「人•自然•地球共生プロジェクト」課題2第40回研究連絡会議議事録

1.日時:平成19年2月26日(月) 14:00‐16:30
2.場所:海洋研究開発機構横浜研究所(横浜市金沢区昭和町 3173-25)
交流棟 2F 小会議室

議事次第:

1. 開会挨拶

2. 各グループ/サブグループからの進捗状況報告等

(1) MATCHの概要 (伊藤 彰記)

気候変動に関する温室効果ガス削減負担分担は、産業革命以降の国別排出履歴を加味した基準とすべきであるとした「ブラジル提案」に基づく評価を実施するための国際的な科学者による活動であるMATCH (Ad-hoc group of the modelling and assessment of contributions to climate change)のうち、世界的な土地利用変化による 二酸化炭素排出量データの不確実性評価に関する概要を解説する。



動的全球植生モデルSEIB-DGVMの開発状況 (佐藤永)

今後200年ほどの未来における全球植生分布の変化を、種子分散力を高く仮定した場合と低く仮定した場合とで比較した。その結果、いずれのシミュレーションにおいても亜寒帯林の南限が北上したが、その亜寒帯林が退いた広大な地域には、前者の場合には温帯落葉樹林が速やかに進入し、後者の場合には疎林帯に置き換わるという結果が得られた。また、この差に対応して、前者は後者に比べ全球バイオマス・NPPともに高い値が得られた。この結果は、これまで全球シミュレーションで殆ど検討されることのなかった種子分散力の大小が、今後100年〜200年間の植生の分布や機能において、大きな影響を持つことを示すものである。
また、現在進行中の研究として、熱帯雨林シミュレーターFORMINDをSEIB-DGVMに取り込む試みを紹介した。FORMINDはドイツの研究グループによって15年ほど以前から開発が始められ、現在に至るまで様々な検証を経てきた信頼性の高い森林動態モデルである。元々は東南アジアの熱帯雨林動態を再現するために開発されたが、現在では南米大陸の熱帯雨林に適用するためのパラメーターセットも推定されており、全球の熱帯雨林を扱うことができる。このような既存の森林動態モデルの取り込みは、SEIB-DGVMの空間構造を明示的に扱った個体ベースモデルという特徴によって、初めて実現が可能となった。



3.その他サブグループの進捗状況

(1)大気-陸域結合炭素循環モデルの開発進捗状況 (加藤 知道)

・20世紀における気候―炭素循環相互作用における陸域生態系の役割について、Climate Dynamics誌に投稿した論文を修正している。

NIES/CGERとの共同研究用のシミュレーション実験の準備を行った。



(2)寒冷圏モデル (齊藤 冬樹)

寒冷圏では導入した新 scheme の効果を調べるために Greenland 氷床の一様温暖化実験を行い、従来の方法と比較し、一定の効果があることを確認した。



(3)海洋生物地球化学モデル (河宮 未知生)

気候-炭素循環フィードバックの強さの空間分布を決める要因について解析をまとめ、論文を執筆中。



(4)気候物理コアモデル改良サブグループ(渡辺 真吾)

地球システム統合モデルのテストランは、排出2%漸増実験が61年、標準実験が42年まで積分が進んでいる。両実験が50年間終了した時点で、結果の解析を行い、問題点の整理を行う予定にしている。

統合モデルのパッケージを更新して2月版をリリースした。



4.連絡事項

  • 3月1日-3日 ハワイで「共生プロジェクトについての国際ワークショップ」 共生2からは河宮さんが参加。
  • 3月19,20日 フロンティア・観測センター合同成果発表会
  • 3月22日 共生プロジェクト成果発表会(代々木)

5.閉会


メンバーページトップへ戻る

連絡会議事録ページへ戻る