2.温暖化・大気組成変化相互作用モデル開発


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2—2 温暖化―雲・エアロゾル・放射フィードバック精密評価

担当機関名:地球フロンティア研究システム
研究者: 久芳奈遠美(地球フロンティア研究システム)
中島映至(東京大学気候システム研究センター)
竹村俊彦(九州大学応用力学研究所)
富田浩文(地球フロンティア研究システム)
鈴木健太郎(東京大学気候システム研究センター)
野沢徹(国立環境研究所)
鈴木恒明(地球フロンティア研究システム)
對馬洋子(地球フロンティア研究システム)
a. 要約

このグループの課題は大気大循環モデル(GCM)でエアロゾルが雲の光学特性に及ぼす影響、すなわち対流圏エアロゾルの間接放射強制力を評価するためのパラメタリゼーションを開発することである。地球フロンティア研究システムでは雲粒の凝結核(Cloud Condensation Nuclei:CCN)が雲の微細構造に及ぼす影響を評価するパラメタリゼーションを開発している。このパラメタリゼーションおよびAbdul-Razzak et al. (1998)のパラメタリゼーションなどをエアロゾル気候モデルであるSPRINTARSとともにCCSR/NIES AGCM に取り込み、雲の光学的厚さや雲粒有効半径の全球分布を計算して衛星観測データとの比較を行い検討した。さらにGCMのためのパラメタリゼーションとして有効なものにするためにNICAM(New Icosahediral Atmospheric Model, Satoh,2003, Tomita, 2002)を用い、雲微物理モデル搭載超高解像度全球モデルの開発を行っている。さらに雲解像領域モデルCReSS (Tsuboki and Sakakibara,2002)を用い、ビン法雲微物理モデルを搭載した雲解像領域モデルの開発も行う。

b. 研究目的

対流圏エアロゾルの間接放射強制力の見積もりがいまだに不確定性の大きい主な要因はエアロゾルと雲の関係が不確定であることによる。エアロゾルの中でCCNとして働くものの粒径分布や化学組成と雲の中の上昇流速度によって雲粒の粒径分布が決まり、雲の反射率や光学的厚さなどの光学特性や雨の降り易さなどの降水効率が変わり、ひいては気候変動予測の中では放射収支や水循環に効いてくる。これらの因果関係を明らかにし、GCM用のエアロゾル間接放射強制力を評価するためのパラメタリゼーションを開発する。

c. 研究計画、方法、スケジューリング

この共生プロジェクトでは詳細雲モデルを搭載することが非現実的である大気大循環モデル(GCM)でエアロゾルが雲の光学特性に及ぼす影響を評価するためのパラメタリゼーションを開発する。ここで開発されたパラメタリゼーションおよびAbdul-Razzak et al. (1998)のパラメタリゼーションなどをエアロゾル気候モデルであるSPRINTARSとともにCCSR/NIES AGCM に取り込み、雲の光学的厚さや雲粒有効半径の全球分布を計算して衛星観測データとの比較を行い検討する。さらにGCMのためのパラメタリゼーションとして有効なものにするために雲微物理モデル搭載超高解像度全球モデルおよびビン法雲微物理モデルを搭載した雲解像領域モデルの開発を行う。

平成15〜16年度にNICAM、CRESSそれぞれへの雲モデルの搭載を行い、17年度から比較実験を行い、以降GCM用のパラメタリゼーションの開発を行う。

d. 平成15年度研究計画

地球フロンティア研究システムで開発した雲微物理モデル(Kuba et al., 2003)により開発したCCNが雲の微細構造に及ぼす影響を評価するパラメタリゼーションおよびAbdul-Razzak et al. (1998)のパラメタリゼーションなどをエアロゾル気候モデルであるSPRINTARSとともにCCSR/NIES AGCM に取り込み、雲の光学的厚さや雲粒有効半径の全球分布を計算して衛星観測データとの比較を行い検討した。さらにGCMのためのパラメタリゼーションを有効なものにするためにNICAM(Nonhydrostatic Icosahediral Atmospheric Model, Satoh,2003, Tomita, 2002)を用い、雲微物理モデル搭載超高解像度全球モデルの開発を行う。また、ビン法雲微物理モデルを搭載した雲解像領域モデルの開発のための準備としてビン法に用いる初期雲粒粒径分布のパラメータ化を行う。

