地球寒冷圏には雪氷(積雪,凍土,氷河)が広く存在しており,地球気候システムの形成および変動に多大な影響を及ぼしている。現在、温暖化の影響を受け変化し、その進行にも関与していると考えられ、地球環境変化におけるその役割は,以下の4点に集約される。
(1) 雪氷は気候システムにおける水の一部であり,水循環や海水面上昇に影響を及ぼす。
(2) 地球表面の放射収支を規定する因子として重要であり,熱収支に影響を及ぼす。
(3) 地球温暖化など気候変動の変化を示す重要な地球気候システムの変動指標である。
(4) 雪氷状態の変化は,メタンなど温室効果気体の放出を規定し,また植生育成も規定する。
日スケールで応答する積雪から,氷河,凍土は数十年以上のスケールで応答し,同じ雪氷であっても変動の時間スケール、および空間スケールは大きく異なっているが、現在,特に北半球の多くの雪氷は大きく減少や衰退していると言われている。しかしながら,その検討に必要なデータは系統的に集積されていないため、実態が十分把握されていない。たとえば、積雪面積はある程度調べられて実用に供されているのに対し,衛星観測による積雪深測定には特に山岳域や混合森林帯で誤差が大きく,気候研究や水文研究に十分な精度で利用できる積雪水量のデータは十分には整っていない。また氷河に関しても,その質量変動の評価に使われた氷河のデータセットや,面積変動の評価に使われた凍土のデータセットは限定された地域に偏っているのが現状であり,全球としての正確な推定・評価がなされていない。世界中の氷河の質量も,推定法により数倍の差があるのが現状である。このようなデータを用いた氷河変動や海水面上昇への影響の評価と予測は不確実性が大きいため信用性が低く、混乱を招く。現在の精度良い諸雪氷量の把握,そして変化傾向、そして将来の変動性に関する知見が求められている。
本研究では北アジアから北極域を対象地域として、国際協力のもと,主として季節積雪、氷河、凍土の雪氷変動把握に関する研究・開発を実施する。
(Ⅰ)雪氷要素の現状および変化の高精度把握
(Ⅱ)雪氷変動過程の解明
(Ⅲ)雪氷の変動実態とその原因の解明
(Ⅳ)雪氷要素の将来変動性も解明
主要方策は、
(A) 山岳域雪氷スーパーサイト及び雪氷要素に関する分布型観測網の構築と長期監視
(B) データレスキューを含めたデータ収集・アーカイブ
(C) 現場観測データ、衛星プロダクト導出、モデル開発および数値実験など多手法による統合的解析
である。

















