KY14-09 かいよう航海日記(2014年6月19日~7月1日)

2014年6月30日 入港前日。一路横須賀へ。

  • 05:30 起床
    北緯35-7.7N / 140-27.8E
    気温21℃、気圧1007hPa、風速6.2m/sec、水温20.7℃。波高3m。曇り。
    甲板にでると陸が見える。既に千葉沖。

  • 08:30 陸揚げ準備
     甲板にボックスパレット展開。資材機材を詰め始める。
    10:30 エアロゾルサンプリング終了
     既に陸に近いということで、急遽サンプリングを終了。
     エアロゾルを採集していたハイボリュームサンプラーの撤収作業

  • =昼食。待望のカレーライス。良く働いたのでお替わりも許されるだろう=

  • 13:15 船上セミナー
     航海士、機関部、甲板部、事務部の皆さんに、主要課題について首席のK合さんから、定点観測について自分から紹介する。

  •  夕食にビールが一本つく。船長と昔話に花が咲きました。

     明日は住友重工業岸壁に入港。久しぶりの陸。

  • ということで本航海の記録もこれにて終了。今度は10月、「新青丸」からの報告をお楽しみに。


2014年6月29日 観測終了。一路横須賀へ。

  • 05:00 起床
    エアロゾルサンプルフィルター交換

  • 昨夜23時30分の段階で荒天のためJKEOへ向かう途中での採水中止が決定。
    本船は進路を約280度に取り陸に近づく
    *双胴船「かいよう」。多少の波では非常に安定。だが波高が高くなると、他の船と異なり、航行が困難となる。波が胴体部を直撃。地震のような振動が発生。かつてセンターウエル(水中エレベーターを吊り下げる中央部の孔)があった時は時折噴水する間欠泉のようだった。

  • =今日からワールドカップは決勝トーナメント。まずはブラジルvsチリ、コロンビアvsウルグアイ。南米同士のつぶし合い。ネイマールは得点王をめざし爆進中。ウルグアイは狂犬スアレスの出場停止が痛い。=
    =おっ!BSが受信できている!本日は15時からブラジルvsチリ戦放映!それまでに仕事を終えましょう=

  • あちらこちらで陸揚げ準備が始まる。自分も横須賀行、むつ行、と資材機材の整理。 その後は居室で論文作成。急遽実施することになったセミナー準備。
    =しかしBS放送では午前中からワールドカップゲームがon air。アルゼンチン、ドイツ、ブラジル、ウルグアイ登場。まったく仕事がはかどらない=

  • 夜、ほろ酔いセミナー。演者は熊本県立大学大学院生の村田くんと早稲田大学大学院生/JAMSTEC研究生の高木さん。それぞれエアロゾルと共生藻の研究を紹介。


2014年6月28日 JKEOに向かって航走中。ゾンデ放球

  • 07:30 北緯34-16N / 145-11.4E
    気温22.3℃、気圧1006.5hPa、風速10.4m/sec、水温23.5℃。天候曇り。
    JKEO(38N / 146-30E)に向かって北上中

  • 34°00’Nより、緯度15度毎(10knotで走った場合1.5時間毎)にラジオゾンデ🎈とXCTD観測
    研究室では昨日採取された海水サンプルの分析が続く。

  • 自分は居室でデータ整理。論文作成。残りの時間はノンビリ読書。
    =読書はkindleで。本を読まない娘へのクリスマスプレゼント。しかしいつしか自分の手元に。片手で読める、暗いところでも読める、薄い、字が拡大できる、辞書機能がある等の点で大変重宝している。難点は話題の最新作が手に入らないこと、必要以上に電子書籍を購入してしまうこと等。=

  • 高層気象観測(通称:ゾンデ祭り)
    (以下の数字はおおよその時間)
    05:30 34-00N ゾンデ放球/XCTD スタート
    JAMSTEC研究者、技術者、学生がワッチを組んで対応。
    07:00 34-15N ゾンデ放球/XCTD
    08:30 34-30N ゾンデ放球/XCTD
    10:30 34-45N ゾンデ放球/XCTD
    12:00 35-00N ゾンデ放球/XCTD
    13:30 35-15N ゾンデ放球/XCTD
    15:00 35-30N ゾンデ放球/XCTD
    16:30 35-45N ゾンデ放球/XCTD
    18:00 36-00N ゾンデ放球/XCTD

