「人•自然•地球共生プロジェクト」課題2第30回研究連絡会議議事録
1.日時:平成17年8月2日(火) 14:00−16:30
2.場所:海洋研究開発機構横浜研究所(横浜市金沢区昭和町 3173-25)
交流棟2階 小会議室
議事次第:
1. 開会挨拶
2. 各グループからの進捗状況報告等
(1) 共生3-1課題運営委員会の参加報告(伊藤 昭彦)
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共生3-1課題(陸域生態系モデル作成のためのパラメタリゼーション)の運営委員会が6月30日に北海道大学北方生物圏フィールドセンター会議室で開催された。共生2課題からは、松野太郎特任研究員(運営委員)と伊藤昭彦研究員が出席した。最初の議題として、中間評価について安岡善文代表から報告された。全体の方向性と達成度については概ね良しとする結果であったが、実施体制として温帯および亜寒帯の生態系はカバーされているものの、熱帯/亜熱帯が空白域になっている点が問題と指摘されていた。次に、個々の研究グループから進捗状況の報告が行われた。
- 森林総研(北海道):羊が丘研究林における炭素循環観測研究について。フラックス測定が継続されるはずであったが、台風による倒壊で見直しを余儀なくされた。
- 森林総研(リモセン):航空機ライダーを用いた広域的バイオマスおよび葉面積指数の測定について。
- 北海道大学低温研:東シベリアにおける森林火災と炭素循環の観測研究について。昨年度までの灌水実験でカラマツ林における乾燥ストレスの重要性が示唆された。
- 北海道大学農学部:構内に設置されたFree Air CO2 Enrichment (FACE)システムの稼働状況と暫定的な測定結果について。光合成の下方調節が認められた、など。
- 東京大学生産研:MODISなど衛星観測データを陸域生態系モデルに同化する手法の検討。
次に、熱帯/亜熱帯で観測を実施している研究者(北大・平野高司助教授)から研究紹介が行われ、中間評価への対応について議論が行われた。また、共生2課題および陸域生態系モデルSim-CYCLEの
現状について伊藤研究員から報告が行われた。会議後、参加者は北大構内にあるFACE施設を訪問し、研究の実施状況を視察した。翌7月1日は、羊が丘の森林総研の観測サイトおよび苫小牧の観測サイトを見学し、実地状況を踏まえた議論を行った。両サイトとも、昨年に甚大な台風の被害を受けており、その復旧途中にあったが、そのような困難をも克服して研究を推進する努力が伺われた。
共生2陸域炭素循環Gの進捗報告
結合モデルを用いた、陸域における土地利用変化の影響評価に関するシミュレーションが進行中である。また、off-line実験の続きとして気候変動に伴う日射変化の影響の感度分析結果が報告された。気候-炭素循環結合モデルの研究成果が8月10日にモントリオールで開催される国際生態学会(INTECOL)で報告される予定。
(2)寒冷圏モデル(齋藤冬樹)
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- 今までの MIROC の version 管理の反省点を列挙した。
- 寒冷圏では共生第一の温暖化実験の結果を用いて、Greenland 氷床の温暖化実験を行っている。現在解析を進めている。
(3)その他サブグループの進捗状況
(1) 大気-陸域結合炭素循環モデル(加藤 知道)
- 20世紀中の炭素収支と土地利用変化の影響について、論文執筆を目指して、結果をまとめている。今月と来月に開催されるINTECOL/ESA(国際生態学会/米国生態学会)とICDC7(第七回国際二酸化炭素会議)において、同結果についての発表を行う。
(2)SEIB-DGVMの開発状況 (佐藤 永)
- 論文の題1原稿を書き上げ、共著者の伊藤と甲山に渡した。伊藤からは、コメントを受け取り、
現在それに基づいたreviseを行っている。
- 伊藤の指摘に従って、幾つかの追加実験(最終収量一定則、1.5乗則の検証)を行うかも知れない。ただ、論文は既に十分長くなってしまっているので、どの程度まで検証作業を行い論文中に記載するのかについては、全体のバランスをみながら決めるつもり。
- 引き続き、モデルユーザーを増やすための活動を順次展開中。
(3)気候物理コアモデル改良サブグループ(渡辺 真吾)
- K−1IPCC実験用の最新コードを西村さんが整理されたのに合わせて、K2のコードを最新版に合わせて整理する作業を行った。また、ハイブリッド鉛直座標(主にdynamics)コードや、CHASER対応のphysicsコードを標準コードとしてマージした。現在バグ取り作業中である。
- 7/18-26にかけて参加したIAGA国際会議にて、太陽活動変動のGCM研究集会(SOLARIS)に参加してきた。K2モデルも将来的には参加予定。
(4)海洋生物地球化学モデル (河宮 未知生)
- 結合炭素循環モデルについて、陸域炭素循環モデルのチューニングをやり直した結果を用いて再実験を行ったところ、気候変化を考慮に入れた場合と入れない場合とで二酸化炭素濃度将来予測に有意な違いが出てくることが分かった。今後さらにチューニングの精度を上げるとともに、論文執筆に着手する。
3.連絡事項
- 8月5日(金)の一般講演会に参加する人は、休憩時間中のポスター説明を手伝ってほしい。
- 8月25日に「地球シミュレータ利用者連絡会」というものがある。松野先生と河宮が出席予定。
- 運営委員会の日程が10月25,26日に決定。
- 秋の気象学会ではなるべく多くの発表をして共生2の宣伝をして欲しい。
4.閉会
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