ちきゅうレポート
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「みんなが一つの目的のために働く」2011年1月8日

こんにちは。お正月休みが過ぎましたがいかがお過ごしでしょうか。「ちきゅう」乗船中の里口です。

さて、今回の航海も大詰めを迎え、もうそろそろ終わろうとしています。それぞれのグループは、降りるまでに書く研究レポートのために、この航海で分かったことをまとめる作業に追われています。研究グループごとの議論や、グループを越えた議論、船を下りてからどういう研究を行うかという議論、など様々な議論があちらこちらで行われていて、乗船者の研究に対する姿勢が見受けられます。

研究グループごとに調査のまとめなどを発表しているところ。
たいていの場合は首席研究者のピエールさんを中心にたくさんの質問が飛び交い議論が行われます。


う〜ん、ちょっとまじめな文章が多すぎて、自分でもなんだかわざとらしく思えてきたぞ。いや、書いていることは事実なのですが、書き方が優等生な書き方だ。それじゃぁ、もっと人間くさく「私の横にいるまだ新婚の研究者は、あと○日だと毎日言っているなぁ、それは早く奥さんに会いたいという事なのかなと思いつつ聞いています」とかそういう事を書いた方がいいのか、なんて考えたりもしてます。

閑話休題...先日ふと思ったのですが、この船は海底掘削船なので、基本的にはそのために運行しているのです。という事は、ボーリングスタッフや私たち研究者はもとより、クリーニングスタッフや食事スタッフなどすべての人が、数千メートル下の海底を掘って調査するという目的のために働いているのですよね。そう思うと船上に上がってくるコアに対する気持ちもちょっと変わってくる...ような気がする。


このタワーで引き上げるボーリングコアのためにみんなが働いていると思うと、ちょっと感慨深いものがあります。

そういうスタッフの中には、研究支援スタッフがいます。分析や採取作業のサポートや、資・試料や保存用ボーリングコアのチェック管理などを主に行います。

ボーリングコアの処理、分析の補助、保存するボーリングコアの管理など殆どの場面でテクニカルスタッフの方が関わっています。保存用と採取用の半分に分ける部屋(左下)、記載前にするボーリングコアの画像撮影(右上)、記載が終わったボーリングコアの整理準備(左上)、保存用ボーリングコアの管理作業(右下)など、その他にもいろいろ。それにしても、右下の人はコア管理作業中だと思うけれど、なぜ床に正座しているのだろう?

彼らなくしては研究者もうまく働けない、と言っていいくらい(というかその通りだ)重要な役割を担っています。しばしば彼らが作業についての激しい議論をしているのが聞こえていました。彼らも熱い想いでこの船にのっているのかな?なんて事を思っていました。

今回の航海はもうすぐ終わりですが、乗船研究者にとっての研究はまだまだこれからです。得られた試料は、それぞれの研究者がその目的別に分けられているので(以前の記述を参考にしてください)、その試料の分析によって専門別の研究が進められます。

さて、得られたボーリングコアは全部が今回の乗船者の分析用試料になってしまうのでしょうか?答えはノーです。テクニカルスタッフによって半分にされたコアの片方と、試料採取後に残ったコアは高知にある専用の施設へ運び込まれ、今後の新しい研究のために保管されます。だから、採取試料ラベルなどの記述の間違いやデータ入力が間違っていたりすると、テクニカルスタッフのコア管理部門の人(キュレーターと言っています)が飛んできて、あくまでもやんわりと間違いなどの修正を指摘されます...。そういった管理の事情は、私が普段働いている博物館でも同じようなことをしているのでよく分かります。同時にそういう保管・管理作業がどれだけ大変かという事も身をもって体験しています。もっとも私の博物館はボーリングコア以外の資料が殆どですけれど。

今回の記事は、先日行われた卓球大会決勝の画像をお見せして締めくくりたいと思います。さて、どちらが勝ったでしょう?どちらも上手で、レベルの高い戦いでした。

激しい応酬という感じではなく、たんたんとすすんでいるような感じがしていたのですが、お互いに使われている技などをじっくり観察すると、レベルの高い戦いだという事がわかった、研究者里口でした。

里口 保文(琵琶湖博物館

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