浮遊性有孔虫データベース

ネオグロボコードリナ・インコンプタ Neogloboquadrina incompta (Cifelli), 1961

ネオグロボコードリナ・インコンプタ(Neogloboquadrina incompta)

分類

肉質虫亜門 - 根足虫鋼 - 有孔虫目 - グロビゲリナ上科 - グロボロタリア科 - ネオグロボコードリナ属

時代

現生

特徴 

殻は小型で厚い。殻室は球形で最終旋回は4~4.5室である。棘状突起(スパイン)はもたない。口孔は臍部から外周部に向かって開き、口孔には薄い口唇(リップ)をもつ。
未成熟個体は殻が薄く表面も滑らかであるが、成体は殻の表面にネオグロボコードリナ属に特徴的な凹凸構造をもつか、最終的にそれを結晶化した粒子状の炭酸塩の結晶が覆う。日本近海では東シナ海北部から日本海北部まで、太平洋側では黒潮流域の冷水塊や東北~北海道沿岸域まで幅広く分布する。温帯種。


生きている姿

ネオグロボコードリナ・インコンプタ(Neogloboquadrina incompta)
ネオグロボコードリナ・インコンプタ(写真右)の捕食の様子です。餌として与えたものはアルテミアのノープリウス幼生(写真左)です。N・インコンプタの仮足の引きの力が強いため、アルテミアの体が大きく湾曲しています。
有孔虫は自分の体よりも大きな動物プランクトンも捕食することができます。

電子顕微鏡写真

スケール:50μm
ネオグロボコードリナ・インコンプタ(Neogloboquadrina incompta)成熟個体 旋回面
成熟個体 旋回面
スケール:100μm
ネオグロボコードリナ・インコンプタ(Neogloboquadrina incompta)成熟個体 臍側面
成熟個体 臍側面

スケール:5μm


まめ知識

このネオグロボコードリナ・インコンプタは1961年に記載されていますが、長い間、ネオグロボコードリナ・パキデルマの右巻き個体と言われていました。N. インコンプタとN. パキデルマは、巻き方向以外の特徴はほぼ同じであるため、長い間、巻き方向が違うだけの同じ種だと思われてきたのです。
しかし近年の遺伝子解析によると、両者は遺伝的に異なる種であることがわかってきました(Darlingら, 2000)。巻き方向以外の形態からそれぞれを区別することは難しいため、N. インコンプタを初めて記載したCiffelliに従い、右巻きの個体をN. インコンプタと呼ぶことにしようと提案されました (Darling ら, 2006)。ただし、遺伝的にはN. インコンプタであっても、左巻きの形態をもつものが存在することが分かっており、この分類法はあくまで暫定的です。今後の研究結果が待たれます。