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浮遊性有孔虫データベース
Neogloboquadrina incompta (CIFELLI)
読み
ネオグロボクアドリナ・インコンプタ
分類
FORAMINIFERA - グロボタラメア綱 - ロタリイダ目 - グロビゲリニダ亜目 - グロボロタリオイデア上科 - グロボロタリイダエ科 - ザラメマキウキダマ属
時代
現生
特徴
殻は小~中型で、最終旋回の房室数は4~4.5室である。主口孔は臍部から外周縁に達するアーチ状となり,臍側歯のかわりに主口孔を縁取るような狭小な口孔縁(rip)をもつ。房室同士が接する縫合線は深く、室同士の境界は明瞭である。おもに右巻き旋回の種をN. incomptaとよぶ。殻の最大長径は約0.5mm。低緯度から中緯度に分布する。日本周辺では黒潮流軸からその続流域、また日本海にかけて広く産出する。
生きている姿
N. incompta(写真右)の捕食の様子です。餌として与えたものはアルテミアのノープリウス幼生(写真左)です。N. incomptaの仮足の引きの力が強いため、アルテミアの体が大きく湾曲しています。
有孔虫は自分の体よりも大きな動物プランクトンも捕食することができます。
電子顕微鏡写真
スケール:100μm
スケール:5μm
コラム、まめ知識など
このN. incomptaは1961年に記載されていますが、長い間、N. pachydermaの右巻き個体と言われていました。N. incomptaとN. pachydermaは、巻き方向以外の特徴はほぼ同じであるため、長い間、巻き方向が違うだけの同じ種だと思われてきたのです。
しかし近年の遺伝子解析によると、両者は遺伝的に異なる種であることがわかってきました(Darlingら, 2000)。巻き方向以外の形態からそれぞれを区別することは難しいため、N. incomptaを初めて記載したCiffelliに従い、右巻きの個体をN. incomptaと呼ぶことにしようと提案されました (Darling ら, 2006)。ただし、遺伝的にはN. incomptaであっても、左巻きの形態をもつものが存在することが分かっており、この分類法はあくまで暫定的です。今後の研究結果が待たれます。