1.炭素循環モデル、炭素循環・気候変化結合モデル


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1—2.海洋生物地球化学モデル

担当機関名:地球環境フロンティア研究センター

研究者名:河宮 未知生地球環境モデリング研究プログラム
吉川 知里生態系変動予測研究プログラム
相田 眞希生態系変動予測研究プログラム
山中 康裕生態系変動予測研究プログラム
(兼任:北海道大学地球環境科学研究科)
岸 道郎生態系変動予測研究プログラム
(兼任:北海道大学水産科学研究科)

a.要約

地球温暖化に対し気候変化と炭素循環の相互作用がもたらすフィードバックの強さを調べる実験を行った結果、相互作用は大気中二酸化炭素濃度を高める方向に働き、温暖化を加速する正のフィードバック効果を持つことがわかった。我々のモデルでは、2100年時点でのフィードバックよる二酸化炭素濃度差は123ppmv である。これは地表平均気温に換算して0.7度程度にあたり、有意な量といえる。土壌の炭素のふるまいが、正のフィードバックの主たる要因となる。地域ごとの解析によると、温暖化により微生物呼吸が増えることにより土壌炭素が減るため、シベリアが強い正のフィードバックの主たる場所になる。アマゾンも微生物呼吸の増加のために正のフィードバックとなるが、我々のモデルでは「Amazonian Forest Dieback」はおこらない。一方で、西中部北アメリカや南オーストラリアでは、土壌炭素の消失をリターフォールが補い、負のフィードバックとなる。海洋のフィードバックは、陸によるフィードバックよりもかなり弱いが、北大西洋の正のフィードバックはアマゾンやシベリアに匹敵する強さである。北大西洋のCO2吸収の減少は海面の成層が強くなるのが原因である。成層はCO2吸収を減らすだけではなく、北大西洋深層水の形成を弱めることでCO2の輸送を小さくする。

b.研究目的

人為起源の二酸化炭素排出による気候変動が、炭素循環に影響を与えて、更なる二酸化炭素上昇を招くという正のフィードバックの可能性が指摘されている。(Cox et al., 2000;Friedlingstein et al. 2001)。国際的に結合モデルの炭素循環を比較するプロジェクトであるCoupled Carbon-Cycle Climate Model Inter-comparison Project (C4MIP)に参加するすべてのモデルが、気候変動に応答する炭素循環のために温暖化が加速することを示している。しかし、その強さにはかなりの不確定性がある(Friedlingstein et al. 2006)。大気中二酸化炭素濃度の予測のためには、引き続き結合モデル中の炭素循環モデルを改善し、こうした不確定性を減らしていくことが必要である。本研究テーマでは、陸域−大気−海洋結合炭素循環モデルの構築と、それによる全球規模炭素循環の研究を行うことを目的にしている。

過去の研究では、全球規模の気候-炭素循環フィードバックが調べられてきた。しかし、気候変動に対する炭素循環の応答は地域ごとに異なり、不確定性の軽減のためには、各地域ごとの理解が重要である。Cox et al. (2004)や Betts et al. (2004)はアマゾン地域でのフィードバックを詳細に論じ、「Amazonian forest dieback」という現象が気候に顕著な影響を与えることを示唆した。アマゾン地域以外でも気候‐炭素循環がフィードバックが大きいと考えられている領域がある。たとえば、シベリアは炭素貯蓄量が大きく、大きな正のフィードバックをおこす可能性がある。海洋では、北大西洋が人為起源のCO2を吸収し沈み込ませる主要な領域であるが(Sabine et al, 2004)、温暖化により深層水形成は弱まる可能性が高く(IPCC, 2001)、正のフィードバックとなると考えられる。気候-炭素循環フィードバックの陸や海での地理的分布をしらべ、各領域でのフィードバックメカニズムを調べるのも本研究テーマの目的である。

c.研究計画、方法、スケジュール

用いた物理モデルは、東大気候センター・国立環境研究所・地球環境フロンティア研究センターが共同で開発したMIROC(K-1 developers, 2004)の中解像度版をベースにしたものである(解像度:大気T42L20、海洋:0.4-1.4度44層)。

陸面炭素循環モデルは、Ito and Oikawa (2002)のSim-CYCLEモデルを元に開発した。Sim-CYCLEは、葉・幹枝・根・落葉または枯死物・土壌有機物の5つのコンパートメントで構成されており、各コンパートメント間や大気との炭素フローが表現されている。生物相は20種に分類され、その地理的分布は固定される。すなわち気候変動にともなう植生変化は考慮しない。

以前に報告した我々のモデル(Kawamiya et al. 2005)では、陸上の炭素貯蓄量の初期状態が、観測で知られる不確定性の幅(Adams and Faure 1998)にはとどまるものの、典型的なシミュレーション結果(Prentice et al. 1993, Franҫois et al. 1998)に比べると大きすぎるという問題点があった。そのため陸面炭素循環モデルのパラメタにチューニングを行い、初期炭素貯蓄量を典型的な値に近づけた。

