2.温暖化・大気組成変化相互作用


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2—1 温暖化・大気組成変化相互作用(大気化学)

担当機関:地球環境フロンティア研究センター

研究者名:須藤 健悟(大気組成変動予測研究プログラム
・名古屋大学大学院環境学研究科)
滝川 雅之(大気組成変動予測研究プログラム)
永島 達也(国立環境研究所)
高橋 正明(大気組成変動予測研究プログラム
・東京大学気候システム研究センター)

a.要約

温暖化・大気組成変化相互作用サブモデルでは大気化学過程(オゾン分布など)やエアロゾルの温暖化および海洋・陸域植生変化との相互作用を表現・予測することを主な目的としており、CCSR/NIES AGCM を土台とした全球化学モデルCHASERやエアロゾルモデルSPRINTARSを用いてエアロゾル・化学のオンライン計算を可能にすることが大きな課題である。H17年度(以下、本年度と記す)はまずCHASERモデルに成層圏オゾン変動過程を簡略的に導入し全球オゾン濃度場の将来予測実験をIPCC-SRES各シナリオに従って行った。将来の温暖化が大気化学過程に及ぼす影響はH16年度(以下、前年度と記す)までに行った実験で明らかになって来ているが、今回の実験からはさらに将来の成層圏オゾンの変動がどのような影響を与えるかについて解析を行った。特に将来の成層圏オゾン量の回復はオゾンの成層圏/対流圏間交換(STE)に大きく影響し、どのシナリオにおいても対流圏オゾンの全球総量を増加させることが分かった。一方で今回考慮した成層圏オゾン変動は全球平均のメタンや硫酸エアロゾル濃度にはほとんど影響を与えないことを確認した。また、前年度よりCHASERモデルを用いて IPCC第4次報告書に貢献する実験を行ってきているが、これについても引き続きリード・オーサー等と連絡をとりながら解析を進めている。本年度はさらにCHASERモデルに成層圏化学過程を導入する作業を進め、成層圏化学用の光解離定数の計算法構築・改良、成層圏化学反応の導入、およびエミッションデータの整備を行った。今回の成層圏化学対応作業によりCHASER中で考慮する化学種は79種類、化学反応は213本(成層圏での不均一反応を含まず)となった。

b.研究目的

成層圏のオゾン(オゾン層)は有害な紫外線を遮断するという重要な役割を持ち、気候変動にとっても無視できない存在である。一方対流圏中でも窒素酸化物(NOx)や炭化水素類などの汚染物質から化学反応を介してオゾンが生成される。対流圏におけるオゾンは植物・人体に有害であり、強力な温室効果気体として重要性が認識されている。対流圏の各種エアロゾルも太陽光反射・吸収、雲の生成に強く関与し共に気候に大きく影響する。またオゾンは対流圏においては水酸化ラジカル(OH)の生成に直接関与し、メタンやハローカーボン類(CFCs)など他の温室効果気体の化学的な寿命を左右する(図21)。さらに対流圏オゾン、硫酸塩エアロゾルは酸性雨などに代表される大気環境変化の鍵を実質的に握っているのでこれらが今後の人間活動(特に東アジア域)によりどのように変動していくかは重要である。またエアロゾル種のなかには硫酸塩エアロゾルや炭化水素類の酸化過程で生じる二次有機エアロゾル(SOA)など対流圏の化学と強い関連性のあるものがあるので、将来のエアロゾル分布およびその気候への影響を考察する際にも化学過程と結合したモデルを用いる必要がある。さらに対流圏の化学過程は水蒸気、温度、循環場などの気象場の条件(気候)に左右されるところが大きい (例えば、Sudo et al., 2001,2003)。したがって、より高度な気候変動・大気環境変化予測を目指すために気候モデルの枠組みのなかでオゾン・エアロゾル分布を同時に計算し、気候・オゾン・エアロゾルの相互作用的な変動過程について検討可能なモデルの開発・高度化が必要である。

この様な背景の下、本共生プロジェクト第2課題の枠組みにおいては CHASER・SPRINTARS両モデルを土台として対流圏/成層圏化学およびエアロゾルのオンライン計算が可能な気候モデルの構築を行い、化学・エアロゾル変動と気候変動(植生変動も含む)との相互作用を予測・研究する。