  • 夕食時、予定変更を知らされる。JKEO付近には低気圧があるため荒天が予想される。よって本船は少し進路を西向きに変え明日03:00頃着の北緯37-30度を北限とする。
    そして採水が可能かどうかを判断。可能な場合は採水(放射能用)を実施(約2時間)。不可能と判断された場合はそこで観測は終了、帰路につく。

  • 19:30 36-15N ゾンデ放球/XCTD
    21:00 36-30N ゾンデ放球/XCTD
    22:30 36-45N ゾンデ放球/XCTD
    24:00 37-00N ゾンデ放球/XCTD
    6/29
    01:30 37-15N ゾンデ放球/XCTD
    03:00 37-30N ゾンデ放球/XCTD


2014年6月27日 KEO セジメントトラップ設置作業ほか

  • 05:00 起床
    気温21.4℃、気圧1008hPa、風速7.6m/sec、水温23.0℃。天候曇り。
    本日も涼しそう。

  • 06:00 ラジオゾンデ放球

  • 06:30 セジメントトラップ係留準備
    MWJ T森くんの指示でガラスフロート運搬、接続、ワイヤー準備。朝飯前の仕事だが、係留作業に慣れない研究者には重労働。

  • 08:30 セジメントトラップ設置作業
    今年からKEOブイのそばで観測を実施。NOAAブイの気象・海象データとセジメントトラップデータを連動させて解析、栄養塩の供給メカニズム、中でもエアロゾルの供給による生物地球化学の変化を見るのが主目的。
    セジメントトラップは水深約5000m一層にのみ設置。従って係留系長さは全長約1000m。
    08:48 セジメントトラップ着水
    09:38 最後のガラスフロート群着水
    T森くんの指示で研究者がガラスフロート運搬、接続、ワイヤー準備。来年以降の人員削減を考え研究者も係留系作業ができるように。”オオトリ”のシンカー接続部は自分が担当。
    09:42 シンカーレッコ
    10:20 着底確認。水深5770m。位置出し作業開始(SSBL、Super Short Base LIneの略、にて10分間トラッキングして位置出し)
    10:33 トランスデューサーを吊り降ろしてDisable (Sleep)コマンド送信。
    10:47 終了。とりあえず新しい観測がスタート。

  • これにてNOAA, JAMSTECの全ての係留系作業終了。

  • 10:50 CTD/採水 1回目 2000mキャスト

  • 12:00 ラジオゾンデ放球

  • 13:30 CTD/採水 2回目 300mキャスト
    大雨の中の採水。甲板員がはって下さったブルーシートテント”さまさま”である。今回は採水のみならず、ボトルの準備、ボトルの片付け、表面採水までお手伝い。長い間、ご無沙汰していた仕事を経験。大変良い勉強になりました。

  • 15:00 ラジオゾンデ放球

  • 15:00 プランクトンネット
    1回目 300mキャスト
    2回目 300mキャスト

  • 17:00 漂流ブイ投入
    本日は3個。前回のものを含めて計6個。キースが繋船甲板からレッコ。後2個投入予定。
    17:00 自分はエアロゾルフィルターの交換。

    これにてKEOサイトでの観測終了。

    本船はJKEOサイトに向かう。ただし海況、そして帰路のことも考慮し、KEOサイトに向かって行けるところまで北上する。

  • 18:00 ラジオゾンデ放球
    今晩01:00から2時間おきにゾンデ放球とのこと。

  • 夜、係留系関係者で打ち上げ(本航海。夜の観測が無いせいか、ビールの消費量が速い)

    明日からはクルーズレポート、メタデートの作成、陸揚げ準備を開始する。


2014年6月26日 KEO

  • 05:00 起床
    気温21.3℃、気圧1010hPa、風速6.4m/sec、水温22.6℃。
    船窓から見ると空は灰色。格納庫から見ると外は強い雨。
    本日は予定通りKEOブイ回収?それともセジメントトラップ設置?