統合モデル海洋炭素循環コンポーネントに組み込む生態系モデルとしては、Oschlies and Garçon(1999) による植物プランクトン・硝酸・動物プランクトン・デトライタスの4コンパートメント表層生態系モデルに、Oschlies (2001)による改変を加えたものを採用する。さらにOcean Carbon Cycle Model Intercomparison Project (OCMIP)の仕様にならい、無機炭素循環反応を導入した。

d.平成18年度研究計画

大気海洋結合炭素循環モデルのパラメータチューニングを完了して温暖化時の炭素循環のシミュレーションやパラメータ感度実験を行い、論文を執筆する。また C4MIP Phase 1, 2 の活動に参加する。Phase 1 に関しては、平成16 年度中にデータを提出した後CO2 濃度季節変化など、モデル中で再現された現象に関して解析を行う。また Phase 2 に関しては、参加する各グループに協力を要請し海洋コンポーネントに関する結果をとりよせ、人為起源二酸化炭素吸収に関する海洋モデル間の振る舞いの違いについて比較研究を行う。

e.平成18年度研究成果

e.1.モデルと実験設定

Cox et al.(2000) や Friedlingstein et al.(2001) によって指摘された気候−炭素循環系のフィードバックの強さについて調べるため、炭素循環過程を組み込んだ大気海洋大循環モデルを用いて、2100 年までの温暖化実験を行った。

モデルのスピンアップは、CO2 濃度を285ppmv に固定し、気候値データに基づく種々の場を初期値とし、陸面と海面での正味のCO2フラックスが0になるまで、250 年間行った。ここでは3 つのランを行う。一つは「コントロールラン」であり、スピンアップ後もCO2 濃度を285ppmv に固定して1850 年から2100 年までモデルを走らせる。他の2 つのランを「結合ラン」、「非結合ラン」と呼ぶことにする。人為起源CO2 排出データを、1850−1999年は観測(Marland et al., 2005)で、2000年から2100年まではSRES A2シナリオ(IPCC 1992)に基づいたデータで与え、モデル内部でCO2 濃度を計算する。ただし、非結合ランでは、放射過程に関するルーチンには一定のCO2 濃度(285ppmv)が与えられ、気候そのものは変化しない。つまり非結合ランには気候−炭素循環系のフィードバック効果は入っていない。一方、結合ランでは、炭素循環モデルを用いて計算したCO2 濃度の変化が放射過程にも与えられ、気候変化がおきる。おこった気候変化は炭素循環モデルに影響を与えるため、結合ランには気候−炭素循環系のフィードバック効果が入っている。

e.2. 結果と議論

e.2.1. 地球温暖化や気候変動に対する全球炭素循環の応答

図6に、モデルによって計算された全球平均CO2 濃度・全球平均表面温度・陸と海洋によるCO2吸収の総量の、1850年から2100年までの時系列を示す。結合ラン(太線)では、人為起源のCO2排出にともないCO2濃度が増加し、全球平均温度も上がる。しかし、非結合ラン(細線)では、CO2の濃度は増加するが、全球平均温度は上がらないままである。これは、結合ランでは気候がCO2に影響されるのに対し、非結合ランでは影響されないからである。結合ランと非結合ランのCO2の差は、気候の変化による炭素循環の変化を示している

図4: 全球炭素循環・気候結合モデルに1900年からの人為的CO2放出源を与えてシミュレーションした大気CO2濃度の変化。
図6:(a) 全球平均CO2濃度(ppmv)、 (b) 全球平均表面温度、(c) 陸面と海面による総CO2吸収量。太線が結合ラン、細線が非結合ラン。図6bの点線は人為起源の排出のみので上昇によるCO2濃度から推定した温度で、CO2に対する気候感度(表1のα)と非結合ランのCO2濃度から計算される。図6cの点線はCO2の排出レベルを示す。

2100 年の時点で、結合ランと非結合ランの間でのCO2 濃度差は約123ppmv、全球平均温度上昇は4.6oCとなった。CO2濃度のこの大きな差は、結合ランでは、気候の変化が海と陸のCO2吸収量を減らし(図6c)、CO2の濃度を上昇させ(図6a)、それがさらに温度上昇を招くからである(図6b)。非結合ランのCO2濃度から推定される全球温度(図6b点線)に比べて、結合ランの温度(図6b太線)の上積みは2100年の時点で0.7oCである。以上のことから、気候と炭素循環の結合は、温暖化を加速する正のフィードバック効果を持つことが分かる。

e.2.2. 気候-炭素循環フィードバックの大きさの他のモデルとの比較

我々のモデルの気候-炭素循環のフィードバックを他の機関のモデルと比較した。炭素循環に対する気候のフィードバックの強さは、全球平均CO2濃度にして我々のモデルは123ppmvであったが、世界の他のモデルでは様々な値となる。例えば、ハドレーセンターモデルでは250ppmv(Cox et al. 2000)、IPSLモデルでは75ppmv(Dufresne et al., 2002)、様々なセンターのモデルを集めたC4MIPでは20〜200ppmv (Friedlingstein et al., 2006)である。

Friedlingstein et al.(2003)によって提案された方法により、気候-炭素循環のフィードバックを4つの要素、すなわち、CO2濃度に対する陸と海ののCO2貯蓄量感度(βLとβO)・温度に対する陸と海のCO2貯蓄量感度(γLとγO)に分けて、4つのモデルを比較したのが表1である。

表1: 炭素循環増加(g)、CO2増加に対する気候感度(α)、CO2増加に対する陸と海洋の炭素増加カンド(βLとβO)、温度に対する陸と海洋の炭素増加感度(γLとγO)、fは正味のフィードバックファクター。計算は2100年の値を用いた。
表: 炭素循環増加(g)、CO2増加に対する気候感度(α)、CO2増加に対する陸と海洋の炭素増加カンド(βLとβO)、温度に対する陸と海洋の炭素増加感度(γLとγO)、fは正味のフィードバックファクター。計算は2100年の値を用いた。

