文部科学省と海洋研究開発機構(JAMSTEC)が連携した「GIGA スクール特別講座~教室から深海探査につながろう!~」を行います。
JAMSTEC野牧秀隆・主任研究員や東北海洋生態系調査研究船「新青丸」に乗船する研究者とともに、深海の生物や環境について学びましょう!
以下のYouTubeチャンネルにて視聴できます。
https://www.youtube.com/watch?v=uz2u3rUaXfg
※天候不良により内容が一部変更になることがあります。
たくさんの質問とメッセージをどうもありがとうございました。
頂いた多くの質問の中から、研究者が直接お答えできる内容を中心に、回答を掲載致します。
- この仕事のやりがいは何ですか?
- ・まだ誰も見たことのない深海底を、世界で初めて自分が調査できること。まだ誰も調べていない現象を、世界で初めて自分が解き明かせること。(野牧秀隆)
・今まで誰も知らなかったことを、ほんの少しずつでも知ることができることです。(小林香苗)
・世界で1番初めに新しいことを見つけられること。その新しく見つけたことを世界中のみんなに伝えて、「面白い!」と言ってもらえる(ときがある)こと。(磯部紀之)
- この仕事を続ける理由はなんですか?
- ・研究を進めていくと、新たに問題が出てきたり、もっと面白そうなことを見つけたりするからです。(小林香苗)
・永遠に終わらないから!(磯部紀之)
- どうして深海に興味を持ったのですか?
- ・偶然の面が大きく、大学で所属した研究室で深海の有孔虫の研究を研究テーマとして与えられたからです。ただ、結果的に幸せなことには違いありません。(野牧秀隆)
・元々、身近(川、湖、沿岸、下水処理場)にいる微生物を研究していたのですが、その微生物が実は深海にもいるということを知って、地上とは全く異なる環境でどのように生きているのか興味を持ったからです。(小林香苗)
・研究対象である植物の主成分であるセルロースが、実は深海にもたくさん落ちているんだよ、という論文がScience誌に掲載されていたから。(磯部紀之)
- 研究で一番大変なことはなんですか?
- ・人間関係です(笑)。どこの世界もそうですが、研究の世界も、人と関わらずには物事を進められません。みんなそれぞれの立場や考え方があるので、それらの落としどころを探るのが一番大変です。(野牧秀隆)
・最初に研究の計画を立てること。これまで調べられてきたことの情報を大量に集めて、何がわかっていないのか、どうやったらそのわかっていないことを明らかにできるのか方法を考えること。ずっと考えているので、歩いている時や、風呂に入っている時も考えていることがよくあります。(小林香苗)
・研究が、もともと狙った通りには絶対に進まないこと。しかし、本当に大切なことは予想外のことなので、うまくいかないときこそ諦めずに乗り越えなければならないこと。(磯部紀之)
- 深海に行って一番驚いたことはなんですか?
- ・意外に海底が凸凹していることです。無人探査機の映像では平らに見えるような泥の海底も、自分で潜ってみると傾斜があったり、生物の作る山や穴があったり、海底の流れでできる畝(うね)があったりと、予想以上に凸凹していました。(野牧秀隆)
・とても静かなのに、意外と流れがあって、その流れに乗ってピンク色のユメナマコがふわふわ流れていった光景がとても綺麗だったことです。(小林香苗)
・ライトで照らされた海底が見えた瞬間、びっくりするくらいたくさんの生き物がいたこと。(磯部紀之)
- これまでの研究で一番嬉しかった(たのしかった)事はなんですか?
- ・楽しい事、嬉しいことはたくさんあります。一番最初の論文が出版されたときは、自分も一人の研究者になれたという喜びがありました。パソコンの上で文章やグラフを作っていた時には感じませんでしたが、普段よく見る論文の形として編集され、印刷されたものをみると、なんだかすごい事のように思えました。
・いろいろなデータを出して、それをグラフにしたときに「あれ?これは何を意味しているんだ?」と考えているときもとても楽しいです。あのデータと比べてみたら何かわかるかも、次にこういう実験をしたらこういう結果になるんじゃないか?と考えるのはとても楽しく、そしてその通りになった時にはとても嬉しいです。
・海の研究ですから乗船しますが、他の研究者と協力して一つの目的に向かっていくのも楽しいです。また、調査がひと段落した夜に、それらを離れ、飲食しながらいろいろな話をするのも楽しいです。(野牧秀隆)
・実験や解析をしていて、ようやく結果が出そうなときはいつも楽しいです。(小林香苗)
・生まれも育ちもまったく違う初対面の海外のひとに「あなたの論文読んだよ、とても面白かった!」と言ってもらえたこと。(磯部紀之)
- 海のゴミについて
・深海底にはどのくらいゴミが落ちていますか?