図21:オゾン化学とメタン・2次粒子(エアロゾル)との関係。
図21: オゾン化学とメタン・2次粒子(エアロゾル)との関係。対流圏中のオゾンは多くは対流圏中で光化学反応により生成されるが、成層圏からの輸送の寄与も無視できない。対流圏中の光化学反応はメタン(CH4)やフッ素化合物などの大気中の寿命を支配し、硫酸塩や有機炭素エアロゾル(OC)の生成過程にも深く関与する。

c.研究計画、方法、スケジュール

本サブグループ研究では、全球化学・気候結合モデル CHASER (Sudo et al., 2002a) を軸としたモデル開発・研究を行う。CHASER モデルは東大気候システム研究センター(CCSR)、地球フロンティア研究システム(FRSGC)、および国立環境研究所(NIES)で共同開発されている全球化学モデルであり、CCSR/NIES 気候モデル中で大気中の光化学反応、人為・自然起源気体放出(emission)過程、地表面・降水による沈着(deposition)過程などの詳細な化学過程がオンラインで考慮されている(表2:現状の設定では化学反応として対流圏オゾンを中心とした化学反応系を考慮している:図22)。CHASER モデルにより計算されるオゾン(O3)や前駆気体(窒素酸化物NOx、一酸化炭素 CO、炭化水素類 VOCs など) および重要関連気体の分布は衛星や航空機を利用した各種観測データと定量的にも非常に良い一致を見せており、対流圏オゾン化学のシミュレーション能力としては世界的にも最先端をいくものである(Sudo et al., 2002b)。また、CHASERモデルでは化学種や化学反応系について設定ファイルを通じてプリ・プロセッサーにより自動的にモデルコード(Fortran)を生成する(図23)ので、化学種・反応の変更および追加は容易である。本研究計画では、CHASERモデルを土台として、対流圏および成層圏のオゾン化学過程と各種エアロゾルの同時シミュレーションが可能な化学・エアロゾル結合気候モデルの構築を目指す。

全球化学モデルCHASERは現状設定では主に対流圏化学を対象としたものであるが、種々の化学反応を含み標準のAGCMに比べて計算コストが非常に大きい。そこでCHASERへのオゾンホールを含む成層圏化学やエアロゾル計算の導入作業に先立って、CHASER の(特に化学過程の)高速化を行い地球シミュレータ上での実行性能を評価する。またこの評価を基に「気候物理コアモデル改良」サブグループと連携の上、統合モデルとしての鉛直解像度等について吟味し決定する(平成15年度)。さらに、高速化を行ったCHASERモデルにエアロゾルモデルSPRINTARS(Takemura et al., 2002)を結合する作業を開始する。エアロゾル種の内、硫酸エアロゾルについてはその生成過程が過酸化水素(H2O2)、水酸化ラジカル(OH)、およびオゾン分布などの化学場に強く依存するためCHASERの化学反応過程でオンライン計算する(cf., Sudo, 2003)。この際、硫酸塩エアロゾルの液相での酸化に重要な雲水pHについても土壌粒子(ダスト)やアンモニア(NH3)による中和過程を導入し現実的な硫酸塩シミュレーションを実現する(平成15〜16年度)。モデル中の輸送過程は特に成層圏/対流圏物質交換に重要であり、対流圏・成層圏の化学物質分布にも影響が大きいので、使用している輸送スキームの評価および改良も並行して行う。また、平成16年度(前半)の時点でCHASERにエアロゾル過程を導入したものを統合モデル(KISSME)に組み込む。その後モデルトップの拡張を行い、CHASER化学過程に成層圏化学を導入する作業を行う(平成16〜17年度)。

表2:化学気候モデルCHASERの概略(H15年度時点の設定:対流圏化学中心)
基本モデル CCSR/NIES/FRSGC GCM (5.7b) : (大気)気候モデル
空間解像度 水平:T42(2.8ox2.8o), 鉛直: 32 layers(地表〜40km)
化学過程53 化学種, 139 化学反応(気相,液相,不均一*)
(1)O3-HOx-NOx-CO-CH4 (成層圏 Ox 化学を含む),
(2)非メタン炭化水素(NMHCs)酸化,
(3)SO2, DMS 酸化(硫酸塩エアロゾルシミュレーション)
*不均一反応は N2O5, HO2, RO2ラジカルについて雲粒子、硫酸エアロゾル
、および海塩粒子表面上で考慮
(高度 20km 以上の O3, NOy については衛星データなどで prescribe)
Emission産業・交通, 森林火災, 植生/土壌/海洋, 雷からの NOx 生成
(NOx, CO, C2H6, C2H4, C3H8, C3H6, アセトン, イソプレン, テルペン, メタノール, SO2, DMS)
Dry deposition
(乾性沈着)
地表面の植生タイプ、気温、太陽光入射、積雪などの関数 [Wesely, 1989]
Wet deposition
(湿性沈着)
Rain-out (in-cloud), wash-out (below-cloud), ice-sedimentation
Reevaporation & reemission processes considered.