  • 06:00 ラジオゾンデ放球
    学生達もゾンデの組み立て、オペレーションが板についてきた。

  • =テレビでは繋船甲板から海面を見つめる航海士達が映し出されている。係留系回収のため作業艇を降下できるかチェックしているのか?それとも魚がかかっていないかチェックしているのか?......................しばらくすると釣り糸を巻きとる航海士の姿が..........=

  • 08:30 表層採水、ラジオゾンデ放球

  • 08:40 KEOブイ リリースコマンド送信
    一回で切離しに成功。
    09:00 作業艇降下
    09:35 表層ブイondeck
    まずは船上クレーンでデッキ中央部へ移動。水没部には”エイリアン”のようなグロテスクなエボシ貝(MR12-02航海報告参照)がビッシリ。学生達が興味津々で見学、写真撮影(これをキレイにするのは君達のお仕事だよ)。
    10:30 係留系上のCTDのとりはずし開始。これから1000mまで約20個のCTDが続く。最初はエボシ貝の付着によりネジが埋まっており作業は難航。しかし深度とともに生物付着も少なくなる。さらに途中には係留策ブレ防止のフェアリングが装着。デビッドがプラスチックハンマー片手にリズムカルにフェアリングをはずす。

  • 天候は雨。CTD、フェアリングをとりはずす二人以外に、ウインチマン、取り外したものを運搬する人、ワイヤーをさばく人、記録をとる人、などたくさんの人間が作業に携わる。

  • 11:20 全てのCTD収容。残り約7000m。

  • 13:30 ケーブル巻き取りは続く。デッキではブイやセンサーからの貝落とし。学生達が大活躍。
    14:00 ガラスフロートondeck
    14:15 切離装置ondeck
    お疲れさまでした。キースもデビットも一安心のことだろう。

  • 15:00 ラジオゾンデ放球
    明日のセジメントトラップ係留系設置のためにガラスフロートの最終準備。

  • 18:00 ラジオゾンデ放球
    夕方から回収したセジメントトラップ試料の整理。だいたいの捕集量を記録した後に汚れをおとしシールして袋詰め。


2014年6月25日 KEO KEOブイ設置ほか

  • 05:00 起床
    既にKEO(32°23.00’N, 144°32.00’E)に到着
    エアロゾルフィルター交換

  • =06:00 陸上支援のT谷研究員から⚽日本vsコロンビア戦 前半の様子を知らせるメール。1 - 1。前半終了間際に本多→岡崎でGOOOOAL! ギリシア 1-0 コートジボアール(象牙海岸)(途中経過)。日本が勝てば得失点差で決勝トーナメント進出の可能性大!GO-GO-JAPAN!=

  • 06:00 ラジオゾンデ放球

  • =07:00 メール着信。日本 1-4 コロンビア。完敗�、惨敗�。いい夢見させていただきました。しかしワールドカップはこれからが本番。=

  • 08:50 ラジオゾンデ放球

  • =KEOブイ設置作業=
    09:00 ゼロ災の後、作業開始。
    最初の800mのワイヤーケーブルまではCTD、ぶれ止めのフェアリングを取り付けながら慎重に。
    09:20 約5,000mのナイロンロープ巻き出し。このナイロンロープは約1.5m×1.5m×1.0mの木箱にすきまなく縦横キレイに折り重なって収納されている。収納に約10日間かかるそうである。
    13:30 ガラスフロート レッコ
    以前にもKEOブイを本船で設置しているので、皆勝手を知っており作業はスムーズに進行。
    14:20 シンカー移動
    電車の車輪が串刺しされた約2トンのシンカー。これを並列に連結させて約4トンのシンカーとなる。やはりアメリカ、スケールがでかい。
    14:30 シンカー レッコ
    15:30 ポジショニング
    三点測量してシンカーの着底位置の決定。

  • 14:00 ラジオゾンデ放球
    18:00 ラジオゾンデ放球

  • 夕食後、F木くんのアシストでセジメントトラップに防腐剤入捕集カップ取り付け、初期設定。今回は7月1日よりサンプリング開始。回収は1年後の予定。船は.....
    その後は甲板で係留系準備をしてくれているT森くんとK川くんのアシスト。19:30作業終了。お疲れさまでした。