・海に大体どのくらいのゴミが落ちているんですか?
・海のごみの量は?
- ・海ごみにはいろんなごみがありますが、プラスチックごみについて回答します。海に存在するプラスチックごみの正確な量は誰も知りません。しかし大雑把には、推定で少なくとも1億5000万トンのプラスチックごみが海に流入したと言われています。そのうちどのくらいが深海底に落ちているかも実は分かっていませんが、現在生産されているプラスチックのうちのおよそ半分は海水よりも比重が大きいプラスチックなので、単純に考えれば半分くらいの7500万トンくらいは海底に落ちているかも知れません。私たちJAMSTECでは日本周辺の深海底に落ちているプラスチックごみの量を推定しようと研究を進めています。(中嶋亮太)
- 生分解性プラスチックについて
・何年で分解されますか?
・研究はいつから始まったんですか?
・素材を詳しく教えてください
・普通のプラスチックと強度は同じなのですか?
・作る過程で自然環境に影響は出ないのか?
・魚のお腹の中でも溶けるのか?
・どうやって水に溶けるコップを開発したんですか?
- ・いま製造されている生分解性プラスチックが何年で分解するか、現在調べている途中です。JAMSTECが参加しているムーンショットプロジェクトでの目標は「30度の海水において6ヶ月で90%分解する」です。
・土で分解する生分解性プラスチックの研究自体は1960年代からスタートしていますが、海のプラスチック汚染が深刻化していく現状を解決するため、海でも分解する生分解性プラスチックの開発が急務です。
・微生物がつくるポリエステルや、糖がたくさんつながった多糖が主な原料です。
・強度においては普通のプラスチックと大きくは変わりません。同じくらいになるように、工夫が必要な場合もあります。
・作る過程・使う過程・リサイクルする過程・万が一海に流れ出してしまった場合、というすべての状況を踏まえて、自然環境に影響が出ないかどうか、細心の注意を払って吟味・検討をしています。(磯部紀之)
- 「新青丸」について
・なぜ新青丸という名前になったんですか?
・新青丸は作ってから何年経ちますか?
・新青丸の施設構成はどうなっていますか?
・新青丸には最高で何人乗れるんですか?
・新青丸に乗れるようにするためにはどうすればいいですか?
- ・「新青丸」は、東日本大震災の地震・津波の影響で海洋環境が劇的に変化した東北沖の漁場復興に、大学等に蓄積された科学的知見を有効に活用するため復興支援のネットワークとして構築された「東北マリンサイエンス拠点形成事業」においても活用される船舶として、2013年に建造されました。
東北地方の新たな発展に寄与すると共に、長きにわたって活躍し2013年1月に退役した「淡青丸」の後継船という意味も込めて、「新青丸」と命名されました。定員は41名(乗組員26名/研究者等15名)。「海」の研究を行うことのできる大学に進んだり、または乗組員になるための十分な教育を受けたりすれば、乗ることができるようになるかもしれません。(>>詳細はこちら)
- 「ハイパードルフィン」について
・どうやって操作をするんですか?
・深海でも潰れないのか?
・操作するのは大変ですか?
・ロボットを操縦するのは免許はいるんですか。
- ・「ハイパードルフィン」は1999年にカナダで製造された最大深度4,500mまでの潜航が可能な無人探査機です。超高感度ハイビジョンカメラを搭載し深海の撮影や目視による調査を行えるほか、海底からサンプルを採取できるマニピュレータ(ロボットアーム)2基をうまく使って操作しています。深海で潰れることはありません。また、ハイパードルフィンを操縦するための免許はありません。難しい操作に習熟するため、航海や陸上で日々訓練しています。
ROV(無人探査機)から深海の映像をリアルタイム中継します!
\深海の生物や環境についてクイズに答えよう/
\無人探査機で深海実験/
\SDGs目標「海の豊かさを守ろう」を知ろう/
- 講師:野牧秀隆(JAMSTEC主任研究員)
世界中の海底や生物を調査する深海のスペシャリスト。
研究乗船歴は70回以上。
※クイズの回答及び質問・メッセージのURLは当日公開予定です。
※質問・メッセージの受付は1月18日(火曜日)14:00から開始します。受付最終日は1月25日(火曜日)です。
※授業に関する研究員への質問は可能な範囲でお答えし、後日にホームページに掲載します。