Orbulina universa d’ORBIGNY
オルブリナ・ウニベルサ Orbulina universa
マリウキダマ属Orbulinaのタイプ種である。殻は大型になり、最大径は1mm程度になる。成長の最終段階でつくられる球形の殻の内側には、トロコイド状旋回の初期殻がみられ、その形はGlobigerinoidesのそれに似る。初期殻の厚さは非常に薄く溶けやすいため、堆積物中の個体にこれが残されていることは極めてまれである。球状の最終室は口孔をもたないが、表面にやや大きめな壁孔(pore)が均等に分布する。まれに最終室がそれ以前の殻の全てを包み込むことができず、球の一部からはみ出ことがある。赤道から亜寒帯まで広く分布するが、中緯度域に多い。細胞内に共生藻(渦鞭毛藻)をもつ。
読み
オルブリナ・ウニベルサ
和名
マリウキダマ
分類
FORAMINIFERA - グロボタラメア綱 - ロタリイダ目 - グロビゲリニダ亜目 - グロビゲリノイデア上科 - グロビゲリニダエ科 - マリウキダマ属
時代
現生
特徴
マリウキダマ属Orbulinaのタイプ種である。殻は大型になり、最大径は1mm程度になる。成長の最終段階でつくられる球形の殻の内側には、トロコイド状旋回の初期殻がみられ、その形はGlobigerinoidesのそれに似る。初期殻の厚さは非常に薄く溶けやすいため、堆積物中の個体にこれが残されていることは極めてまれである。球状の最終室は口孔をもたないが、表面にやや大きめな壁孔(pore)が均等に分布する。まれに最終室がそれ以前の殻の全てを包み込むことができず、球の一部からはみ出ことがある。赤道から亜寒帯まで広く分布するが、中緯度域に多い。細胞内に共生藻(渦鞭毛藻)をもつ。
サンプリング情報
産地: Okinawa area [127°47.5'E,26°37.9'N]
生きている姿
マリウキダマは熱帯から温帯の海に普通に見られます。ごくまれに亜寒帯に産出することもあります。左の写真は共生藻類を出しているときの姿、右が共生藻類をしまっているときの姿です。球体のチェンバーの中に、グロビゲリナのような、いくつかのチェンバーの連結からなる房室がみえています。
オルブリナ・ウニベルサ Orbulina universa
浮遊時のすがた
共生藻を殻の外側に出している(黄色い粒子)
オルブリナ・ウニベルサ Orbulina universa
浮遊時のすがた2
共生藻は細胞内に格納しているため見えない
マリウキダマの全体像
マリウキダマの全体像です。きれいな球体の中心部分に浮遊性有孔虫の本体(細胞質)が充填したチェンバーがあるのがみえます。放射状に延びているのはスパイン(棘状突起)で、その表面には楕円形の共生藻類(渦鞭毛藻)が付着しています。
マリウキダマは飼育環境下でこのスパインを自由につけたり外したりできることが観察されています。
マリウキダマの遊走子放出シーン
球体から少しずつ出てくる小さな粒子は、遊走子と呼ばれる細胞です。生殖の際、細胞質はほとんどがこの遊走子に変わり、次の世代を作るため、大海原に放出されます。この遊走子は2本の鞭毛を持っており、回転しながら泳ぎ回ることができます。このひとつひとつの細胞が、別な個体から放出された遊走子と接合を行い、新たな個体が誕生します
マリウキダマの捕食シーン
マリウキダマの左側についているのは、カイアシ類です。マリウキダマは、天然環境ではおもにこのカイアシ類を捕食しています。マリウキダマから出ている仮足がカイアシ類の体内に入り込み、その軟体部を溶解・吸収しています。殻は堅く食べることができませんので、軟体部を吸収したら堅い殻は捨ててしまいます。
電子顕微鏡写真
スケール:100μm
オルブリナ・ウニベルサ Orbulina universa スケール:100μm
最外殻の球体のチェンバー
オルブリナ・ウニベルサ Orbulina universa スケール:100μm
外側のチェンバーを割ったところ。内側にグロビゲリナのような殻の薄いチェンバーが見える。
スケール:5μm
オルブリナ・ウニベルサ Orbulina universa スケール:5μm
一方、内側のチェンバーから伸びるスパインの断面は亜三角形をしている。
オルブリナ・ウニベルサ Orbulina universa スケール:5μm
表面構造の拡大。球体のチェンバー表面から伸びるスパインの断面はほぼ円柱状。
コラム、まめ知識など
マリウキダマは浮遊性有孔虫のなかでも飼育しやすい種類と言えます。餌はアルテミアのふ化直後の幼生を与えることで、リプロダクション(遊走子放出)まで行わせることが可能です。
マリウキダマは球形の殻を作る前の姿はウキダマ属やアナウキダマ属のように見えるため、飼育を開始した直後はうっかり別な名前を付けてしまうことがありますが、翌日に球体の殻を作って驚かされることがあります。