気候‐炭素フィードバックによるCO2の相対的な増加を示す増加因子(g)は我々のモデルでは0.16である。IPSLの0.17と同程度であり、0.41のHadleyモデルよりはずっと小さい。温度に対する炭素貯蓄量感度を示すγの値は、他のモデルと同様我々のモデルでも、陸の値が海洋の値よりもずっと大きい。これは気候‐炭素循環フィードバックの大部分は陸で発生していることを示す。我々のモデルのγL=‐71という値は、Hadleyセンターのモデルの値(-201)の半分以下の値であるが、C4MIPモデルの平均である-79やIPSLモデルの-90という値に近い。

e.2.3. 地球温暖化が陸上CO2 交換に与える影響

図7は、陸地によるCO2吸収量・植生による炭素貯蓄量・土壌による炭素貯蓄量の1850年から2100年までの時系列を示す。陸地によるCO2の吸収量は物理的な気候変化のみならず、炭素の増加によっても正のフィードバックを受けて減少する。結合ランでは非結合ランに比べて、21世紀の終わりまでに31PgCの植生増加が見られるが、土壌の炭素量が274PgC減るため、計243PgCの炭素量の減少になる。陸でのCO2量吸収の減少は、陸と海全体の259PgCの94%に達する。我々のモデルのフィードバックはほとんど陸面でおこることがわかる。

図7: (a) 陸面によるCO2吸収量 (PgC year-1) (b) 植生炭素貯蓄量 (PgC) (c) 土壌炭素貯蓄量 (PgC)
図7: (a) 陸面によるCO2吸収量 (PgC year-1) (b) 植生炭素貯蓄量 (PgC) (c) 土壌炭素貯蓄量 (PgC)。太線は結合ラン、細線は非結合ラン。

図8は、2090年代のCO2累積吸収量・植生による炭素貯蓄量・土壌による炭素貯蓄量を結合ランと非結合ランで差をとったものの分布である。CO2累積吸収量は、植生と土壌の貯蓄量の合計と等しい。陸のほとんどの地域で、温暖化によって成長季節の期間が延び、CO2の増加による光合成への施肥効果があるため、植生炭素貯蓄量が若干増加する。土壌の炭素量は、温暖化による微生物呼吸の増加を主因として、大きく減少する。結果として、CO2吸収量の減少、すなわち正のフィードバックは、陸面のほとんどの地域でおこる。しかしながら、いくつかのの炭素貯蓄量が増加した地域(西中部北アメリカや南オーストラリア)、すなわち負のフィードバックの地域も見られる。これらの領域では、土壌炭素量は非結合ランに比べて、マイナスか0に近い。CO2累積吸収量と土壌炭素蓄積量の分布は似ており、陸面での炭素フィードバックは土壌炭素によって大部分が決まっていることがわかる。

図8: (a) 陸面による積算CO2吸収量の分布(kgC m-2)。(b) 植生炭素蓄積量(kgC m-2) (c) 土壌炭素蓄積量(kgC m-2)。図は2090年代における結合ランと非結合ランの差を示す。
図8: (a) 陸面による積算CO2吸収量の分布(kgC m-2)。(b) 植生炭素蓄積量(kgC m-2) (c) 土壌炭素蓄積量(kgC m-2)。図は2090年代における結合ランと非結合ランの差を示す。枠はシベリア(60oE-140oE、52.5oN-72.5oN)、アマゾン(70oW-50oW、15oS-0)、中部北アメリカ(120oW-100oW、35oN-50oN)、西北アメリカ(160oW-120oW、42.5oN-67.5oN)、南オーストラリア(115oE-155oE、37.5oS-22.5oS)、サヘル(17.5oW-47.5oE、5oN-15oN)を示す。

気候-炭素フィードバックの地域によるメカニズムの違いを見るために、図8のボックスで囲った6つの代表的な領域を詳細に調べた。図9は、2090年代における炭素貯蓄量と積算炭素フラックスの、結合ランと非結合ランの差を示す。表2は各領域での環境因子と呼吸関数の温度係数を示す。

図9: 図8の枠の各領域での2090年代における炭素貯蓄量と積算炭素フラックスの結合モデルと非結合モデルの差。
図9: 図8の枠の各領域での2090年代における炭素貯蓄量と積算炭素フラックスの結合モデルと非結合モデルの差。単位はkgCm-2。


表2: 図8の枠ごとの1990年代における平均陸面温度(oC)・平均土壌温度(oC)・土壌炭素蓄積量(kgCm-2)、2090年代における結合モデルと非結合モデルの差としての平均陸面温度・呼吸式の温度依存関数。
表2: 図8の枠ごとの1990年代における平均陸面温度(oC)・平均土壌温度(oC)・土壌炭素蓄積量(kgCm-2)、2090年代における結合モデルと非結合モデルの差としての平均陸面温度・呼吸式の温度依存関数。

シベリア シベリアは正のフィードバックが強く(CO2の積算吸収量が2.9 kgC m-2減)、土壌炭素が大幅に減少する(3.8kgC m-2)主要な地域である(図9a)。リターフォールは温暖化のために増える(4.3kgC m-2)が、それ以上に微生物呼吸が強まる(8.5kgCm-2)。シベリアでは土壌温度が-6.9度と低いので、土壌呼吸の温度係数は0.29とあまり大きくない。しかし、土壌炭素量が37.4kgCm-2と大きい。そのため温暖化による土壌呼吸の影響は大きく、炭素量は大きく減り、シベリアの正のフィードバックは大きい。シベリアでのCO2の吸収量減は全球での10%にもあたる。