e. 平成15年度研究成果
e.1. 雲解像領域モデルに搭載するビン法雲微物理モデルのための初期雲粒粒径分布のパラメータ化

e-1.1 雲粒数密度のパラメタリゼーション

詳細雲モデルの多数の数値実験から統計的に雲粒数密度近似式を開発した(Kuba et al., 2003, Kuba and Iwabuchi,2003, Kuba,2003)。雲粒数密度 Nd (cm-3) は過飽和度 S (%) で活性化されるCCNの数密度Nc(S ) (cm-3)と雲底での上昇流速度V base (m) で以下のように表される。

これらの近似式を使った雲粒数密度と詳細雲モデルにより計算された雲粒数密度を図29に示す。
table内は、図29.CCN数密度と雲粒数密度の関係。
図29.CCN数密度と雲粒数密度の関係。
マークは詳細雲モデルによる計算値。
実線は近似式(1)

雲粒粒径分布は従来ガンマ分布で表されることが多いが、これは積分が容易であることによる。雲粒数密度n(r) (cm4) をここでは式(2)のようなガンマ分布を用いて近似する方法を採用し、詳細雲モデルにより得えられる雲粒粒径分布と比較した。

係数CとDは、雲粒数密度Ndと(cm-3 ) 雲水量Q (g cm-3 )を用いて以下のように表される。

比較のために簡易力学モデル(計算領域は水平方向 9km、鉛直方向 3kmで、50分間の流れの場として、2次元の浅い対流セルが時間変化する流線関数で与えられている。2次元の移流スキームを含む。格子間隔は50 m、Δtは3秒間である。詳細はSzumouski et al.(1998) 参照)に2モーメントビン法(Chen and Lamb, 1974)雲微物理モデルを組み込んだものを開発した。ビン法では雲粒や雨粒などの凝結成長や併合成長をEuler流に計算する。しかしビン法に与える初期雲粒粒径分布は各格子点に付随するパーセルモデルにより粒子法でLagrange 流に計算するというハイブリッドモデルである。粒子の移流および重力落下は格子点間でEuler流に計算される。初期雲粒粒径分布をパーセルモデルにより精度良く計算する場合と、パーセルモデルを用いる代わりにここで開発されたパラメタリゼーションを使った場合とを比較する。

図30は対流の中心部の雲底付近で初期雲粒粒径分布がビン法微物理モデルに与えられた直後の雲粒粒径分布と180秒後の雲底から150m上空の雲粒粒径分布である。

図30.格子点上のビン法微物理モデルの初期雲粒粒径分布を詳細雲モデル(パーセルモデル)により与えた場合と、雲粒数密度と粒径分布の形を式(1)および(2)(β=2,4)で与えた場合の雲粒粒径分布の比較。左図:雲底付近。右図:雲底から150m上空。

ガンマ分布の βは2,4,6,8の4種類試みた。βが4、6および8の結果は差が小さいので6および8の場合の結果は省略する。ガンマ分布はパーセルモデルから計算される雲粒粒径分布より幅が広く、巨大雲核から生成される大きい雲粒を表現することができないことがわかる。ただビン法に移ってからは時間とともにその差は小さくなることがわかる。この幅の過大評価と大きい巨大雲核起源の大きい雲粒の過少評価の影響を把握する必要がある。光学的性質に関しては、雲水量と雲粒数密度が同じであるのでそれほど大きい影響はないが、降水形成に対しては降水量での比較が必要である。

