白鳳丸KH13-3航海「中規模現象に伴う中央モード水の形成・輸送・散逸過程とその物質循環・生物過程への影響」(2013.04.30)

2013年4月2日~5月1日にかけて、海洋観測船「白鳳丸」によって、北太平洋北西部で海洋観測が行われ、アルゴフロートの投入(レ グ1)と水中グライダー試験観測(レグ2)を行いました。航海の目的は、初春季における日本の東海上の、黒潮と親潮が複雑に入り乱れている海域(混合水域 といいます)の状況を詳細に観測し、混合の物理過程、生態系変動のメカニズムを解明することです。そのために、アルゴフロートや水中グライダー観測をはじ めとして、海中深くの水を採取・分析したり、サンプルをとったりしました。航海は1カ月と長いため、2つの期間(レグ)に分け、途中釧路に寄港していま す。得られた成果、データは各担当研究者によって整備され、公開される予定です。


図(左)航海レグ1(4月2日晴海ふ頭~4月19日釧路)で行った観測と、(右)航海レグ2(4月22日釧路~5月1日下関)で行った航海。黒い線が航路を表し、CTD、XCTDなどの記号は観測の種類、図中の英数字は観測点名を示します(マップは岡東大準教授提供)。
4月22日、気温5度、曇天の釧路港を出港しました。釧路の街が徐々に離れていきます。
これから陸の見えない海の真ん中での観測が始まります。
4月23日、水中グライダー観測の準備をしています。
パソコンやチェックシートを見ながら動作確認を行い、異常がないか確認します。

4月23日夕刻、いよいよ投入です。水中グライダーは、普段は小型ボートによって投入されますが、波が高いこともあり、本船のAフレーム(クレーン)を使った投入を試みています。
いよいよ投入されました。これから3日間という短い期間ですが、船から離れて1000mの深さの海中を観測し続けます。位置情報やデータは常に陸上に送信され、それに基づいて陸上から電波で観測、動作の指令を出します。

みなさん初めての水中グライダー観測なので、不安そうに見送っています。
3日後の27日早朝、雷雨の中無事回収することができました。
観測は夜間も行われます。写真はCTD観測といって、海中深くの水温、塩分などの計測、採水による生態系変動の観測が行えます。初春 の北太平洋は天候が大変厳しく、1ヶ月間に8回の低気圧による荒天に遭遇し、港に避難することもありました。そのように大変な思いをして取られたデータ は、様々な研究に役立てられることでしょう。