アマゾン アマゾンも土壌炭素量が大幅に減るために(2.9kgCm-2減)ポジティブフィードバックを見せる(CO2の積算吸収量は2.2kgm-2減)。しかしCox et al. (2004)らが指摘したような「Amazon forest dieback」は、我々のモデルではおこらない。シベリアと同じく、土壌呼吸がリターフォールを上回る(土壌呼吸5.0kgCm-2増、リターフォール1.7kgCm-2増)。アマゾンは、土壌炭素量こそ14.4kgCm-2と小さめだが、土壌温度が24.9oCと高いため、土壌呼吸の温度係数が大きく0.97である。そのため土壌呼吸が温暖化によって加速され、土壌炭素量は大きく減り、正のフィードバックとなる。アマゾンでのCO2吸収減は面積が小さいにもかかわらず全球の4%にあたる。我々のモデルで「Amazon forest dieback」が起こらない理由は2090年代において温暖化と乾燥化が302Kと3.8mm day-1で、ハドレーセンターのモデルの値の310Kと1.7mmm day-1よりも弱く、Cox et al. (2004)が示唆した「Amazon forest dieback」がおこる条件である年平均降水3.0mm day-1を下回らないからである。

サヘル サヘルも強い正のフィードバックを示す(積算CO2吸収量4.2kgm-2減)。土壌炭素が減るのみならず(3.0kgCm-2)、植生炭素も減る(1.1kgCm-2)。土壌炭素が減る理由は、シベリアやアマゾンとは異なり、土壌呼吸は減るものの(4.0kgCm-2)、それ以上にリターフォールが減るから(7.3kgCm-2)である。リターフォールが減る理由は、総一次生産量が12.1kgm-2減ることによる。C4植物の光合成の最適温度はCO2の濃度の上昇と対応しない(Ito and Oikawa, 2002)。したがって、C4植物の割合が多い低緯度(図10)では、温暖化によって、光合成の最適温度をうわまわってしまう。その結果、総一次生産量、植生炭素量、土壌炭素量が減少する。サヘル地域の積算二酸化炭素吸収量の減少は全球の13%に当たる。

図10: この研究で用いられたグリッドセルごとのC4植物の分画率。
図10: この研究で用いられたグリッドセルごとのC4植物の分画率。

西部北アメリカ、中部北アメリカ、南部オーストラリア これらの地域では負のフィードバックである(積算CO2吸収量が0.9kgCm-2増)。植生炭素量が増えており(0.9kgCm-2)、土壌炭素は若干の増加か変化なしである。シベリアやアマゾンのケースとは対照的に、リターフォールが土壌呼吸以上または同程度に増える(リターフォールは約7.3kgCm-2増、土壌呼吸7.5kgCm-2増、図9)。これらの領域ではGPPは非常に増えて18.0kgCm-2増である。さらに、温度は比較的低く7.7oC、土壌呼吸の温度係数は0.2である(表2)。したがってNPPまたはリターフォールが気候変動により増え、それにより土壌炭素が若干増加するかまったく変化せず、負のフィードバックとなる。これらのエリアでは気候-炭素フィードバックのキープロセスは、他の多くの地域では土壌呼吸であるのに対し、リターフォールとなる。

e.2.4. 地球温暖化が海洋CO2 交換に与える影響

図11は、海洋によるCO2吸収と溶存無機炭素量を1850年から2100年までの時系列で示したものである。CO2吸収は気候変動のみならず、正のフィードバックによりCO2が増えることによってさらに減少する(図11a)。21世紀の終わりには、溶存無機炭素量で16PgC減る(図11b)。海のCO2貯留量の減少量16PgCは陸による吸収量の減少243PgCに比べればずっと小さい。

図11: (a) 海洋によるCO2吸収量 (PgC year-1)、(b) 総無機炭素蓄積量 (PgC)。
図11: (a) 海洋によるCO2吸収量 (PgC year-1)、(b) 総無機炭素蓄積量 (PgC)。太線は結合ラン、細線は非結合ラン。

海のCO2フラックスは大気と海洋の二酸化炭素分圧(fCO2)の差から計算できる。結合ランと非結合ランの間におけるfCO2 の変化を、線形論に基づいて要因別に分け議論することにする。まず、fCO2 を温度T、塩分S、全炭酸TCO2、アルカリ度Alk の関数として、

..... (1)

と表すことにすると、fCO2 の全微分は次のように書ける。
..... (2)

ここでモデル結果を用い、右辺の第一項を次のように評価する。
..... (3)

上式で、添え字 c, u はそれぞれ結合、非結合ランの結果であることを示す。他の各項についても同様に評価し、全球平均をとった結果を図12に示す。

図12: 線形論で4つの要素(T、S、TCO2、Alk)に分解したの全球平均fCO2。
図12: 線形論で4つの要素(T、S、TCO2、Alk)に分解したの全球平均fCO2。

図12から、水温の上昇により結合ランのfCO2 が高くなっていることが分かる。アルカリ度の低下によるfCO2 の上昇も2番目に大きい要素であるが、全炭酸による効果でほぼ相殺される。アルカリ度の変化は全炭酸とほぼ同じ要素で決定される(表面の水収支や、石灰生産を除く生物活動)。我々のモデルでは、アルカリ度や全炭酸量の寄与の変化の表面分布は、海面塩分の寄与の変化の分布と似ている。このことは、アルカリ度や全炭酸の変化が表層での水収支で大部分決まっていることを意味する。ところで、全炭酸の寄与の変化がアルカリ度よりも若干小さいのは、大気のCO2の濃度が結合ランでは非結合ランに比べて正のフィードバックのために123ppmv高いからである。このような評価から、海洋のポジティブフィードバックは温度によるものであると結論づけられる。

