海洋研究開発機構と防災科学技術研究所は、令和6年4月に設置された火山調査研究推進本部において、それぞれ海と陸の調査観測の中核を担っています。本シンポジウムでは、「海と陸から火山に迫る」というテーマのもと、両機関が主導する調査観測・研究の取組をご紹介します。
これまでに得られた成果、現在進行中のプロジェクト、そして新たな挑戦について、具体的なデータや事例を交えながら分かりやすくお伝えします。陸上と海底、異なるフィールドの知見を融合させることで、国内の火山活動の全体像を把握し、災害への備えと未来の火山研究の可能性を探ります。
日時
令和 7年 12月 2日(火)13:00~16:35
開催場所
イイノホール(東京都千代田区内幸町2-1-1)
https://www.iino.co.jp/hall/access/
参加方法
会場参加(事前申込制・参加費無料)
主催
国立研究開発法人海洋研究開発機構
国立研究開発法人防災科学技術研究所
後援
文部科学省
参加登録
参加登録フォームより事前にお申し込みください。
参加登録期限
令和 7年 12月 1日(月)正午
定員
400名
資料
開場
開会挨拶
大和裕幸(JAMSTEC理事長)
来賓挨拶
13:15
基調講演
「火山防災への貢献をめざした火山調査研究の過去・未来」
清水 洋
火山調査研究推進本部火山調査委員会 委員長
13:35
講演 JAMSTECと防災科研の取組と挑戦
「JAMSTECにおける海域火山研究開発の紹介」
小野 重明
JAMSTEC海域地震火山部門 部門長
我が国は世界有数の火山大国であることが知られています。日本列島の下には海洋プレートが沈み込み、活発な火山活動を引き起こしています。陸域の火山のみならず、海域の火山もひとたび噴火をすれば我々の生活に大きな影響を及ぼす可能性があり、火山活動を知ることは科学的な観点のみならず防災の観点からも極めて重要です。JAMSTECでは伊豆・小笠原や九州南方の鬼界海底カルデラ火山等の海域火山を対象とした調査研究を進めています。研究船を用いた調査や火山試料の分析技術については、世界でも有数の能力を有しています。本講演では海域火山研究の最新の取組や研究成果をご紹介します。
13:50
「防災科研における火山研究の概要紹介」
藤田 英輔
防災科研巨大地変災害研究領域 副領域長
防災科研ではMOWLASの基盤的火山観測網 (V-net)を44火山に展開し、火山で発生する地震や地殻変動やリモートセンシング技術を活用した観測による火山活動評価に関する研究を進めています。また、火山災害に対するレジリエントな社会を実現することを目的として、各自が火山災害に関するリスクを知り、火山活動の推移やその脅威に応じて適切な対応をとるために資する技術開発に取り組んでいます。
14:05
「伊豆・小笠原の火山研究」
羽生 毅
JAMSTEC海域地震火山部門 上席研究員
南北に火山が連なる伊豆・小笠原海域には、周期的に活動を繰り返す火山、突発的に活動をした火山、海面下で人知れず活動をしている火山など、多様な火山が存在しています。そのうちの多くは観測も十分でなく、また過去の活動実態も不明なままです。伊豆・小笠原弧の活動的な火山に対して、JAMSTECが取り組む航海を中心とした調査と、そこから得られた研究成果についてご紹介します。
休憩
14:35
「硫黄島に関する研究開発」
長井雅史
防災科研火山防災研究部門 主任専門研究員
硫黄島は地殻変動、熱水活動、地震活動が活発なカルデラ火山です。渡島手段の限られた離島ですが防災科研では前身の国立防災センター時代から観測・調査を続けてきました。その結果、これらの変動の源はカルデラ直下に上昇してきたマグマであり、2022年には実際にマグマの一部が南岸沖で噴出したことが確認されました。再生ドーム形成期のカルデラ火山の貴重な研究例ですが、海底部分を含めた火山活動史や地質構造、マグマの上昇過程にはまだわからないことが多く、今後も総合的で継続的な調査が必要です。
14:55
「海域火山活動モニタのための観測研究」
中野優
JAMSTEC海域地震火山部門 主任研究員
火山の活動をモニタするときに、火山の下や周辺で起きる地震の活動度は重要な指標の一つです。しかし、海域火山の大部分は海面下にあり、海底でのリアルタイム地震観測はコストがかかるため観測が十分ではありません。本講演では、海底火山の活動を監視するための取り組みについて紹介します。一つは、海底の光ファイバーケーブルを地震計として活用する新技術を使うもの、もう一つは、海底下で起きた地震による水中音波を利用する方法です。これらについて、実際の観測事例を基に紹介します。
15:15
「JVDNシステムによる火山観測研究」
上田英樹
防災科研火山防災研究部門 上席研究員
三宅島など一部の活発な火山については、観測データから、ある程度は噴火を予測することができるようになりました。しかし、活発でない火山や大規模な噴火などに関しては、データが少ないため予測することは未だ困難です。JVDN システムとは、国内の研究機関などが調査や観測を行って集めたデータを共有するシステムです。これにより全国の火山のデータをリアルタイムで見ることができるようになりました。防災科研は、多くの火山に共通する特性から火山活動の推移を予測するなどの研究を進めています。このようなJVDNシステムを活用した研究について紹介します。
休憩
パネルディスカッション「火山防災に対する研究機関の貢献」
閉会挨拶
寶馨(防災科研理事長)
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