地球規模の環境変化の下で、エルニーニョ現象やダイポールモード現象などの気候変動現象が世界各地に極端な異常気象を引き起こしています。近年、大規模シミュレーションと地球観測の発展によって、こうした気候変動を半年から一年前に予測することが可能になってきました。予測にもとづいて、事前に対策を行うことで、社会や経済、そして人々の健康への深刻な影響を軽減できることもわかってきました。
本シンポジウムの前半部では 熱帯起源の気候変動だけでなく、亜熱帯起源の気候変動予測について、科学技術振興機構と国際協力機構が共同で実施している地球規模課題対応国際科学技術協力プロジェクトで得られた最新の成果とアフリカ南部地域への展開について紹介します。気候予測は感染症対策や農業計画などの幅広い応用分野を開拓しつつあり、もはや持続可能な未来社会のデザインには不可欠な要素です。シンポジウムの後半部ではシミュレーションが切り拓く「未来の地球」について紹介します。