  • 明日は昨年設置されたKEOブイの回収。作業艇が降ろせない天候の場合はセジメントトラップ係留系の設置。


2014年6月24日 S1

  • 05:00 起床
    気温21.9度、気圧1007hPa、風速3.2m/sec。天候雨
    再びS1に戻ってきた。風は弱いがうねりが大きい。

  • 05:50 ラジオゾンデ放球
    06:00 CTD/採水(ルーチン他) 1回目 海底まで(約5700m)のキャスト
    この間に、KEOブイの移動、リールセッティングを行う。巨大なトップブイをクレーンをつかって船尾に移動。船体動揺が激しければ困難。”暴れ回らない”ように複数箇所でふれ止め索をとり慎重に作業。まるでガリバーに対峙する人間のよう。
    天候雨。甲板での取水が心配。ブルーシートに潜り込んでの採水が現実味をおびてきた。

  • 09:00 採水器ondeck
    ウインチの巻き込み、巻き出しが速かったため予定より早く揚収。
    雨が降っているので甲板部の人に頼んでブルーシートをはってもらう。本日はこれを3回も繰り返す。甲板部に感謝感謝。
    担当者のM本くんはまだろ過の途中。皆バタバタあわてて集合。人が少ない。高校野球で言えば全員野球、「山びこ」打線の池田高校。自分もオブザーバーではいられない。最初からご指名がかかり取水。チューブを使ったガス系、チューブ無しの塩分、栄養塩、フィルターでろ過しながらのDOC。様々な採水を慣れない場所、体制、バタバタと風であおられるブルーシートの下で黙々と実行。

  • 10:00 CTD/採水(ルーチン他) 2回目 1800mキャスト
    11:30 採水器ondeck
    採水班長の指示で早メシ。その後、採水班に加わる。終了した採水ボトルを作業甲板から一段下がった繋船甲板にある第二研究室に運搬。そこで仕分け、そして次の採水の準備。狭い第二研究室はまさに戦場。採水瓶の詰まった採水カゴと人で足の踏み場もない感じ。準備できたものを一段上の作業甲板へ今度は運搬。(試料運搬のため)あがったりさがったり(採水のため)立ったり座ったり。

  • 13:00 CTD/採水(ルーチン他) 3回目 250mキャスト
    採水器が投入されたと思ったら息つく暇もなく表面採水。
    13:50 採水器ondeck
    そして再び採水。終了後は試料の運搬、仕分け。塩分検定ビンには中蓋を装着、ガス系には水銀添加、そして一部は冷凍保存のためにディープフリーザーへ運搬。
    (今日の一句)
    ”採水もマジメにやったら格闘技”

  • 15:00 プランクトンネット
    1回目 300mキャスト
    2回目 300mキャスト
    16:00 漂流ブイ投入
    NOAA/PMELが持ち込んだ漂流ブイ(流れ、水温を観測)を3個レッコ(Let it go)。

  • これにてS1での観測作業が終了。本船はKEOサイトに向かう。到着予定は明日04:00時頃。

  • 自分はエアロゾルサンプラーのフィルター交換。
    甲板では明日のKEOブイ投入の準備が進む。

  • 18:00 ラジオゾンデ放球

  • 甲板では明日のKEOブイ投入の準備が続く。
    研究室では本日採水されたサンプルの分析が続く。


2014年6月23日 S2(28°00.00’N, 145°00.00’E) 採水、ゾンデ観測

  • 05:30 起床
    気温24.8度、気圧1009hPa、風速11.6m/sec
    S1以北が海況が悪いため昨夜移動。こちらは穏やか。
    =昨夜の釣果、イカ4杯とのこと=

  • 09:00 ラジオゾンデ放球
    格納庫で風船を膨らませ、右舷から手動で放球。

  • CTD/採水 1回目 800mキャスト(放射性セシウム測定用)
    CTD/採水 2回目 200mキャスト(放射性セシウム測定用)
    採水は船尾から12本がけの12Lニスキン採水器で行う。13層以上の採水だと2キャストを余儀なくされる。取水は甲板上。もしも雨が降ってきたらブルーシートをかぶせて採水する予定。採水に関してはいかに「みらい」が恵まれているか改めて痛感。
    女子達(T口、T木、Y田)も積極的に取水のお手伝い。

  • 午前中、セジメントトラップ再設置のための準備。F木くんがアシスト。その後はガラスフロートをチェーンに取り付ける作業。よりが入らないようにボルトで固定。これも結構な重労働。

