気候変動適応策策定に資する海洋将来予測データの構築

気候変動適応技術社会実装プログラム

海洋研究開発機構(JAMSTEC)では、文部科学省「気候変動適応技術社会実装プログラム」に参画する中で、地方自治体等の気候変動適応策策定に資する日本周辺海域の海洋将来予測データベースの構築に取り組んでいます。
第5次結合モデル相互比較プロジェクト(CMIP5)による既存の大気海洋将来予測データは、海洋の水平解像度が高々100km程度となっており、日本の海岸地形や黒潮、中規模渦、沿岸流といった詳細な海洋物理構造の表現/再現については十分とはいえません。このため、日本や都道府県レベルでのより詳細な海洋の気候変化評価やその影響評価という点で限界があります。そこで、JAMSTECでは、保有する地球シミュレータを活用し、最新の高精度海洋モデルを用いたCMIP5の領域海洋ダウンスケーリング実験を実施することで、北太平洋および日本近海の高解像度海洋将来予測データを複数のモデルケース・予測シナリオでの構築を行っています。これは、これまでにない時空間規模・解像度の海洋将来予測データとなっています。
SDG13における国別の気候変動対策(緩和、適応)およびSDG14における持続的な海洋・海洋資源の保全・利用の目標達成のためには、日本周辺海域の詳細な将来予測データが重要であり、本データはその1つの基盤データとなります。

北太平洋10km解像度モデルによる80年後の海面水温上昇評価の例。2086-2090年平均値と2006-2010年平均値の差を示したもの。大気外力として、CMIP5のMRI-CGCM3 (RCP8.5)を使用。
日本近海2km解像度モデルによる80年後の海面水温上昇評価の例。2086-2090年平均値と2006-2010年平均値の差を示したもの。大気外力として、CMIP5のMRI-CGCM3 (RCP8.5)を使用。
北太平洋10km解像度モデルによる、年平均海面水温の予測時系列の例(2006年-2100年)。大気外力としてCMIP5のMRI-CGCM3を使用し、赤はRCP8.5、青はRCP2.6のケースを示す。白丸は北太平洋(100E-75W, 15S-70N)、閉じた丸は日本近海(122.5E-150.1E, 23.6N-47.6N)の領域平均量。

付加価値情報創生部門 情報エンジニアリングプログラム

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