図13はCO2の積算CO2吸収量の2090年代における結合ランと非結合ランの差の空間分布である。ほとんどの海域では温度上昇のために積算CO2吸収量が減少を示している。特に北大西洋での減少が大きく、そこでのフィードバックの大きさは2kgCm-2以上であり、陸面のシベリアやアマゾン、サハラに匹敵する。北大西洋でのCO2吸収の減少は全球の3%にあたり、アマゾンと同程度である。一方でバレンツ海ではCO2の吸収量は増加しており、負のフィードバックとなっている。海氷は2100年までにはこの海域で完全に消えている。したがって、塩分上昇のためアルカリ度は高くなっており、それがバレンツ海での負のフィードバックとなっている。さらに赤道発散集束帯では顕著な負と正のフィードバックとなっている。これは温暖化のために赤道湧昇系が弱まるからである。

図13: 海洋による2090年代における積算CO2吸収量の結合ランと非結合ランの差の分布
図13: 海洋による2090年代における積算CO2吸収量の結合ランと非結合ランの差の分布(kgC m-2)。

次に、北大西洋での強い正のフィードバックを詳細に見てみよう。北大西洋は主要なCO2の吸収領域であり、北大西洋深層水が形成される。大気のCO2の上昇に伴い、吸収されたCO2は沈み込み、深層循環によって海洋内部領域へと運ばれる。我々のモデルとSabine et al. (2004)の観測は、1994年までのCO2の分布がよく一致している(Kawamiya et al. 2005)。図14は2090年代までに吸収された人為起源のCO2の鉛直積分の分布の結合ラン・非結合ラン・その差を示したものである。人為起源のCO2は、TCO2と、TCO2と同じように計算するがCO2の濃度を285ppmvに固定したトレイサーとの差で計算される。2090年代までに蓄積された人為起源のCO2は、結合ランでは551PgCで非結合ランでは567PgCである。結合ランと非結合ランの両方で北大西洋がCO2を多く運んでいる(図14a,b)。北大西洋で蓄積された人為起源CO2は、結合ランでは非結合ランよりずっと少ない(図14c)。このことはCO2の沈み込みが気候変化によってずっと小さくなったことをしめす。理由の詳細を次にのべる。

図14: 海洋に2090年代までに蓄積された人為起源CO2の鉛直積分の分布。(a)結合ラン、(b)非結合ラン、(c)その差。単位はmolCm-2。
図14: 海洋に2090年代までに蓄積された人為起源CO2の鉛直積分の分布。(a)結合ラン、(b)非結合ラン、(c)その差。単位はmolCm-2。

図15はCO2の沈み込みに影響を与える要素の、結合ランと非結合ランの2090年代における差である。CO2の吸収量は、北大西洋深層水が形成されるグリーンランド沿岸で2.0kgCm-2以上減っている(図15a)。ここでは海面温度は上昇せず、逆に下がっている(図15c)。いっぽうで、低塩分化のため(図15d)、混合層は浅くなっている(図15b)。すなわち、CO2の吸収量が減少した理由は温度の影響だけではなく、塩分減少により成層が強まったことによる。

図15: 北大西洋における結合ランと非結合ランの2090年代の差。(a) 積算CO2吸収量 (b) 海面温度 (c) 混合層深 (d) 海面塩分。
図15: 北大西洋における結合ランと非結合ランの2090年代の差。(a) 積算CO2吸収量 (b) 海面温度 (c) 混合層深 (d) 海面塩分。

成層の強化は北大西洋深層水の循環を6Svほど弱めている(図16)。CO2の吸収が減るだけではなく、北大西洋深層水の形成が弱まることも、CO2の沈み込みの減少に影響している。

図16: 北大西洋深層循環の強さ。
図16: 北大西洋深層循環の強さ。太線:結合ラン。細線:非結合ラン。


e.2.5. プランクトン種構成を陽に表現した海洋モデルについて

「地球システム統合モデル」で得られた結果の解析の際の参考となるべく、やや複雑であるが比較的用いられている全球3次元中程度複雑生態系モデル(Intermediate complexity ecosystem model)を用いて、経年変動数値シミュレーションを行った。利用出来る長期観測データは数少ないものの、それらと比較することによりモデルの有効性を検証することが出来る。具体的には、NCEPの1948年から2002年までの再解析データの風応力、光、海面気温、淡水フラックスなどを生態系モデルに与えることにより、海洋物理場の経年変動、その変動に伴う海洋循環による栄養塩供給や生態系の変動を見ることが出来る。その成果は、Ecological Modeling特集号の数多くの論文として発表された。

