三陸沖の海のようす

巨大地震と津波が小型の底生生物の分布を変化させた

2012年3月23日~2012年3月30日

どこで

大槌—女川—仙台湾の沖合

しらべたこと

大槌沖、女川沖、仙台湾沖の計8地点(水深300-900m)で堆積物を採取し、2011年3月の地震や津波で乱された堆積物がどれくらいの厚さに積もっているのか、堆積物中の環境はどのように変化しているのか、そして微生物や多細胞生物の分布はどうなっているのかを調査しました。

わかったこと

どの地点でも、厚さ1-7cmにおよぶ、地震や津波で乱された堆積物の層が観察されました。通常、微生物や小型多細胞生物は、堆積物のいちばん上の部分に多く生息し、堆積物の深いほうにいくにつれて減少するのですが、これらの海域では、堆積物の少し深いところに一番多く生息している傾向がありました。また、この傾向は、海底の変動量がもっとも大きかった地点に近い仙台湾沖の堆積物で顕著でした。

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2012 春
   

地震、津波がもたらした
厚さ数cmの堆積物の堆積が、
小型の生物の分布に1年以上
影響していることがわかりました。
現在、2013年の試料の解析も
進めているほか、2015年にも試料を
採取予定で、時間の経過とともに、
生物の分布がどう変化していくのかを
追跡していきます。

   
  

研究発表

Nomaki, H., Mochizuki, T., Kitahashi, T., Nunoura, T., Arai, K., Toyofuku, T., Tanaka, G., Shigeno, S., Tasumi, E., Fujikura, K., Watanabe, S. (2015) Effects of mass sedimentation event after the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake on benthic prokaryotes and meiofauna inhabiting the upper bathyal sediments. Journal of Oceanography, DOI: 10.1007/s10872-015-0293-5

  

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