図31は地表面での50分間の積算降水量である。CCNは数密度が少ないものから多いものまで3種類(CCN0.5, CCN1, CCN5)用意した。雨量の少ない場合(CCN5)を除き10%程度の誤差で表現できている。雨量の少ない場合は誤差が大きいが、雨がほとんど降らないという結果は出すことができており、CCNの効果は表現できていると言える。入力値としてのCCNの粒径分布(過飽和度スペクトル)を精度良く得ることが困難な現状では十分CCNの効果を表現する手段となり得る。

図31.格子点上のビン法微物理モデルの初期雲粒粒径分布を詳細雲モデル(パーセルモデル)により与えた場合と、雲粒数密度と粒径分布の形を式(1)および(2)(ベータ=2,4)で与えた場合の50分間の地表面積算降水量の比較。a:CCN0.5の場合 図31.格子点上のビン法微物理モデルの初期雲粒粒径分布を詳細雲モデル(パーセルモデル)により与えた場合と、雲粒数密度と粒径分布の形を式(1)および(2)(ベータ=2,4)で与えた場合の50分間の地表面積算降水量の比較。b:CCN1の場合
図31.格子点上のビン法微物理モデルの初期雲粒粒径分布を詳細雲モデル(パーセルモデル)により与えた場合と、雲粒数密度と粒径分布の形を式(1)および(2)(ベータ=2,4)で与えた場合の50分間の地表面積算降水量の比較。c:CCN5の場合
図31.格子点上のビン法微物理モデルの初期雲粒粒径分布を詳細雲モデル(パーセルモデル)により与えた場合と、雲粒数密度と粒径分布の形を式(1)および(2)(β=2,4)で与えた場合の50分間の地表面積算降水量の比較。a:CCN0.5, b:CCN1, c:CCN5 の場合。

e.2. 土壌粒子と有機エアロゾルの取り扱い

エアロゾル気候モデルであるSPRINTARSの出力は海塩粒子・硫酸粒子・有機炭素粒子・土壌粒子の4種類の総質量全球分布である。この課題でもこの4種類を扱うことになる。この中で海塩粒子・硫酸粒子は化学組成が塩化ナトリウムおよび硫酸アンモニウムなどで代表され、CCNとしての性質も明らかにされているのでる、粒径分布の形を仮定すれば雲粒数密度を表す近似式(1)を適用することが可能である。

土壌粒子について検討した結果、単独ではCCNとしては機能しにくく、塩化ナトリウムおよび硫酸アンモニウムなどが付着することによりCCNとして働くと考えられるという結論にいたった。このため、塩化ナトリウムおよび硫酸アンモニウムなどが土壌粒子に付着してCCNとなる場合と付着せずにCCNとなる場合とでは、溶質の量が変わらず半径が大きくなるだけであり、これは雲粒の半径に比べてきわめて小さい差なのでここでは土壌粒子に対しては近似式を適用しないことにした。

有機炭素粒子については種類も多く複雑ではあるが、中にはCCNとして十分機能するものもある(堀、2003)ため、取り扱い方を来年度の検討課題とする。北海道大学低温科学研究所や気象研究所との共同研究も計画している。

e.3. 雲解像領域モデルへのビン法雲微物理モデルの搭載

ビン法雲微物理モデルを搭載する雲解像領域モデルとして、気象庁MRI/NPD-NHM非静力メソスケールモデル(Saito and Kato, 1999)とCReSS (Tsuboki and Sakakibara,2002)を候補に挙げて検討したが、CReSSの開発者の協力が得られることになったため、本課題ではCReSS に搭載することにした。CReSS は現段階では大気放射および雲放射の計算が含まれていないものの、これらの搭載が予定されている。

CReSS に2モーメントビン法(Chen and Lamb, 1974)による雲微物理モデルとここで開発されたビン法に与えるべき初期雲粒粒径分布を求めるパラメタリゼーションとを合わせて搭載することを16年度の課題とする。

e.4. 大気大循環モデルにおける雲微物理過程の取扱改良

大気中のエアロゾルの気候に対する影響を評価するために、全球エアロゾル輸送・放射モデルSPRINTARSが開発されている(Takemura et al., 2000, 2002)。共生第2課題では、SPRINTARSへ雲微物理過程のパラメタリゼーションを導入し、気候変動に関する政府間パネル第3次報告書(IPCC, 2001)でも大きな不確定要素となっている雲・エアロゾル相互作用(エアロゾル間接効果)を全球規模で具体的に評価すべく研究が行われている。