  • 12:00 ラジオゾンデ放球

  • 13:30 プランクトンネット
    1回目 1000mキャスト
    2回目 200mキャスト
    (有孔虫と共生藻を、黙々と、どん欲に、採取するカツノリとハルカ)
    3回目 200mキャスト
    甲板ではNOAA/PMELブイの投入準備。彼らの持ち込んだワイヤードラムを、本船の電動巻き出し装置で使用できるように甲板部、機関部が木製ドラムに孔をあける作業を行う。船上で細工をし、効率良く作業ができる工夫を怠らないのは流石。

  • 15:30 ラジオゾンデ放球
    自分はセジメントトラップにブライダルとチェーン取り付け。とにかく秋の新青丸航海ではMWJのサポート無しで係留系作業を行わなければならないだけに、作業内容を覚えなければならない。

  • 本日もいっぱい肉体労働した。
    明朝は再びS1。05:50からゾンデ放球、続いてルーチン採水。


2014年6月22日 S1 セジメントトラップ係留系回収・ゾンデ・VMPSネット観測

  • 05:00 起床
    気温22.8度、気圧1009.5hPa、風速9-10.0m/sec、水温22.3度。天候曇り。
    船窓から外を見る。波が高い。雨?風も強い。係留系回収にはあまりよろしくない海況。
    ブリッジにて波高が1.6m程度であることを確認。

  • 05:45 研究員集合
    しかしこの時点で霧が濃くなる。視程100m?よって切り離しは06:30まで待機。

  • 06:20 ラジオゾンデ放球

  • 06:30 霧は解消されない。よってもう少し待機。その間に午後の予定であったプランクトンネットを実施することに決定。KIMOPYとT木さん、朝食もとらずに準備。

  • 07:00 VMPSプランクトンネット(1000m)
    多段式(4層)鉛直曳きプランクトンネット。その構造はIONESS(多段式水平曳き大型プランクトンネット。MR12-02, MR13-04航海報告参照)に近い。オペレーションは 調査指揮室。TSKの技術者がデータをチェック。

    風速11m/sec。若干強くなるものの濃霧はあいかわらず。

  • 08:30 VMPSプランクトンネット(200m)

    風速11m/sec。霧は薄くなったり濃くなったり。

  • 09:00  少し晴れ間が見える。やるなら今でしょ。
    しかしまずはラジオゾンデ放球

  • =BGC(セジメントトラップ)係留系回収作業=
    09:20 霧がかなり消えた。本日一番の視程。ということで切離作業に着手。
    09:32 ENABLEコマンド送信。応答あり。(切離装置は生きており係留系はそばにあることが判明)
    09:33 距離測定。5820m(すぐそばに居ることが判明)
    09:33 RELEASEコマンド送信。応答あり
    09:37 トップブイ浮上確認!すぐに「かいよう」はトップブイにアプローチ。

    09:52 スマルで係留系確保。
    10:15 トップブイondeck
    本日もツートップの一人をまかされる。予想ではセジメントトラップの整理をするのでトップ下での起用と思われたが....最近冴え渡っているT森采配に従う。
    10:30 200mトラップondeck
    ~途中、サビまみれ、汗まみれで作業をしていたので詳細な記録なし~
    13:38 幸いガラスフロートもあまり絡まずに揚納。そして切離装置ondeck。全ての層で予定通りに沈降粒子の時系列捕集に成功。作業時間は約3時間30分。本船にとっては慣れない作業ではあったが、迅速でかつ安全な甲板作業であった。船長ほか乗組員の皆様に多謝!

  • ラジオゾンデ放球

    今後海況悪化が予想されるため、本船はS1に向かう。
    休憩してからは甲板整理。自分は高圧洗浄機でセジメントトラップ、トップブイ、ボンデンの生物付着落とし。。みるみる付着生物がはぎとられていくのは快感。生物付着のため茶褐色となったロープが真っ白になっていく様は必見、テレホンショッピングで紹介すれば高圧洗浄機の注文が殺到すること間違いなし。

  • 夕食後、係留系関係者で細やかな慰労会。

    21:00 お開き。
    テレビでは船長と若手が繋船甲板でイカ釣りしている様子が放映中。


2014年6月21日 S1到着。POPPS係留系回収、グライダー回収

  • 05:00- 起床
    約2時間前にS1に到着。
    エアロゾルサンプラー(HVS)のフィルター交換。
    05:45 格納庫集合
    軽く研究者で打合せをする。
    05:59 POPPS係留系切り離し
    壁のような船首からトランスチューサーを吊り下げる。
    目覚まし(ENABLE)コマンド送信
    06:04 切り離し(RELEASE)コマンド送信
    一発で反応あり。幸先の良いスタート。
    06:07 浮上確認
    (07:00まで待機)