図22: 対流圏オゾン化学の基本サイクル。
図22: 対流圏オゾン化学の基本サイクル。NOx (= NO+NO2) と一酸化炭素(CO)、炭化水素類(NMHCs)の存在下でオゾンが光化学的に生成される。反応中では過酸化水素(H2O2)など硫酸塩エアロゾルの生成に深く関与するものも生成される。

成層圏化学導入については、CCSRおよびNIESで開発された成層圏化学・オゾンホールモデル(Takigawa et al., 1999; Nagashima et al., 2002)を基本とし、成層圏でのハロゲン化学反応(塩素・臭素系)および極域成層圏雲(PSCs)上の不均一反応を導入する。統合モデルの枠組みにおいては、植生からのVOCsの大気中への放出過程および植生による大気中物質の沈着過程(deposition)、さらに硝酸などの物質の沈着による植生への影響を考慮し、陸域生態系・大気化学間の相互作用も表現することを想定している。以上のようなモデル構築作業と並行して、大気化学・エアロゾル変化と温暖化の結合将来予測のための前段階的な実験も行っていく。例えばCHASERを用いて IPCC SRES シナリオに従った将来予測実験を開始しており、将来のオゾン・メタンや硫酸塩エアロゾルの分布に NOx、CO、VOCs、SO2などの汚染物のemission増加(特に東アジア域)および温暖化がそれぞれどのような効果を持つかについて解析を行っている(温暖化による影響については水蒸気増加により対流圏下層のオゾン破壊が促進され、同時にオゾンからのOHラジカルの生成が増加しメタンの増加傾向に影響を与えるなどの可能性がある)。図24に本サブグループのモデル開発の大略的なスケジュールを示す。

図23: CHASERモデル計算の流れ。
図23: CHASERモデル計算の流れ。力学(輸送を含む)、物理過程、および化学過程それぞれについてCCSR/NIES AGCM中でオンラインで計算される。化学反応や化学種の追加などの化学過程の設定は設定ファイルを通じて行い、Fortranソースコードを自動生成する(cf., Sudo, 2003)。


図24: 温暖化・大気組成変化相互作用サブグループの開発・研究スケジュール。
図24: 温暖化・大気組成変化相互作用サブグループの開発・研究スケジュール。赤線はK2統合モデル開発(KISSME)の流れを示す。

d.平成17年度研究計画

これまで(平成16年度)の作業により統合モデル本体への化学モデル CHASERとエアロゾルモデル SPRINTARS の結合・導入が行われた。対流圏化学とエアロゾルの計算の結合に関して、本年度はエアロゾル熱力学平衡モデルの導入作業を完了する。また「気候物理コアモデル改良」グループとの連携の下に統合モデルのハイブリッド鉛直座標化およびモデルトップ高度の向上を行った上で、統合モデル内のCHASER にハロゲン化学反応および極域成層圏雲(PSCs)化学を追加し、成層圏オゾンのシミュレーションも行えるようにする。

e.平成17年度研究成果

e.1. IPCC-SRES 将来予測実験(つづき):emission/温暖化/成層圏オゾン変動

昨年度に引き続いてIPCC/SRESの A2、A1、B1各シナリオに従い、対流圏オゾン、メタン、硫酸塩エアロゾル全球分布の将来予測実験を行っている。実験は化学結合気候モデルCHASERを用いて地球シミュレータ(L系)上で実行した。本年度は将来の前駆気体エミッション変化及び気候変動の影響に加えて将来見込まれる成層圏オゾン量の変化(オゾン層の回復)が化学場(特に対流圏)にどのような影響を及ぼすかについて実験・解析し、シナリオごとに詳しく評価を行った。

本研究ではエミッション・気候変動・成層圏オゾン変動の各影響を分離するため、窒素酸化物NOxや一酸化炭素COなどのオゾン前駆気体の放出(emission)変化のみの実験(Exp1)、emission変化に加え気候変動も考慮した実験(Exp2)、さらに将来の成層圏オゾン変動(オゾン層回復)も考慮した実験(Exp3)の3種類の実験を実行した(表3)。これらの実験では将来のemission変化、気候変動はともにIPCC SRESのA2(エミッション増加大)、A1(同中)、B1(同小)の各シナリオに従い、Exp2の気候変動についてはモデル中でCO2などの温室効果気体濃度を増加させるとともに、CCSR/NIES大気海洋結合モデルにより各シナリオについて予測された海面水温(SSTs)と海氷(Sea-ice)分布を与えた。

表3: CHASERによる将来予測の実験シナリオ
 Exp1Exp2Exp3
エミッション(*1)FutureFutureFuture
気候(*1)PresentFutureFuture
成層圏オゾン(*2)PresentPresentFuture
*1 それぞれ(Exp1,2,3)についてSRES A2、A1、B1の各シナリオを適用。
(エミッションは対流圏オゾンの前駆気体・CH4およびSO2について考慮)
*2 全球ハロゲン総量(有効塩素換算、EESCl)の関数で与える(IPCC-TAR)。

また、Exp3はExp2の設定に加えて将来起こり得る成層圏オゾン量の変動(オゾン層回復)を簡略化して考慮する;(方法)対流圏界面以上の高度領域(実際にはO3>500ppbvの領域)の東西平均オゾン濃度場をSAGE-I/II・TOMSのオゾンデータを基本に全球ハロゲン量の関数として予め予測し(D. Karoly and D. Sextonの方法: Randel and Wu (1999))、CHASER中の東西平均オゾン場をこの予測値に緩和させる(全球ハロゲン量の時間発展としてはIPCC-TARで提唱されているシナリオを使用した)。