SPRINTARSはCCSR/NIES/FRSGC AGCMに結合したエアロゾルモデルであり、対流圏主要エアロゾルである炭素性(黒色炭素・有機物)・硫酸塩・土壌性・海塩エアロゾルを扱う。一連の輸送過程(発生・移流・拡散・化学反応(硫黄)・湿性沈着・乾性沈着・重力落下)の他に、エアロゾル種毎の複素屈折率や粒径分布を考慮して放射過程を計算する。SPRINTARSにより計算されるエアロゾル分布は、地上・航空機・人工衛星からの質量濃度・光学的厚さ・1次散乱アルベド等の様々な観測との比較により、定量的に良好であることが確認されている (Takemura et al. 2002, 2003)。さらに本研究では、Köhler理論をベースとしたパラメタリゼーションである以下の水雲の雲粒数濃度Ncの診断式を導入する(Abdul-Razzak et al. 1998)。



ここで、Naはエアロゾル数濃度、Bは溶質効果、rmはエアロゾルモード半径、f1, f2, bはエアロゾル粒径分布に依存した量を表し、以上のパラメータはエアロゾルの種類毎に異なる。また、Aは曲率効果を表す。ωは上昇流速度であり、乱流運動エネルギーを用いて表現している。Na及びは雲底の値を使用する。そして、式(1)で診断されたNcを用いて雲粒有効半径reffと降水効率Pを計算することにより、エアロゾル第1・第2間接効果が考慮される。



ここで、ρは空気密度、ρwは水密度、lは雲水混合比である。これらのパラメタリゼーションを層雲系の水雲にのみ適用する。本研究では海洋混合層モデルとも結合させることによ

>図32:エアロゾル数濃度と水雲の雲粒数濃度の関係


り、エアロゾル直接・間接効果による気候応答のシミュレーションが可能となった。解像
図33:温度273K以上の雲頂における雲粒有効半径の年平均分布


度は水平方向T42(約2.8度)、鉛直20層で行い、30年積分の最後の10年を解析対象とする。但し、放射強制力の評価は定義上、海面水温を与えた実験で行った。人為起源エアロゾルの影響を評価するために現在(2000年)と産業革命以前(1850年)のエアロゾル排出量を与えた実験をそれぞれ行った。尚、両実験とも温室効果気体は2000年レベルで固定した。

図32には、エアロゾル数濃度と水雲の雲粒数濃度の関係を示す。過去の多くの研究では両者の関係は1本の曲線になるように非常に簡略化された形でパラメタリゼーションされていたが、本研究で導入したパラメタリゼーションでは両者の関係は1対1には決まらず、上昇流速度やエアロゾルの化学的性質・粒径分布に依存して分散するという現実的な結果を示す。また、雲粒数濃度の増加率はエアロゾル数濃度の増加と共に次第に小さくなることが分かる。図33には、温度が273K以上の雲頂における雲粒有効半径の分布を示す。雲粒径が大陸上で小さく海上で大きいというコントラストは、人工衛星等による観測と比較して定量的に一致度が高い(Kawamoto et al., 2001)。人為起源エアロゾルの影響が大きいヨーロッパ・東アジア・北アメリカで雲粒径が特に小さい。また、ここには示さないが、人為起源エアロゾルによる雲粒径の減少は特に大都市や森林火災地域で大きいという計算結果が得られた。第2間接効果と関連する雲水量や降水量の分布も、衛星観測等と比較して定量的に妥当な結果が得られている。図34には、人為起源エアロゾルの直接・間接効果による対流圏界面での放射強制力の分布を示す。直接効果は、低層雲の存在による森林火災起源エアロゾルの放射吸収の増幅により正の値を示している他は概ね冷却の方向を示している。特に北半球中緯度のアジア・アメリカ・ヨーロッパで強い負の強制力となっている。間接効果は、人為的影響の少ない地域では正の値を示している場合があるものの、人為起源エアロゾルにより凝結核が大きく増加した地域・緯度帯では負の強制力となっている。全球平均放射強制力は、直接効果が–0.1 W m–2、間接効果が–0.8 W m–2と計算された。