  • 06:26 ゾンデ放球(本航海初)

  • 07:00 POPPS係留系回収作業開始
    気温22.2度、気圧1014hPa、風速3.0m/sec

  • 07:00 作業艇降下
    07:27 水中ウインチondeck
    07:45 RAS ondeck
    今回はツートップの一人として、シャックルはずし、ふれ止め取り、重量物運搬を担当。先日の白鳳丸航海で調教されたおかげで、シャックルピン切断、ボルトはずし等スムーズにこなせたのではないだろうか(自己評価7)。
    天候曇り。炎天下だったら鉄板の上での作業はツライところだった。
    (途中 大気班はゾンデ放球)
    11:10 切話装置ondeck。本日も良く動きました。

  • 本船は約50マイル離れたグライダー浮上予定点に移動。
    午後は回収した自動採水装置RASのサンプルの梱包。

  • 15:00 グライダー発見。回収。
    今年2月に投入されたグライダー。4ヶ月間の連続観測は日本新記録。
    15:50 採水(放射能1000m)
    12本がけのカルーセル採水器を船尾から投入。スクリューで撹拌された表層付近の採水が気になる。
    =16:15頃 船首でクジラ発見。船長の話ではザトウクジラとのこと。現在はクジラを見かけたら報告の義務があるらしい。本船から逃げる事無く20-30分、左右に泳いでは潮吹きサービス=
    16:50 採水器ondeck。
    17:10 採水(放射能2: 200m)
    17:35 採水器ondeck。

  • 疲れたので、夕食後は早めの風呂。そしてナイトキャップ。
    明日はセジメントトラップ係留系の回収からスタート。


2014年6月20日

  • 05:30- 起床
    32-42N / 142-43E
    気温21.3度、気圧1009hPa、風速3.4m/sec
    うねりはあるが本船は対地速度11.7knotでS1に向けて航走中。

  • =ガーン!衛星放送受信できません!=

  • 09:00- 乗船者会議
    明日からの作業予定の確認。明日未明S1に到着。最初はPOPPS係留系回収。予定では06:00切離し、早飯後、07:00から作業艇投入し、回収作業に着手。その後はS1から約50マイル離れた場所にいるグライダー回収。明後日はBGC係留系回収。

  • =陸から日本vsギリシア戦結果の速報。0vs0。スコアレスドロー。これで自力での予選突破はなくなった。=

  • 甲板では係留系作業のためのドラム準備、CTD採水器用のウインチの試験等が行われる。かつて存在した水中エレベータを投入するセンターウエル(孔)もなくなったため甲板は広い。かつ格納庫のおかげで雨の日でも濡れずに作業可能。雨の中ブルーシートをかぶってセジメントトラップのセッティングをしたのは今は昔。
    コンテナラボでは酸素検定、フローサイトメトリーの準備、第一研究室ではKIMOPY、T木さんが表層海水の共生藻測定中。

  • 昼休みのコンパスデッキ。熊本県立大学のグループがエアロゾルのサンプリング中。海から放出される粒子中のバクテリアを測定するとのこと。

  • 午後、格納庫ではVMPSプランクトンネントの組み立て、第四研究室では恒温槽の準備が行われている。NOAA/Washington Univ.チームのキースとデーブ、黙々とブイ回収・設置準備作業中。
    自分はMWJ, NME技術員といっしょにボックスパレットの中のガラスフロート出し。30kgのガラス球が4個、チェーンで連結されているもの。総重量約120kg。なので船側にクレーンで吊り出してもらいたいとお願いしたが、こんなものは人力で充分.....ということで7~8人で引きずり出す。加えて「”鉄”甲板上をガラス球を引きずるのは好ましくない(引きずるな)」ということで4人で所定の場所まで持ち上げて移動。完全な”パワープレイ”。終了後、腕に力が入らなくなり、汗だく。良い運動となる。
    その他の時間は陸上からのメール対応、およびこれまで得られてきたセジメントトラップデータの整理