図25は今回の実験で計算された成層圏から対流圏への正味のオゾン流入量の時間発展である。昨年度行った実験と同様にエミッション変化のみの実験(Exp1)では対流圏のオゾン量を反映した成層圏オゾン流入量変動となっているが、気候変動も考慮する実験(Exp2)では温暖化に伴い成層圏循環(Brewer-Dobson循環)や対流圏循環(ハドレー循環)が強化され成層圏→対流圏輸送が活発化したことにより、どのシナリオについても100年間で30-40%の増加となっている。将来のオゾン層(成層圏オゾン)回復を想定した実験(Exp3)では特に2020年以降さらなら成層圏オゾン流入量の増加が計算されており、2100年ではどのシナリオにおいてもExp2に比べ15-20%の増加を示している。

図25: 成層圏/対流圏間オゾン交換量(STE、正味の成層圏→対流圏オゾン流入量)の時間発展(TgO3/yr)。
図25: 成層圏/対流圏間オゾン交換量(STE、正味の成層圏→対流圏オゾン流入量)の時間発展(TgO3/yr)。図は2000年から2100年まででSRES-A2、A1、B1各シナリオについてExp1,2,3の結果をそれぞれ示す。


図26: 対流圏間オゾン全球総量(TgO3)の時間発展(2000〜2100年)。
図26: 対流圏間オゾン全球総量(TgO3)の時間発展(2000〜2100年)。SRES-A2、A1、B1各シナリオについてExp1,2,3の結果をそれぞれ示す。


表4: エミッション以外の各要因が対流圏オゾン量に与える影響
温暖化成層圏オゾン回復
(対流圏下層)
(1)水蒸気増加
(対流圏上層)
(2)STE量の増加
(成層圏大気循環の強化)
(対流圏上層)
(3)STE量の増加*
―(マイナス)+(プラス)+(プラス)
* 成層圏オゾン増加による対流圏オゾン量への影響はSTE量の増加だけでなく、対流圏への紫外光減少を通じ対流圏でのオゾンの光化学的な寿命を延ばす効果もあるが、本実験では個別に定量化していない。

各シナリオおよび各実験における上述のような成層圏からのオゾン流入量の時間発展の違いは対流圏オゾン量の時間変化にも少なからず影響する(図26)。特にExp3の将来の成層圏オゾンの増加(オゾン層の回復)は対流圏オゾンの全球総量にも大きく影響し、Exp2に比べ2100年時で5%程度の対流圏オゾン量増加を引き起こしている(成層圏オゾンの増加は対流圏への入射紫外光を減少させ対流圏オゾンの光化学的寿命を増加させる効果があることにも注意が必要)。表4にオゾン前駆気体のエミッション以外の要因が対流圏オゾン量に及ぼす影響をまとめた。図26の対流圏オゾン総量の時間発展においてエミッション変化のみの実験Exp1と温暖化も考慮する実験Exp2との間にはほとんど差がなく、一見温暖化の影響は大きくないように見える。しかしながら、これは表4(1)温暖化に伴う水蒸気増加による対流圏下層オゾンの減少と(2)温暖化による成層圏オゾン流入量増加による上部対流圏オゾン増加の逆方向の効果が全球オゾン総量の計算の際にキャンセルした結果である。

図27は同様に全球平均メタンの時間発展の計算結果を示す。昨年度までの実験で得られたように、温暖化実験(Exp2)では対流圏中の水蒸気増加によるOHラジカルの濃度上昇でメタン破壊が強まるため、Exp2の2100年時のメタン濃度は標準実験(Exp1)に比べてどのシナリオでも20%程度低く計算されている。一方で、Exp3で考慮している将来の成層圏オゾン増加は対流圏への紫外光を減少させ、

O3 + hυ(紫外光) → O(1D) + O2.....(1)
O(1D) + H2O → OH + OH....................(2)

の反応で生じるOHラジカル濃度を抑制し、メタン濃度が相対的に高くなると予想できる。しかしながら図27に見るように実際にはExp2とExp3のメタン濃度の差はどのシナリオについても非常に僅かなものであった。これは図25、26で示したようなExp3の成層圏オゾン増加に伴う成層圏オゾンの対流圏への流入量の増加とそれに伴う対流圏オゾン量の増加が上(1)式の反応を補償的に強化した結果と理解することが可能である。

さらに図28は硫酸塩エアロゾルの対流圏総量の時間発展を示す。どのシナリオについても2020年以降温暖化の影響が顕著に現れており、これは温暖化に伴うOHラジカルの増加による二酸化硫黄(SO2)の気相酸化(SO2+OH → SO42-)の強化および、雲水の増加による液相酸化の強化に起因する。硫酸塩エアロゾルの場合、その大気中での生成過程の大部分は雲水中の液相反応によるので成層圏オゾン変動の影響は小さく、Exp3とExp2ではほとんど差は見られない。