また、式(1)とは異なるパラメタリゼーションとして、Kuba et al. (2003)から導かれたNc診断式を試みた。

人為起源エアロゾルによる対流圏界面における直接効果及び間接効果 人為起源エアロゾルによる対流圏界面における直接効果及び放射強制力の年平均分布。


ここで、Nccnは雲凝結核として活性化しているエアロゾル数濃度であり、海塩(NaCl)及び硫酸塩((NH4)2SO4)に対して以下の半径以上のエアロゾルをNccnとみなす。



式(4)を用いて計算された雲頂における水雲の雲粒有効半径を図35に示すが、衛星観測等と

図35:式(4)を適用した場合の温度273K以上の雲頂における雲粒有効半径の年平均分布


の比較ではまずまずの一致を見ている。しかし、炭素性エアロゾルや土壌性エアロゾルの凝結核への寄与を無視しているので、南米・アフリカ南部・オーストラリア北部で雲粒径が過大評価傾向にあり、この点の取り扱いは現在検討中である。

e.5. 全球雲改造モデルNICAMへの雲微物理過程導入

地球フロンティア研究システムモデル統合化領域で開発中の全球雲解像モデルNICAM( Nonhydrostatic ICosahedral Atmospheric Model )は、全球超高解像度での雲、エアロゾル、放射フィードバックの精密評価のベースモデルの一つとして位置づけられている。今年度の開発状況を力学過程と物理過程に分けて報告する。

A) 力学過程の改良

NICAMは、平成14年度までに力学過程の開発がほぼ終了している。本モデルの力学過程における主な特長は以下の通りである。

  • 超高解像度で問題となる極問題を球面準一様格子の一つである正二十面体格子を採用している( Tomita et al., 2001,2002 )。

  • 雲を直接表現する水平解像度を目指すため、既存のGCMで用いられている静水圧近似を排除し、非静力学方程式に基づいて定式化されている。この際、全質量と全エネルギーを保存する新しい解法を用いる( Satoh, 2002,2003 )。 本年度は、力学過程について以下の改良を行った。

  • 角運動量の保存を改善するため、通常用いられる浅い大気近似を排除し、深い大気に基づく力学コアに変更した( Tomita and Satoh, 2004 )。

  • 非静力学効果の検証のため、静力学モデルとしても走らせることを可能にした。

なお、計算効率について全球3.5km格子まで調べ、既存のGCMで用いられている球面調和関数スペクトル法モデルとの比較を行った。その結果、数10kmスケール以下の解像度では、準一様格子を用いたモデルの方が有利であることを示した( Tomita et al., 2004 )。

B) 物理過程の実装

本年度は、力学過程の改良とともに力学コアへの物理過程の実装を精力的に行った。実装した物理過程は以下の通りである。

  • 大気境界層乱流過程:Mellor and Yamada (1974)スキームLevel2, Level2.5
  • 地表面フラックス過程: Louis et al.( 1982 )のバルク法
  • 雲微物理過程: 雲微物理過程については様々なスキームが提案されている。本年度は最も簡略化されたスキームから中程度に複雑なスキームを実装した。以下に列挙する。
    • K1969 : 最も一般的な暖かい雨( Kessler, 1969 )
    • KW1978 : K1969へ若干の修正(Klemp and Wilhelmson, 1978 )
    • O2001 : K1969に氷の落下速度を考慮( Ooyama,2001 )
    • G1998 : 簡単化した氷晶過程を考慮( Grabowski,1998 )
    • G1998W : G1998で氷晶過程を考慮しない
    • G1999 : 氷晶過程を考慮 Grabowski,1999 )
  • 放射過程:2-stream adding法MSTRNX ( Nakajima et al. 2000 )
  • 陸面過程:未実装
それぞれの物理過程検証のため、以下に示すテストケースを用意し実施した。