また、本年度は、下のような鉄循環を海洋生態系に組み込んだ。鉄循環に関する予報変数として、溶存鉄・粒子状鉄・ダストを組み込んだ。溶存鉄は、自由溶存鉄と錯体との間の化学平衡を仮定した。ダストに関しては、大気からの供給と溶存鉄への熔解、沈降過程を組み込み、溶存鉄に関しては、ダストからの溶解に加えて、下層との海水混合による交換、光合成に伴う消費、再無機化に伴う供給、粒子状鉄からの溶解やダストや粒子状鉄への吸着過程、粒子状鉄は、溶存鉄とのやりとり、下層との海水混合による交換に加えて、沈降過程を組み込んだ(図17)。それぞれの過程に関する定式化に用いるパラメータは、過去のモデリングおよび観測値を参考にして、妥当な範囲で、次に示す季節変動を再現するように、チューニングして求めた値を用いた。まず、この鉄循環過程のモデルの結果の有効性を確認するために、観測された生態系の再現が良く、鉄の各コンポーネントの値の季節変化がある程度分かっている西部北太平洋亜寒帯海域の代表的な観測地点A7において、ボックスモデルを構築し、再現性をチェックした。具体的には、大気ダストの供給は、SPRINTARSで再現された1996年から2005年までの10年間を月平均化した気候値を作り、海洋下層の濃度は観測されたものを用いることで、海洋表層の鉄循環の境界条件を与えた。その結果を図18に示す。鉄過程を組み込んだ場合、春季ブルームまではケイ酸塩制限だが、その後鉄制限が掛かり、生物生産が減少、そのために6月頃の硝酸塩の減少が緩やかになる。概ね観測値と一致する結果となった。組み込んだ場合とそうでない場合ともに、パラメータ値をチューニングすることで観測された生物量や栄養塩濃度などの季節変化を、概ね再現することが出来るが、生物生産を制限する要因は、前者は鉄濃度、後者は硝酸塩濃度と大きく異なっている。これは、地球温暖化に伴って、海洋成層化による栄養塩供給の減少や大気からのダスト供給量の変化といった直接的な原因に対する生態系の将来的な応答が異なる可能性を示している。現在、鉄循環過程を3次元生態系モデルに組み込む作業を行っている。

図17: 開発した海洋鉄循環モデルの模式図。
図17: 開発した海洋鉄循環モデルの模式図
図18: 西部北太平洋亜寒帯海域の代表的観測地点A7における鉄過程を組み込んだもの(FeNEMURO)と組み込まなかったものNEMURO(と最大光合成速度を半分にしたもの)の栄養塩(硝酸塩とケイ酸塩)濃度の季節変化。
図18: 西部北太平洋亜寒帯海域の代表的観測地点A7における鉄過程を組み込んだもの(FeNEMURO)と組み込まなかったものNEMURO(と最大光合成速度を半分にしたもの)の栄養塩(硝酸塩とケイ酸塩)濃度の季節変化。点は観測値。

f.考察

JAMSTECが開発してきた、炭素循環を含む地球システム統合モデルは、世界的に見ても高い水準にあると言える。

2013年ころの出版が予想されるIPCC第5次報告書に向けて提案されている温暖化実験の設計は、炭素循環過程を含むモデルが完遂のため必要とされるような仕様になっており、JAMSTECが本課題のもとこれまで開発してきた地球システム統合モデルによって多大な貢献が期待できる。

なお、この第1-2 節の執筆は美山透が担当した。

g. 参考文献

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Cox P. M., R. A. Betts, M. Collins, P. P. Harris, C. Huntingford, C. D. Jones (2004), Amazonian forest dieback under climate-carbon cycle projections for the 21st century. Theoretical and Applied Climatology, 78, 137-156.

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Sabine, C. L., R. A. Feely, N. Gruber, R. M. Key, K. Lee, J. L. Bullister, R. Wanninkhof,13 C. S. Wong, D. W. R. Wallace, B. Tilbrook, F. J. Millero, T.-H. Peng, A. Kozyr, T. Ono, and A. F. Rios (2004), The Oceanic Sink for Anthropogenic CO2, Science, 305, 367 - 371.

h. 成果の発表

学会発表

Hashioka, T. and Y. Yamanaka: Future projection of ecosystem change in the western North Pacific. Global Environmental Change: Regional Challenges: An Earth System Science Partnership Global Environmental Change Open Science Conference, Beijing, China. 9-12 November 2006.

Hashioka, T., Y. Yamanaka, F. Shido and T. Sakamoto: Ecosystem change in the western North Pacific associated with global warming obtained by 3-D ecosystem model. PICES/GLOBEC Symposium on Climate variability and ecosystem impacts on the North Pacific: A basin-scale synthesis, Hawaii U.S.A., April 19-21, 2006.

Ito, S., A. Takasuka, Y. Oozeki, A. Yatsu, M. Noto, M. J. Kishi, Y. Yamanaka, T. Hashioka, M. N. Aita, K. A. Rose, B. A. Megrey, F. E. Werner, C. van der Lingen, M.l Barange, Y. Shin, L. Cubillos, L. Jacobson, V. N. Agostini, S. E. Lluch-Cota, G. Onizuka, Y. Kamezawa: A sardine growth model coupled with lower trophic level ecosystem model NEMURO. PICES XV Annual Meeting, Yokohama, Japan, October 14-22, 2006. [invited]

Ito, S., K. A. Rose, B. A. Megrey, F. Werner, D. Hay, M. N. Aita, Y. Yamanaka, M. J. Kishi, J. Schweigert, M. B. Foster, D. Ware, D. Eslinger, R. Klumb and S. L. Smith: Responses of fish growth to large-scale and long-term climate change: A comparison of herring and saury in the North Pacific using NEMURO.FISH, a coupled fish bioenergetics and lower trophic level ecosystem model. PICES XV Annual Meeting, Yokohama, Japan, October 14-22, 2006. [Invited]

Ito, S., K. A. Rose, M. N. Aita, B. A. Megrey, Y. Yamanaka, F. E. Werner and M. J. Kishi: Interannual response of fish growth of Pacific saury to the 3-D global NEMURO output with realistic atmospheric forcing. PICES/GLOBEC Symposium on Climate variability and ecosystem impacts on the North Pacific: A basin-scale synthesis, Hawaii U.S.A., April 19-21, 2006.

Kishi, M. J., I. Nakajima, Y. Kamezawa, D. Mukai, M. Aita and Y. Yamanaka: Inter-annual variation of squid, salmon and saury growth using NEMURO.FISH. PICES/GLOBEC Symposium on Climate variability and ecosystem impacts on the North Pacific: A basin-scale synthesis, Hawaii U.S.A., April 19-21, 2006.