図27: 全球平均メタン濃度(ppmv)の時間発展(2000〜2100年)
図27: 全球平均メタン濃度(ppmv)の時間発展(2000〜2100年)。SRES-A2、A1、B1各シナリオについてExp1,2,3の結果をそれぞれ示す。


図28: 硫酸塩エアロゾル(SO42-)の対流圏全球総量(TgS)の時間発展(2000〜2100年)。
図28: 硫酸塩エアロゾル(SO42-)の対流圏全球総量(TgS)の時間発展(2000〜2100年)。SRES-A2、A1、B1各シナリオについてExp1,2,3の結果をそれぞれ示す。


e.2. CHASERへの成層圏化学の導入

昨年度までの作業により化学モデルCHASERおよびエアロゾルモデルSPRINTARSを結合する作業が完了している。本年度は本サブプロジェクトの目標である統合モデル内でのエアロゾル・(成層圏・対流圏)化学の完全結合シミュレーション(図29)に向けて対流圏化学中心であったCHASERモデルに成層圏化学過程を導入する作業(化学種・光化学反応の追加、光解離定数計算方法の新放射コードへの対応及び改善、ハロゲン化合物のエミッション等データの整備など)を進めた。

e.2.1. 化学種・光化学反応の追加

成層圏でのオゾン化学に対応するためCHASER中にハロゲン系化合物を中心として新たに化学種を導入した。表5は成層圏化学まで含めた実験時にCHASER中で考慮される化学種を示す。Ox-NOx-HOx系に関しては対流圏化学と共通な反応が多いため大きな変更はない(NOxに関しては窒素原子N、HOx系に関しては水素原子Hを新たに考慮した)が、塩素系(Cl)・臭素系(Br)化合物や亜酸化二窒素N2Oによるオゾン破壊過程の表現のために25種類の化学種を新たに追加した。これにより対流圏のみの設定では55種類であった化学種数は約80種類と増加し、トレーサー数としては38種類(対流圏化学中心)から64種類に増加した。

図29: 共生第2・地球システム統合モデルの枠組みにおける大気化学・エアロゾル過程のモデリング。
図29: 共生第2・地球システム統合モデルの枠組みにおける大気化学・エアロゾル過程のモデリング。詳細な化学反応過程とエアロゾル計算を含み、オゾン・メタンなど温室効果気体の放射過程への影響および、エアロゾル種の雲過程への影響が考慮に入れられている。


表5: CHASERで考慮されている化学種一覧(2006年2月version)
 Species-IDTracer-FamilyName Species-IDTracer-FamilyName
01O3OxOzone41DMSsingleDimethyl Sulfide
02OOxatomic Oxygen (3P)42SO4singleSulfate SO4(--)
03O1DOxatomic Oxygen (1D)43CH4singleMethane
04NNOxNitrogen44N2OsingleNitrous Oxide
05NONOxNitric Oxide45ClClOxatomic Chlorine
06NO2NOxNitrogen Dioxide46ClOClOxChlorine oxide
07NO3NOxNitrogen Trioxide47ClOOClClOxDichlorine dioxide
08N2O5singleNitrogen Pentoxide48ClONO2singleChlorine nitrate
09HNO3singleNitric Acid49HOClsingleHypochlorous acid
10HNO4singlePeroxynitric Acid50HClsingleHydrogen Chloride
11H2O2singleHydrogen Peroxide51CH3ClsingleMethyl Chloride
12COsingleCarbon Monoxide52CCl4singleTetrachloromethane
13C2H6singleEthane53CH3CCl3singleMethyl Chloroform
14C3H8singlePropane54CFC11singleCFC-11 (CFCl3)
15C2H4singleEthene55CFC12singleCFC-12 (CF2Cl2)
16C3H6singlePropene56CFC113singleCFC-113
17ONMVsingleother NMVOCs57CFC114singleCFC-114
18C5H8singleIsoprene58HCFC22singleHCFC-22
19C10H16singleTerpenes59BrBrOxatmoic Bromine
20CH3COCH3singleAcetone60BrOBrOxBromine Oxide
21HCHOsingleFormaldehyde61BrONO2singleBromine Nitrate
22CH3CHOsingleAcetaldehyde62HOBrsingleHypobromous acid
23CH3OHsingleMethanol63HBrsingleHydrogen Bromide
24NALDsingleNitroxyacetaldehyde64CH3BrsingleMethyl Bromide
25MGLYsingleM-glyoxal: C3 aldehydes65OCSsingleCarbonyl Sulfide
26HACETsingleH-acetone: C3 ketones66Hnon-traceratomic Hydrogen
27MACRsingleMethacrolein: C4 carb.67OHnon-tracerHydroxyl radical
28PANsinglePeroxyacetyl Nitrate68HO2non-tracerHydroperoxy radical
29MPANsinglehigher PANs69CH3O2non-tracerMethyl peroxy radical
30ISONsingleHydroxyalkylnitrates70C2H5O2non-tracerEthyl peroxy radical
31CH3OOHsingleMethyl Hydro-Peroxide71C3H7O2non-tracerPropyl peroxy radical
32C2H5OOHsingleEthyl Hydro-Peroxide72CH3COO2non-tracerPeroxy acetyl radical
33C3H7OOHsinglePropyl Hydro-Peroxide73CH3COCH2O2non-tracerAcetylmethyl peroxy
34ISOOHsingleHydroxyperoxides74HOC2H4O2non-tracerHydroxy ethyl peroxy
35HOROOHsinglePeroxides from CnH2n75HOC3H6O2non-tracerHydroxy propyl peroxy
36CH3COOOHsinglePeracetic Acid76ISO2non-tracerPeroxy radicals
37MACROOHsingleHydroperoxides77MACRO2non-tracerPeroxy radicals
38O3SOx(S)Ozone(Stratosphere)78CH3SCH2O2non-tracerDimethyl Sulfide peroxy
39O1DSOx(S)O(1D)(Stratosphere)79BrClnon-tracerBromine monochloride
40SO2singleSulfur Dioxide    
* カラー部は成層圏化学用に新たに追加された気相化学種。
* 考慮する化学種(CFCsなど)は簡単に変更可能。