Test Case1 : 現実的な地形を入れた簡易放射過程による長期間積分

通常、力学コアの標準実験の一つであるHeld-Suarez Test Case( Held and Suarez, 1994 )では、大気境界層での乱流モデルをレイリー摩擦で代用する。本実験は、レイリー摩擦を大気境界層乱流モデル及び地表面フラックス過程モデルに置き換える。更に現実的な地形をETOPO30から20面体格子用に作成し、乾燥モデルながらHeld-Suarez Test Caseに比べて、より現実的なシミュレーションを行った。目的は、大気境界層及び地表面フラックス過程の動作確認にある。このため、パラメーターサーベイのような多くの実験は控え、通常用いられているパラメータを用い、定性的な妥当性及び計算の安定性を確認するにとどめた。この段階で、NICAMの特長の一つである全エネルギー保存について、乱流エネルギーを含めた定式化を行った。

Test Case2 : 熱帯のスコールラインの再現実験

雲微物理スキームのパフォーマンス検証のため、GCSS WG4 Case1で行われている熱帯のスコールラインの再現実験( Redelsperger et al., 2000 )を実施した。但し、NICAMは全球モデルであるため以下のような多少の設定変更を行った。まず、水平方向に1km程度の解像度を実現するため、 一様格子にSchmidt変換( Schmidt, 1977 )を施し、対象領域(ここでは(0E,0N)を中心とした半径約10度程度の領域)に格子を10倍程度集中させる(図36)。更に、球の半径を1/10程度小さくする。これにより地球を一様に120km格子で分割した格子系は、集中格子部分で100倍程度の解像度を稼ぐことが出来る。また、全球モデルでは水平方向一様な一般風を与えることが不可能であるため、各層において、対象領域中心(0E,0N)での一般風と直交するベクトルを軸に持つ剛体回転場を与える。

図37にG1998を使った場合の温位偏差(a)、緯度0度での液固水の鉛直分布(b)を示す。スコールラインの発達維持に欠かせないコールドプールの形成、それに伴う重力流がよく再現されている。また、数10kmスケールのマルチセル構造も再現されている。他の微物理スキームを使っても、定性的には同様であった。図.3に各微物理スキームの降水強度、液固水量の時間履歴を示す。これらの量は、GCSSの設定(領域100km×125km)と合わせるように規格化されている。「暖かい雨」の三つのケース(K1969,KW1978,G1998W)を比較すると、K1969とG1998Wは降水強度、総凝結水量ともに同様の履歴をたどるが、KW1978はそれらに比べて若干降水強度が弱く、また液固水量も少ない。KW1978に雪の落下速度を考慮したO2001では、KW1978と比べて発達が遅れるが液固水量は多く存在できている。この現象は、G1998(氷晶過程あり)とG1998W(氷晶過程なし)の比較においてより顕著に確認することができる。

Test Case3 : 全球熱帯放射対流平衡実験

本実験は、大気境界層乱流過程、地表面フラックス過程、雲微物理過程、放射過程をすべて連成させた場合の動作確認と妥当性の検証を行う。実験設定は、全球で海面温度を300Kで固定し(全球を熱帯として仮定)し、適当な鉛直温度プロファイルの乾燥大気を初期条件として数ヵ月間積分し、統計的平衡状態を議論する( cf. Tompkins and Craig, 1998 )。放射過程は、雲水と雲氷と相互作用させる。但し、太陽放射に関しては、日変化は考慮せず、年平均、日平均とする。計算領域は全球であるがコリオリ力は考慮しない。また、計算コスト削減のため、地球の半径を100kmとし、格子間隔を3.5kmとした。これは、およそ矩形領域に換算して、250km×250kmの領域に相当する。

