)海面水温、(b)冬季混合層深度、(c)エクマン湧昇速度、(d)年平均した基礎生物生産量。
図12: 北太平洋における気候ジャンプ前後の(a)海面水温、(b)冬季混合層深度、(c)エクマン湧昇速度、(d)年平均した基礎生物生産量。気候ジャンプ後(1977年から1996年まで20年間)の平均値から気候ジャンプ前(1956年から1975年までの20年間)の平均値をひいた値を示している。

さらに、北太平洋の代表的な3海域での生態系の各要素の変動と二酸化炭素分圧や大気-海洋間二酸化炭素フラックスの経年変動を見てみた(図13)。西部北太平洋(NWP)の亜熱帯海域では、Sugimoto & Tadokoro(1998)が示したように、1980年代から1990年代初期にかけてクロロフィルa濃度が1970年代よりも低くなっている。我々のモデルでも、植物プランクトンや動物プランクトンの生物量および基礎生物生産量が低くなっており、これらは海面水温の上昇に伴って混合層深度が浅くなったことやエクマン沈降流が強くなったことによる。大気-海洋間に酸化炭素フラックスは、明瞭だが振幅が比較的小さな季節変動を示している。経年変動は小さく、気候ジャンプに伴う変化は余り見られず、基礎生物生産との相関も明瞭ではない。

中央北太平洋(NCP)では、PDO指標が正のとき、植物プランクトンや動物プランクトンの生物量および基礎生物生産量が増加している。アリューシャン低気圧の強化と偏西風の強化に伴い海面水温が0.6℃低下して混合層が深くなった地点(30N, 160W)や、黒潮俗流に伴う移流効果で海面水温は余り変化しないものの混合層が深くなった地点(35N, 180E)では、物理的メカニズムは異なるものの、共に海洋表層への栄養塩の供給増加は、基礎生物生産を高めている。大気-海洋間に酸化炭素フラックスは、振幅が比較的大きい季節変動を示している。さらに経年変動が大きく、気候ジャンプに伴う変動も見られ、基礎生物生産が高いときに、海洋による二酸化炭素吸収フラックスが大きい結果が得られている。

カリフォルニア湧昇域(CU)では、植物プランクトンや動物プランクトンの生物量および基礎生物生産量が気候ジャンプ後に減少し、1990年代後半に再び増加している。カルフォルニアでの沿岸湧昇はENSO(エルニーニョ南方振動)に強く影響を受けており、エルニーニョの年では、南からの暖水の貫入により生物基礎生産が明らかに減少している(図13中の緑色ハッチをした年)。大気-海洋間に酸化炭素フラックスは、大きな経年遠藤を示しており、エルニーニョの年では、南からの暖水の貫入に伴って、大気から二酸化炭素を吸収しないか、大気へ放出している場合もある。

図13: 西部北太平洋(NWP, 左列)、中央北太平洋(NCP, 中央列)、カリフォルニア湧昇域(CU, 右列)における、(上から)珪藻やカイアシの生物量、基礎生物生産の平均からのずれ(パーセントで表示)、海面水温(最下図の赤線)、基礎生物生産(最下図の緑線)、大気-海洋間に酸化炭素フラックス(最下図の黒線)、海面二酸化炭素分圧(最下図の青線)。黄緑のハッチは、エルニーニョ年を表す。
図13: 西部北太平洋(NWP, 左列)、中央北太平洋(NCP, 中央列)、カリフォルニア湧昇域(CU, 右列)における、(上から)珪藻やカイアシの生物量、基礎生物生産の平均からのずれ(パーセントで表示)、海面水温(最下図の赤線)、基礎生物生産(最下図の緑線)、大気-海洋間に酸化炭素フラックス(最下図の黒線)、海面二酸化炭素分圧(最下図の青線)。黄緑のハッチは、エルニーニョ年を表す。

f.考察

平成17年度の大きな目標の一つは、パラメーター・チューニングを十分に施した大気海洋結合炭素循環モデルを用いて温暖化実験を行い、C4MIPひいてはIPCC第4次報告書への貢献を行うことであった。この点については充分目標を達成したといえる。また本報告書で示した結果をもとにした論文も受理・出版されている(Kawamiya et al., 2005, Friedlingstein et al., 2006)。しかし、「C4MIP Phase2に参加する各グループに協力を要請し海洋コンポーネントに関する結果をとりよせ、人為起源二酸化炭素吸収に関する海洋モデル間の振る舞いの違いについて比較研究を行う」という目標(「d. 平成17年度研究計画」節)については、達成することができなかった。これは、参加10グループには我々から結果の提出要請を行ったものの、提出に応じたグループが1つしかなかったためである。データ転送用のFTPサーバの設置や提出データフォーマットの簡略化などは行い、データ提出にともなう負担は最大限取り除いたつもりであった。が、もともとのデータ提出要請がC4MIP進行途中でのものであったため、参加グループがデータ提出のために時間を割くスケジュールが立てづらかったのが原因と考えられる。今後我々のグループが国際的なコミュニティの中で一定の役割を果たしていくための反省材料としたい。