  • 19:30-
    30-54N / 144-11E
    気温21.7度、気圧1012hPa、風速4.8m/sec、対地速度8.9knot

  • 21:30- 風呂
    本日は海水風呂。擦り傷にはピリピリくるが、アトピー等皮膚の炎症には効果がある。何よりも体の芯から暖まる。

  • いよいよ明日からS1。


2014年6月19日

  • 0730 乗船完了
    0800 人員点呼
    0900 出港
    住友重工業岸壁を予定通り出港。JAMSTEC横須賀本部を見ながら東京湾口へ向かう。
    昨日、設置場所を変えた風向風速計のケーブル処理。”木”甲板ではなく”鉄”甲板。膝をつくと熱い。

  • 1000 安全教育/船内生活オリエンテーション
    (食事の時間)朝:0730、昼:1200。夜:1700。食堂の席に限りがあるので、乗船者12名は早飯(30分早く食事)。夕食が1630はツライがカレーライスの時は有利?!

  • 1130 エアロゾルサンプリング開始
    東京湾口に差しかかったのでエアロゾルサンプリング開始。
    「かいよう」は双胴船なので独特な揺れ。非常に短い周期でローリングしながら大きなうねりを乗り越えて行く走っている感じ。波が船中央部をたたくと地鳴りのような振動が響く。

  • 1200 昼食
    ”ひな壇”の席。船長がいらっしゃらなかったので機関長の「いただきます」で食事がスタート、「ごちそうさま」で終了。食器は自分で片付け。昔(約20年前)は自分のお茶でお箸を洗って専用の箸箱に入れたものだがその習慣はなくなったらしい。

  • =14時すぎ、船内LAN/メール開通。今朝から試みるも、回りの人が開通できているのに、自分だけが不通であった。MAC博士Kimopyもお手上げ状態。それでNME K園さんに相談したところハブを変えてみたら、ということになり交換したら問題なく開通。ハブが10ベース対応それに対して自分のパソコンはギガベース対応........良くわかっていないが、要するに相性が悪かったようだ。とりあえず一件落着=

  • 1500 研究室の整理。お互いに調整しながら場所を確保。
    1640 金比羅参り
    ブリッジにて航海の安全と観測の成功を祈願

  • =夕食時、ひな壇では船長を中心に昔話。自分とM本研究員とは20年近くの長いお付き合い。「かいよう」でも「みらい」でもお世話になってきた。センターウエル(水中エレベーターをおろす中央部の孔)はどうだった、DDC(船上にあった高圧・減圧チャンバー)の回りでよく飲んだ等、昔を知らないF木研究員他に昔の「かいよう」の様子を紹介=

  • 2000 乗船者ミーティング
    ビール片手に航海内容紹介。自己紹介。
    2300 お開き
    熱帯低気圧に変わった台風の影響か船体動揺が大きい。船が初めての学生はツラそう。
    (明朝0700-0900 日本vsギリシア。明日は0900までBS放送が見れるか?)

住重からの出港

2014年6月18日 乗船前日

  • 午後からお隣、住友重工業(SHI)に停泊中の「かいよう」へ。天候は小雨。だが作業に支障がでるほどのものではない。大気観測チームのT谷研究員から観測作業内容、観測機器の撤収方法を指導してもらう。本航海中はフライングブリッジ(操舵室上甲板。コンパスデッキとも呼ばれる)でハイボリュームサンプラー(HVS)により大気塵(エアロゾル)を収集する。陸由来の天然起源物質および人為起源物質の時空間変動と海洋生物活動への影響を調べるのが目的。しかしここで問題発生。HVSは、本船の煤煙をサンプリングしないために、船首から風を受けた時のみサンプリングを行う。これをHVSと連動させた風向風速計で制御するのであるが、風向風速計を左舷手すりにつけたため乱流の影響を受けることがわかった。急遽、この風向風速計の設置位置をフライングブリッジ船首側に変更。恐らくこれでうまく行くだろう。

  • 空いた時間は自分の資機材、私物の整理。居室は2人部屋。ルームメートはM本技術研究員。「年功序列」(seniority system)で奥のベッドと仕事机を使わせてもらう。煤

  • 16時頃下船。明日は8時までに乗船。そして9時に出港。

かいよう