図38に全球温度(a)、可降水量(b)の時間履歴、温度(c)と相対湿度(d)の鉛直プロファイルを示す。60日目以降は対流圏界面が12〜13km程度、上層ではオゾン層による温度上昇がよく再現されている。未だ平衡状態には達していないが、全球温度260K, 35kg/m2程度に漸近している様子が分かる。Tompkins and Craig(1998)の実験と比較して、可降水量が若干少なめであった。

図39に示すように60日目近辺で、全球温度、可降水量ともに大きな変化が起こっている。
図には示さないが、この時点で雲がどちらか一方の半球に局在化していることが確認され非常に興味深い。

図36: (a) 通常の正20面体格子 図36: (b) Schmidt変換による(0N,0E)に格子を集中化させた20面体格子。
図36: (a) 通常の正20面体格子。(b) Schmidt変換による(0N,0E)に格子を集中化させた20面体格子。

図37: G1998での6時間後の結果。(a) z=35mでの温位偏差 図37: G1998での6時間後の結果。(b)緯度0oでの液水+固水の鉛直分布
図37: G1998での6時間後の結果。(a) z=35mでの温位偏差, (b)緯度0°での液水+固水の鉛直分布。

図38: (a) 各微物理スキームによる降水強度(cm/day)の時間履歴。領域100km 120kmとして規格化されていることに注意。 図38: (b) 総凝結水量(g/m3)の時間履歴。領域100km 120kmとして規格化されていることに注意。
図38: (a) 各微物理スキームによる降水強度(cm/day)の時間履歴。(b) 総凝結水量(g/m3)の時間履歴。領域100km 120kmとして規格化されていることに注意。

(a) 図38: (a) 各微物理スキームによる降水強度(cm/day)の時間履歴。領域100km 120kmとして規格化されていることに注意。 (b) 図38: (b) 総凝結水量(g/m3)の時間履歴。領域100km 120kmとして規格化されていることに注意。
(c) 図38: (a) 各微物理スキームによる降水強度(cm/day)の時間履歴。領域100km 120kmとして規格化されていることに注意。 (d) 図38: (b) 総凝結水量(g/m3)の時間履歴。領域100km 120kmとして規格化されていることに注意。
図39 : 放射対流平衡実験の結果(a) 全球温度の時間履歴。(b) 可降水量の時間履歴。(c) 温度の鉛直プロファイル。(d) 相対湿度の鉛直プロファイル。

f. 考察

人為起源エアロゾルの気候変動への影響の評価を大気大循環モデルで適切に行うための雲物理過程のパラメタリゼーションの開発をめざしている。上昇流速度やCCNスペクトルから雲粒数密度を求める近似式を開発したが、これを大気大循環モデルで有効なものにするためには、雲微物理モデル搭載超高解像度全球モデルおよびビン法雲微物理モデルを搭載した雲解像領域モデルとの比較、調整が必要である。ビン法雲微物理モデルを搭載した雲解像領域モデルを開発するための準備として、ビン法の初期雲粒粒径分布を与えるためのパラメタリゼーション(雲粒数密度を与える近似式、粒径分布の形を決めるパラメタリゼーション)を開発した。さらにこれらを有効に機能させるために大気中のエアロゾルのCCNとしての機能の検討を行った。海塩粒子・硫酸粒子・土壌粒子については取り扱い方の方針が確定したが、有機エアロゾルについては引き続き検討課題とする。

全球雲改造モデルNICAMの開発に関しては、陸面過程を除きほぼすべての物理過程の実装を終えた。テストケースを設定し、各物理過程の検証を行った。物理過程検証の過程での計算コスト削減のため水平方向可変格子を考案し、その有用性を示すことが出来た。これは、NICAMを全球モデルとしてだけでなく領域モデルとして運用できる可能性を示唆する。本報告では、NICAM本体のみの成果に限定したが、他の領域モデルとの比較のため、NICAM-subset(力学コアがNICAM本体と同等なカーテシアン座標系領域モデル)及びMRI/JMA非静力学モデルを使用し同様な実験を行っている( cf. Nasuno and Saito, 2003 )。これらのデータベースを元にモデルの相互比較等を行う予定である。今後は、雲、エアロゾル、放射の相互作用の精緻化を目指し、SPRINTER等のエアロゾルモデル、基底関数展開法を用いたビン法の導入を搭載することを予定している。

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h. 成果の発表
<論文発表>

Kuba, N., H. Iwabuchi, K. Maruyama, T. Hayasaka, T. Takeda and Y. Fujiyoshi, Parameterization of the effect of cloud condensation nuclei on optical properties of a non-precipitating water layer cloud, J. Meteorol. Soc. Japan, 81, 2,393-414, 2003.