表6: CHASERに新たに追加された成層圏関連の化学反応(気相反応のみ)。
表6: CHASERに新たに追加された成層圏関連の化学反応。
*この他にもNOxおよびHOx系について反応を数本追加している。(kinetic-reactionはK154までが今回の追加に該当)

表6は今回の作業で追加された成層圏関連の化学反応(気相反応のみ)を示す。CFCs、MCF、四塩化炭素、塩化・臭化メチルの分解(主に光解離)やそれに続く反応がメインであり、対流圏中心のversionに比して光解離反応24本、kinetic反応39本、合計63本程度の追加となっている(化学反応数は全体で204本)。今回追加された成層圏関連の化学反応はCHASER中の化学スキームにより対流圏化学と同時に計算(時間積分)されるが、計算速度向上のためには対流圏化学および成層圏化学の高度領域をそれぞれ分離して計算を行うことも想定している。

e.2.2. 光解離定数計算手法の修正及び改良

CHASERでは光解離反応に関わる光解離定数の計算をCCSR/NIES/FRCGC GCM中の放射スキーム中でオンラインで計算する。そのため光解離定数の計算に必要な吸収断面積や量子収率などのデータはGCMの放射スキームで考慮されている波長分解能ごとに用意する必要がある。本年度はCCSR/NIES/FRCGC GCMの放射スキームの更新に伴い、CHASER光解離定数計算の新スキームへの対応作業を行った。CCSR/NIES/FRCGC GCM新放射スキーム(mstrnX)における主な改良点は、(1)線吸収データベースのHITRAN92からHITRAN2000への更新、(2)連続吸収帯プログラムをLOWTRAN7のものからMT_CKD_1へ変更、(3)気体吸収帯の大幅な増加、(4)積分点選択の際の最適化手法の変更などである。これらの更新により、従来の放射コードを用いた場合に比べて、Line by Line計算との一致が良くなり、全体的な精度の向上が達成されており(関口2004)、特に下部成層圏での低温バイアス解消に貢献している(H15年度成果報告書「気候物理コアモデル改良」参照)。この新放射スキームでは大気化学用に改良された波長分解能を選択することが可能となっており、今回の光解離定数計算手法の更新作業ではこの波長分解能に対応したデータの整備と光解離定数計算方法の改良を行った。図30に旧放射コードの波長分解能をCHASER用に切り直したもの(従来版)と新放射コードの波長分解能を比べる。従来まで200nmまでであった短波領域が185nmまでとられており、酸素(O2)のSchuman-Runge帯での光解離およびN2OやCFCsの光解離過程がより正確に計算できるようになっている。

図30: 放射コード波長分解能と重要な光解離反応の吸収波長領域;旧コード(パラメータファイル:PARA.CH37.chaser2)および新コード(同:PARA.bnd31ch92 for radX)。
図30: 放射コード波長分解能と重要な光解離反応の吸収波長領域;旧コード(パラメータファイル:PARA.CH37.chaser2)および新コード(同:PARA.bnd31ch92 for radX)。


また、長波長側では690nmの次の区切りとして800nmが採用され、690nmの次の区切りが2500nmであった従来版と比べてオゾンのChappuis帯での吸収が扱い易くなっている。この他、従来版の400-600nm領域を2等分し、対流圏光化学計算の精度を高めている。光解離定数の計算では上記のような波長分解能(ビン)について吸収断面積・量子収率をそれぞれの物質に対して以下のように与える:

式

基準スペクトル(F0)は対流圏化学中心のCHASERでは各波長領域一律に300ドブソン単位(DU)のオゾンカラムを通した後の太陽光スペクトルを用いていたが、今回の作業では成層圏化学にも対応する必要があることから、波長領域ごとに基準スペクトルを可変とした。また、吸収断面積や量子収率については基本的に温度依存性があるが、これについてはCHASER中でオンラインで計算する。CHASERの化学過程で計算されるオゾンやメタン、N2Oなどの短波・赤外吸収ガスの分布は放射スキームにオンラインで渡され放射過程に反映される。この他、Lyman-α線による以下のようなメタン、水蒸気、酸素分子の光解離反応を考慮する必要がある:

CH4 + hυ → CH3 + H ...........(4)
H2O + hυ → H + OH...............(5)
O2 + hυ → O(1D) + O............(6)

これらについては、現状の放射スキームでは対応できないため、パラメタリゼーション(Brasseur and Solomn, 1984)を使用して与えることを検討中である。

図31: 三陸沖(左図)およびハイデラバード(右図)におけるN2Oの鉛直分布。
図31: 三陸沖(左図)およびハイデラバード(右図)におけるN2Oの鉛直分布。青丸が気球観測による観測値、赤線が旧放射スキームでのモデル計算結果、青線が新放射スキームでのモデル計算結果をそれぞれ示す。単位はppbvで、地表での濃度を基準としている。


上述の新しい放射スキーム(mstrnX)とCHASER用の波長分解能を使用した場合の一例としてN2Oのシミュレーションの改善を図31に示す。従来の放射スキームを用いた計算では200nmよりも短い波長の放射によるN2Oの光解離が無視されているため、上部成層圏・中間圏で観測値を過大評価しているが、185-200nmの波長領域を含む新スキームではそのような傾向は解消されている。

さらに特に高緯度帯の光解離定数の計算においては大気球面の効果が重要であり検討が必要である。本年度は極渦の周縁部での光化学反応をより詳細に再現するため、Kurokawa et al. (2005) を基に光解離速度への球面効果の導入を行った。図32に、球面効果による短波フラックスの全短波放射フラックスに占める割合を示す。北緯60度以北の極夜状態の部分では、特に成層圏から中間圏にかけて球面効果によって太陽フラックスが顕著に増加していることがわかる。極渦周縁部での太陽フラックスは、極渦内で極成層圏雲表面上での不均一反応などで生成されたハロゲン化合物によるオゾン破壊を加速する可能性があるため、化学物質の分布に球面効果が与える影響について今後さらに評価を行っていく予定である。

図32: 全短波フラックスにおける球面効果の影響の占める割合(%)の緯度-高度断面図
図32: 全短波フラックスにおける球面効果の影響の占める割合(%)の緯度-高度断面図。コンター間隔は5%。


図33: CHASERで考慮している成層圏関連化学種のエミッションデータの例
図33: CHASERで考慮している成層圏関連化学種のエミッションデータの例:(a)CFC-11、(b)CFC-113、(c)メチルクロロフォルム(MCF)、(d)N2O. 塩素系化合物(a,b,c)は塩素原子換算 (kgCl m-2 sec-1).


e.2.3. 成層圏関連化学種のエミッションデータ

成層圏オゾン関連化学のより現実的なシミュレーションのために、ハロゲン系化合物やN2Oのエミッションデータの整備を行った。データはGEIAおよびEDGARインベントリを使用しGCM(CHASER、T42)入力用に加工を行った。データには工業・交通起源や森林火災・農業起源のエミッションが含まれる。しかしながら、将来予測などの長期実験をする際には便宜的に対流圏(もしくは地表)での各物質濃度を固定して計算を行うことも必要になるので、地表固定濃度を入力して実験を行うことも可能となっている。

f. 考察

本年度はまず、化学モデルCHASERで将来のエミッション変化、気候変動(温暖化)、成層圏オゾン変動が対流圏オゾンやメタンに及ぼす影響について実験し、詳しい評価を行った。エミッション変化及び温暖化が及ぼす影響は昨年度までに行っている実験と同様の結果を得たが、本年度の実験ではさらに成層圏オゾン量変動(オゾン層の回復)も無視できない要因であることを明らかにした。しかしながら今回の実験では成層圏オゾン変動は簡略化した方法で診断的に与えており、対流圏・成層圏化学の相互作用および大気化学・気候の相互作用という意味ではCHASER中での成層圏化学・対流圏化学の完全結合が必要である。このような知見を受けて本年度は更に対流圏化学中心であったCHASER化学モデルに成層圏化学過程を導入し成層圏オゾンのシミュレーションも同時に行えるようにする作業を行った。本年度の作業ではCHASERモデルに成層圏関連の化学種・化学反応の導入および光解離定数計算方法の改良を行ったが、成層圏での不均一反応やオゾンホール化学スキームの導入は完了していない。次年度(H18年度)ではAkiyoshi et al (2004)などで採用されているオゾンホールスキームや不均一反応の導入を完了し成層圏・対流圏化学の完全結合を行うとともに重力波抵抗スキームや放射過程における大気球面効果について調整を行っていく予定である。

g.参考文献

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関口 美保, 東京大学博士論文, 2004.