g. 参考文献

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h. 成果の発表

学会発表

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河宮未知生・吉川知里・加藤知道・松野太郎, 温暖化が大気海洋CO2交換に与える影響, 2005年度日本海洋学会秋季大会, 2005年9月28日−30日, 仙台市戦災復興記念館.

河宮未知生・吉川知里・加藤知道・松野太郎, 地球環境変化予測のための地球システム統合モデルの開発, 2005年度日本気象学会秋季大会, 2005年11月20−22日, 神戸大学.

山中康裕: 多様なニーズに答える様々な海洋物質循環-生態系モデリング, 炭素循環および温室効果ガス観測ワークショップ, 東京, 2005年10月10日-11日.

山中康裕:水産資源に影響を与える気候変動. 独立行政法人海洋研究開発機構一般講演会「地球環境シリーズ」地球生態系の明日を考える地球観測と予測, 東京, 2005年8月5日.

Aita, M. N., K. Tadokoro, Y. Yamanaka and M. J. Kishi: Interdecadal variation of the lower trophic ecosystem in the Northern Pacific between 1948 and 2002 - in a 3-D implementation of the NEMURO model. Advances in Marine Ecosystem Modelling Research, Plymouth, United Kingdom, June 27-29, 2005.

Aita, M. N., K. Tadokoro, Y. Yamanaka and M. J. Kishi: Interdecadal Variation of the Lower Trophic Ecosystem in the Sub-Arctic Northern Pacific between 1948 and 2002, using a 3D-NEMURO coupled Model. Climate Variability and Sub-Arctic Marine Ecosystems (ESSAS), Victoria, B.C., Canada, May 16-20, 2005.

Aita, M. N., K. Tadokoro, Y. Yamanaka and M. J. Kishi: Interdecadal variation of the lower trophic ecosystem in the Northern Pacific between 1948 and 2002, using a 3-D physical-NEMURO coupled model-. European Geosciences Union General Assembly 2005, Vienna, Austria, April 24 - 29. 2005.

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Yamanaka Y., M.J. Kishi, M.N. Aita, T. Hashioka, A. Ishida, Y. Sasai, F. Shido and N. Yoshie: Current status of our group: development of Eulerian version of 3D-NEMURO.FISH and etc. FRA/APN/IAI/GLOBEC/PICES Joint Workshop "Global comparison of sardine, anchovy and other small pelagics ? building towards a multi-species model", Tokyo, 14-17 Nov. 2005

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Yoshie, N., M. Fujii and Y. Yamanaka: Ecosystem changes after the SEEDS iron fertilization in the western North Pacific simulated by a one-dimensional ecosystem model. Advances in Marine Ecosystem Modelling Research, Plymouth, United Kingdom, June 27-29, 2005.

Yoshie, N. and Yamanaka, Y.: Processes causing the temporal changes in si/n ratios of nutrient consumption and export flux during the spring diatom bloom. A Pilgrimage Through Global Aquatic Sciences: ASLO Summer Meeting 2005, Santiago de Compostela, Spain, June 19-24, 2005.

Yoshikawa, C., Y. Yamanaka and T. Nakatsuka: A study of the marine nitrogen cycle using an ecosystem model including nitrogen isotopes. European Geosciences Union General Assembly 2005, Vienna, Austria, April 24 - 29. 2005.

論文出版

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Yoshie, N. and Y. Yamanaka: Processes causing the temporal changes in Si/N ratios of nutrient consumptions and export flux during the spring diatom bloom. J. Oceanogr., 61, 1059-1073, 2005.

Yoshikawa, C., Y. Yamanaka and T. Nakatsuka: Nitrogen isotopic patterns of nitrate in surface waters of the western and central equatorial Pacific. J. Oceanogr., (in press).

Yoshikawa, C., Y. Yamanaka and T. Nakatsuka: An ecosystem model including nitrogen isotopes: Perspectives on a study of the marine nitrogen cycle. J. Oceanogr., 61, 912-942, 2005.


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