2005年7月に完成した「ちきゅう」は、 世界最高レベルの掘削能力(海底下7,000m)を持つ地球深部探査船です。
「ちきゅう」は、国際深海科学掘削計画(IODP)の主力船として、巨大地震発生の仕組み、将来の地球規模の環境変動の解明、海底下生命圏をはじめとする未踏のフロンティアへの挑戦など、人類の未来を拓くさまざまな成果をあげることを目指しています。
地震・火山大国である我が国において、安全・安心な社会を構築するため、「ちきゅう」は地震発生帯や火山活動域で掘削を行い、そこを直接観察して、人間活動の時間スケールで起こる地震、津波、火山活動、地滑りなどの地球変動に伴う災害の頻度や発生メカニズム、影響を解明します。また、掘った穴に観測装置を設置し、地震発生と同時にその情報を陸上へすばやく伝える仕組みを作ります。将来、この地震観測ネットワークは都市防災に役立つことが期待されています。
現在起こっている温室効果ガスの急速な増加に対して、気候、海洋、氷床がどのように反応するかを予測するため、「ちきゅう」は海底を掘り、過去の環境と気候状態の記録を海洋堆積物コアから読み取り、短期〜長期スケールで起こる気候・海洋変動メカニズムの理解を目指します。
高温・高圧・無酸素の原始地球で最初の命は誕生しました。現在の地球でも、地下奥深くには原始地球に類似した環境が残っています。「ちきゅう」は海底を掘り、原始的な地下生命を探索し、その生息環境や多様性、環境変化に伴う生命の進化を明らかにし、人類を含む生命誕生の謎に迫ります。