h. 成果の発表

<論文発表>

Dentener F., D.Stevenson, K.Ellingsen, T.van Noije, M.Schultz1, M.Amann, C.Atherton, N.Bell, D.Bergmann, I.Bey, L.Bouwman, T.Butler, J.Cofala, B.Collins, J.Drevet, R.Doherty, B.Eickhout, H.Eskes, A.Fiore, M.Gauss, D.Hauglustaine, L.Horowitz, I.Isaksen, B.Josse, M.Lawrence, M.Krol, J.F.Lamarque, V.Montanaro, J.F.Muller, V.H.Peuch, G.Pitari, J.Pyle, S.Rast, J.Rodriguez, M.Sanderson, N.H.Savage, D.Shindell, S.Strahan, S.Szopa, K.Sudo, R.Van Dingenen, O.Wild, G.Zeng, The global atmospheric environment for the next generation, Environmental Science & Technology, in press, 2005.

Gauss, M. , Myhre, G., Isaksen, I. S. A., Grewe, V., Pitari, G., Wild, O., Collins, W. J., Dentener, F. J., Ellingsen, K., Gohar, L. K., Hauglustaine, D. A., Iachetti, D., Lamarque, J. -F., Mancini, E., Mickley, L. J., Prather, M. J., Pyle, J. A., Sanderson, M. G., Shine, K. P., Stevenson, D. S., Sudo, K., Szopa, S. and Zeng, G., Radiative forcing since preindustrial times due to ozone change in the troposphere and the lower stratosphere, Atmospheric Chemistry and Physics, Vol. 6, pp 575-599, 24-2-2006.

Irie, H., K. Sudo, H. Akimoto, A, Richter, J.P. Burrows, T. Wagner, M. Wenig, S. Beirle, Y. Kondo, V.P. Sinyakov, and F. Goutail, Evaluation of long-term tropospheric NO2 data obtained by GOME over East Asia in 1996-2002, Geophys. Res. Letters., 32, L11810 doi:10.1029/2005GL022770, 2005.

Kawamiya, M., C. Yoshikawa, T. Kato, H. Sato, K. Sudo, S. Watanabe, and T. Matsuno, Development of an Integrated Earth System Model on the Earth simulator, J. Earth Sim., 4, 2005.

Stevenson D.S., F.J. Dentener, M.G. Schultz, K. Ellingsen, T.P.C. van Noije, O. Wild, G. Zeng, M. Amann, C.S. Atherton, N. Bell, D.J. Bergmann, I. Bey, T. Butler, J. Cofala, W.J. Collins, R.G. Derwent, R.M. Doherty, J. Drevet, H.J. Eskes, A.M. Fiore, M. Gauss, D.A. Hauglustaine, L.W. Horowitz, I.S.A. Isaksen, M.C. Krol, J.-F. Lamarque, M.G. Lawrence, V. Montanaro, J.-F. Muller, G. Pitari, M.J. Prather, J.A. Pyle, S. Rast, J.M. Rodriguez, M.G. Sanderson, N.H. Savage, D.T. Shindell, S.E. Strahan, K. Sudo, and S. Szopa, Multi-model ensemble simulations of present-day and near-future tropospheric ozone, J. Geophys. Res., in press, 2005.

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Takigawa, M, K. Sudo, H. Akimoto, K. Kita, N. Takegawa, Y. Kondo, and M. Takahashi: Estimation of the contribution of intercontinental transport during PEACE campaign by using a global model, J. Geophys. Res., 110, D21313, doi:10.1029/2005JD006226, 2005.

<口頭発表>

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Sudo, K., Akimoto H., and Takahashi M., Past/Future Climate change impacts on atmospheric chemistry in a chemistry coupled climate model, 1st ACCENT Symposium, Urbino, Italy, 12-16th September, 2005.

Sudo, K., Atmospheric chemistry and aerosols modeling in the FRCGC Earth System model, 1st German-Japan Workshop on Numerical Climate Modeling, Kashiwa, Chiba, Japan, 31st Oct - 1st Nov , 2005.

Sudo, K., Takigawa M., Nagashima T., and Takahashi M., Chemistry-Aerosol modeling in the FRCGC Earth System Model, 1st UJCC International Workshop on Current Problems in Earth System Modelling, Yokohama, Japan, 24-25th Nov., 2005.

須藤健悟、秋元肇、「オゾン・COの全球分布・収支の起源と全球規模長距離輸送」、第16回大気化学シンポジウム、豊川、2006年1月11-13日。

滝川雅之、「気塊年代スペクトルを用いたCCSR/NIES大気大循環モデルにおける物質輸送検証実験」、オゾン連絡研究会、神戸、2005年11月.


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