M. Kawamiya, C. Yoshikawa, T. Kato and T. Matsuno, “Geographical distribution of climate - carbon cycle feedback”, C4MIP Meeting, 英国・エクセター, 2006年10月4−6日.

M. Kawamiya, C. Yoshikawa, T. Kato and T. Matsuno, “Significance of ocean’s response to climate warming in the global carbon cycle”, PICES 15th Annual Meeting, 横浜, 2006年10月13−22日.

M. Kawamiya, “Experimental design with carbon cycle models for AR5 and interactions among WGs1-3“, 第1回IR3S/ICAS国際シンポジウム「地球環境の将来―温暖化の予測と対応策の課題」, 水戸, 2006年11月27−28日.

M. Kawamiya, C. Yoshikawa, T. Kato and T. Matsuno, “Interactions between carbon cycle and the global warming”, 第4回共生プロジェクトに関する国際ワークショップ, ホノルル, 2007年2月28日―3月5日.

Rose, K. A., B. A. Megrey, S. Ito, F. E. Werner, D. Hay, M. N. Aita, Y. Yamanaka, M. J. Kishi, J. Schweigert, M. B. Foster, D. Ware, D. Eslinger, R. Klumb and S. L. Smith: Geographic variation in fish growth and population responses to regime shifts in the North Pacific: A comparison of herring and saury using NEMURO.FISH, a coupled fish bioenergetics and NPZ model. PICES/GLOBEC Symposium on Climate variability and ecosystem impacts on the North Pacific: A basin-scale synthesis, Hawaii U.S.A., April 19-21, 2006.

Rose, K. A., V. N. Agostini, L. Jacobson, C. van der Lingen, S. E. Lluch-Cota, S. Ito, B. A. Megrey, M. J. Kishi, A. Takasuka, M. Barange, F. E. Werner, Y. Shin, L. Cubillos, Y. Yamanaka, H. Wei: Towards coupling sardine and anchovy to the NEMURO lower trophic level model. PICES XV Annual Meeting, Yokohama, Japan, October 14-22, 2006. [Invited]

Shido, F., Y. Yamanaka, S. Ito, T. Hashioka, D. Mukai and M. J. Kishi: A two-dimensional fish model simulating biomass of pacific saury. PICES XV Annual Meeting, Yokohama, Japan, October 14-22, 2006.

Yoshie. N, K. Sato, Y. Yamanaka and Jun Nishioka: Introduction of iron cycles into a lower trophic level marine ecosystem model, NEMURO. PICES XV Annual Meeting, Yokohama, Japan, October 14-22, 2006.

河宮未知生, 「気候モデルによる温暖化予測の概観」, 日本水産海洋学会・日本海洋学会合同シンポジウム「黒潮親潮生態系の動態メカニズムとモニタリング指標」, 東京海洋大学, 2007年3月26日.

吉川知里・河宮未知生・加藤知道・松野太郎, 「地球システム統合モデルを用いた、地球温暖化に対する炭素循環のフィードバックの解析」, 2006年度日本海洋学会秋季大会, 名古屋, 2007年9月25−29日.

吉川知里・河宮未知生・加藤知道・松野太郎, 「地球温暖化に対する炭素循環フィードバックの地理的分布について」, 2006年度日本気象学会秋季大会, 名古屋, 2006年10月25−27日.

ポスター発表
Aita, M. N., A. Ishida and Y. Yamanaka: Interannual to interdecadal variations of the lower trophic ecosystem and air-sea CO2flux in the North Pacific using a 3-D NEMURO model, European Geosciences Union General Assembly 2006, Vienna, Austria, April 2 - 7. 2006.

Aita M. N., K. Tadokoro, Y. Yamanaka and M. J. Kishi: Interdecadal variation of the lower trophic ecosystem using a 3-D physical-biological coupled model '3D-NEMURO'. PICES/GLOBEC Symposium on Climate variability and ecosystem impacts on the North Pacific: A basin-scale synthesis, Hawaii U.S.A., April 19-21, 2006.

Hashioka, T. and Y. Yamanaka: Determination mechanism of seasonal and regional variations of phytoplankton groups by top-down and bottom-up controls obtained by a 3-D ecosystem model. PICES/GLOBEC Symposium on Climate variability and ecosystem impacts on the North Pacific: A basin-scale synthesis, Hawaii U.S.A., April 19-21, 2006.

Hashioka, T., Y. Yamanaka and T. Sakamoto: Response of lower trophic level ecosystem to global warming in the western North Pacific. 13th Ocean Science meeting 2006, Hawaii U.S.A., February 20-24, 2006.

M. Kawamiya, C. Yoshikawa, T. Kato and T. Matsuno , “Stability of the positive feedback strength the climate - carbon cycle”, ESSP Open Science Conference, 北京, 2006年11月9−12日.

Mukai, D., M. J. Kishi, S. Ito, Y. Yamanaka and F. Shido: The Function of Spawning Season and Interdecadal Variability on the Growth of Pacific Saury - Ecological Model-Based Study -, International Conference on Ecological Moldelling, Yamanaguchi, Japan, August 28-September 1, 2006.

Sasai, Y, H. Sasaki, K. Sasaoka, S. Kawahara, A. Ishida and Y. Yamanaka: Response of the ecosystem to coastal upwelling in the Eastern Tropical Pacific: A global eddy-resolving coupled physical-biological model. 13th Ocean Science meeting 2006, Hawaii U.S.A., February 20-24, 2006.