Kuba, N. and H. Iwabuchi, The revised parameterization to predict cloud droplet number concentration and the retrieval method to predict CCN number concentration, J. Meteorol. Soc. Japan, 81, 6, 2003.

Satoh, M., Conservative scheme for a compressible non-hydrostatic model with moist processes, Mon. Wea. Rev., 131, 1033−1050, 2003.

Tomita, H. and Satoh, M., A new dynamical framework of nonhydrostatic Global model using the icosahedral grid, Fluid Dyn. Res., (in press), 2004.

Tomita, H., Goto, K. and Satoh, M., A comparison study of computational performace between a spectral transform model and a gridpoint model. In: Parallel Computational Fluid Dynamics 2003. Elsevier, pp. 333−340, 2004.

<口頭発表>

Kuba, N, 雲物理パラメタリゼーションの構築. 第5回非静力学モデルに関するワークショップ. 11月24〜25日. 横浜 2003.

Nasuno, T., Satoh, M., Tomita, H and Goto, K, Development of the nonhydrostatic global model in FRSGC., The 2nd Workshop on regional climate modeling for monsoon systems, 3/4-6, FRSGC, 2003

Nasuno, T. and Kato, T, Estimation of subgrid scale processes using a cloud-resolving model. The second Workshop on the Future of Cloud Parameterization, Kauai, Hawaii, U.S.A., 5/7-9, 2003

Satoh, M. et al., Development of the nonhydrostatic icosahedral atmospheric model in Frontier Research System for Global Change, Second Workshop on the Future of Cloud Parameterization, May 7-9, 2003, Hawaii

Satoh, M, Development of a non-hydrostatic model for climate study and radiative-convective equilibrium calculations, IUGG2003, Jun.30-Jul.5, 2003, Sapporo

Satoh, M. and Nasuno, T., Radiavive-convective equilibrium calculations with cloud resolving models: a standard experiment and parameter study, Fifth international SRNWP-Workshop on Non-Hydrostatic Modeling, Oct 27-29, 2003, Frankfurt

Satoh, M., Development of a non-hydrostatic model for climate study and radiative-convective equilibrium calculations, IUGG, Jun.30-Jul.5, 2003, Sapporo

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竹村俊彦, 野沢徹, 久芳奈遠美: 全球3次元エアロゾル輸送・放射モデルを用いた雲・エアロゾル相互作用のパラメタリゼーション, 日本気象学会2003年秋季大会, 宮城県民会館, 2003年10月15–17日.

竹村俊彦, 野沢徹, 江守正多, 久芳奈遠美, 黒川純一: 全球3次元エアロゾル輸送・放射モデルを用いた直接・間接効果による気候応答の解析, 第14回大気化学シンポジウム, 豊川市民プラザ, 2004年1月7–9日.

Tomita, H. et al., A Comparison Study of Computational Performance between a Spectral Transform Method and a Gridpoint Method, Parallel Computer Fluid Dynamics 2003, May 13-15, 2003, Moscow

Tomita, H et al., A nonhydrostatic global model on the icosahedral grid system, IUGG2003, Jun.30-Jul.5, 2003, Sapporo

Tomita, H. et al., Development of the global cloud resolving model on the icosahedral grid, Fifth international SRNWP-Workshop on Non-Hydrostatic Modeling, Oct 27-29, 2003, Frankfurt

Tomita, H. et al., Development of the Global Cloud Resolving Model Using the Icosahedral Grid, The first international workshop on the Kyosei project, Feb. 25-27, 2004, Honolulu


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