Shido, F., Y. Yamanaka, S. Ito, T. Hashioka, D. Mukai and M. J. Kishi: Migration and Distribution of Pacific Saury Simulated by a Two-Dimensional Model Combined Fish Bioenergetics with Population Dynamics, International Conference on Ecological Moldelling, Yamanaguchi, Japan, August 28-September 1, 2006.

Smith, S. L. and Y. Yamanaka: Examining the value of exploiting variations in bulk stoichiometry for modeling material flows through ecosystems. 13th Ocean Science meeting 2006, Hawaii U.S.A., February 20-24, 2006.

Werner, F. E., K. Rose, B. A. Megrey, M. A. Noguchi, Y. Yamanaka: Simulated Herring Growth Reponses in the Northeastern Pacific to Historic Temperature and Zooplankton Conditions Generated by the 3-Dimensional NEMURO NPZ Model. 13th Ocean Science meeting 2006, Hawaii U.S.A., February 20-24, 2006.

Yoshie, N., S. Takeda, P. W. Boyd and Y. Yamanaka: Modelling studies investigating the mechanisms causing high silicic acid to nitrate uptake during SERIES: an iron-fertilization experiment in the subarctic Pacific. 13th Ocean Science meeting 2006, Hawaii U.S.A., February 20-24, 2006.

論文出版

Aita M. N., Y. Yamanaka, M. J. Kishi: Interdecadal Variation of the Lower Trophic Ecosystem in the Northern Pacific between 1948 and 2002, in a 3-D implementation of the NEMURO model. Ecol. Modeling., DOI: 10.1016/j.ecolmodel.2006.07.045.

Asanuma, O. Aumont, R. Barber, M. Behrenfeld, R. Bidigare, E. T. Buitenhuis, J. Campbell, A. Ciotti, H. Dierssen, M. Dowell, J. Dunne, W. Esaias, B. Gentili, W. Gregg, S. Groom, N. Hoepffner, J. Ishizaka, T. Kameda, C. Le Quere, S. Lohrenz, J. Marra, F. Melin, K. Moore, A. Morel, T. E. Reddy, J. Ryan, M. Scardi, T. Smyth, K. Turpie, G. Tilstone, K. Waters, Y. Yamanaka: A comparison of global estimates of marine primary production from ocean color, Deep Sea Res. II, 53, 741-770, 2006.

Carr, M.-E., M. A. M. Friedrichs, M. Schmeltz, M. N. Aita, D. Antoine, K. R. Arrigo, I.

Fujii M., Y. Yamanaka, Y. Nojiri, M. J. Kishi, F. Chai: Comparison of seasonal characteristics in biogeochemistry among the subarctic North Pacific stations described with a NEMURO-based marine ecosystem model. Ecol. Modeling., DOI: 10.1016/j.ecolmodel.2006.02.046.

Hashioka, T. and Y. Yamanaka: Ecosystem change in the western North Pacific associated with global warming obtained by 3-D NEMURO. DOI: 10.1016/j.ecolmodel.2006.05.038.

Hashioka, T. and Y. Yamanaka: Seasonal and regional variations of phytoplankton groups by top-down and bottom-up controls obtained by a 3-D ecosystem model. Ecol. Modeling., DOI: 10.1016/j.ecolmodel.2005.12.002.

Ito S. , B. A. Megrey, M. J. Kishi, D. Mukai, Y. Kurita, Y. Ueno, Y. Yamanaka: On the interannual variability of the growth of Pacific saury (Cololabis saira): a simple 3-box model using NEMURO.FISH. Ecol. Modeling., DOI: 10.1016/j.ecolmodel.2006.07.046.

Kato, T., Akihiko Ito, M. Kawamiya, 2006: Multi-temporal scale variability during the 20th century in global carbon dynamics simulated by a coupled climate-terrestrial carbon cycle model, Climate Dynamics, submitted.

Kishi M. J., D. L. Eslinger , M. Kashiwai, B. A. Megrey, D. M. Ware, F. E. Werner, M. Aita-Noguchi, T. Azumaya, M. Fujii, S. Hashimoto, H. Iizumi, Y. Ishida, S. Kang, G. A. Kantakov, H. Kim, K. Komatsu, V. V. Navrotsky, L. S. Smith, K. Tdokoro, A. Tsuda, O. Yamamura, Y. Yamanaka, K. Yokouchi, N. Yoshie, J. Zhang, Y. I. Zuenko, V. I. Zvalinsky: NEMURO - Introduction to a lower trophic level model for the North Pacific marine ecosystem. Ecol. Modeling., DOI: 10.1016/j.ecolmodel.2006.08.02.

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Rose, K. A., F. Werner, B. A. Megrey, M. N. Aita, Y. Yamanaka, D. Hay, J. Schweigert, M. B. Foster: Simulated Herring Growth Reponses in the Northeastern Pacific to Historic Temperature and Zooplankton Conditions Generated by the 3-Dimensional NEMURO Nutrient-Phytoplankton-Zooplankton Model. Ecol. Modeling., OI: 10.1016/j.ecolmodel.2006.06.020.

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Yoshie N., Y. Yamanaka, K. A. Rose, D. L. Eslinger, D. M. Ware and M. J. Kishi: Parameter sensitivity study of the NEMURO lower trophic level marine ecosystem model. Ecol. Modeling., DOI: 10.1016/j.ecolmodel.2006.07.043.

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山中康裕: 海洋科学統合モデリングの発展. J. Geoscience Letters, 2(4), 3-5, 2006.


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